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一般常識(3)-3

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第3節  掛金、積立金の積立て及び運用

 

1  掛金 (法55条~法58条)                          重要度 ●   

 

条文

 


【掛金 (法55条)】
1) 事業主は、給付に関する事業に要する費用に充てるため、規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出しなければならない。

(平19択)(平23択)


2) 加入者は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、前項の掛金の一部を負担することができる


3) 掛金の額は、規約で定めるところにより算定した額とする。


4) 前項に規定する掛金の額は、次の要件を満たすものでなければならない。

 


a) 加入者のうち特定の者につき、不当に差別的なものであってはならないこと。

 

 

b) 定額又は給与に一定の割合を乗ずる方法その他適正かつ合理的な方法として厚生労働省令で定めるものにより算定されるものであること。

 

 

【掛金の納付 (法56条)】
1) 事業主は、前条第1項の掛金を、規約で定める日までに資産管理運用機関等に納付するものとする。


2) 事業主は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、掛金を金銭に代えて金融商品取引法に規定する金融商品取引所に上場されている株式で納付することができる。ただし、事業主が当該株式を基金に納付する場合にあっては、当該基金の同意を得たときに限る。


3) 資産管理運用機関等が、中小企業退職金共済法の規定に基づき、独立行政法人勤労者退職金共済機構から同項に規定する厚生労働省令で定める金額の引渡しを受けたときは、当該金額については、前条及び第1項の規定により事業主が拠出した掛金とみなす。

 

 

【掛金の額の基準 (法57条)】
掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。

 


<掛金の額の計算に用いる基礎率 (則43条1項)>
法57条に規定する掛金の額は、予定利率、予定死亡率、予定脱退率その他の給付に要する費用の額の予想額の算定の基礎となる率(「基礎率」という)に基づき計算されるものとする。

 

 

<簡易な基準に基づく掛金の額の算定 (則52条)>  前年改正
計算基準日における加入者の数が500人に満たない確定給付企業年金の掛金の額は、則43条の規定にかかわらず、原則として、基礎率のうち予定利率(下限予定利率以上4.0%以下の範囲内とすること)及び予定死亡率のみを用いるところにより計算することができる。

 

 

□法16条1項(基金の規約の変更等)に規定する(簡易な基準に基づく確定給付企業年金の規約の変更に限る)厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長に委任する(則121条1項4号)。

 

 

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【財政再計算 (法58条)】
1) 事業主等は、少なくとも5年ごとに前条の基準に従って掛金の額を再計算しなければならない。(平23択)


2) 事業主等は、前項の規定にかかわらず、加入者の数が著しく変動した場合その他の厚生労働省令で定める場合は、前条の基準に従って、速やかに、掛金の額を再計算しなければならない。

 

 

2  積立金の積立て等 (法59条、法60条)              重要度 ●   

 

条文

 


【積立金の積立て (法59条)】
事業主等は、毎事業年度の末日において、給付に充てるべき積立金(以下「積立金」という)を積み立てなければならない。

 

 

【積立金の額 (法60条)】
1) 積立金の額は、加入者及び加入者であった者(以下「加入者等」という)に係る次項に規定する責任準備金の額及び第3項に規定する最低積立基準額を下回らない額でなければならない。


2) 責任準備金の額は、当該事業年度の末日における給付に要する費用の額の予想額の現価から掛金収入の額の予想額の現価を控除した額を基準として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。


3) 最低積立基準額は、加入者等の当該事業年度の末日までの加入者期間に係る給付として政令で定める基準に従い規約で定めるものに要する費用の額の予想額を計算し、これらの予想額の合計額の現価として厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。

 

 

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第4節  確定給付企業年金間の移行等

 

1  統合及び分割 (法74条~法77条)                   重要度 ●   

 

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◆規約型企業年金と基金型企業年金のまとめ

 

 

 

【規約型企業年金】

 

【基金型企業年金】

 

統合

合併

 

a) 規約型企業年金を実施する事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該規約型企業年金を他の規約型企業年金と統合することができる(法74条)。(平19択)


b) 承認の申請は、実施事業所に係る労働組合等の同意を得て行わなければならない。


c) 実施事業所が2以上であるときの同意は、各実施事業所について得なければならない。

 

 

a) 基金は、合併しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(法76条)。


b) 認可の申請は、代議員会における代議員の定数の4分の3以上の多数による議決を経て行わなければならない。


c) 合併によって基金を設立するには、各基金がそれぞれ代議員会において役員又は代議員のうちから選任した設立委員が共同して規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。


d) 合併により設立された基金又は合併後存続する基金は、合併により消滅した基金の権利義務を承継する。

 

分割

 

a) 規約型企業年金を共同して実施している事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該規約型企業年金を分割することができる

(法75条)。


b) 分割された規約型企業年金の規約は、承認があった時に、厚生労働大臣の承認を受けたものとみなす。


c) 前条b)及びc)の規定は、承認の申請を行う場合について準用する。

 

a) 基金は、分割しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(法77条)。


b) 基金の分割は、実施事業所の一部について行うことはできない。


c) 分割を行う場合においては、分割により設立される基金の加入者となるべき被用者年金被保険者等又は分割後存続する基金の加入者である被用者年金被保険者等の数が、政令で定める数(300人)以上であるか、又は当該数以上となることが見込まれなければならない。


d) 分割により設立された基金は、分割により消滅した基金又は分割後存続する基金の権利義務の一部を承継するが、当該承継する権利義務の限度は、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。