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労働保険徴収法(4)-9

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テキスト本文の開始

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「認可の基準」は、次のとおりである(平12.3.31発労徴31号)。

 


a) 団体等が法人であるか否かは問わないが、法人でない団体等にあっては、代表者の定めがあることのほか、団体等の事業内容、構成員の範囲、その他団体等の組織、運営方法(総会、執行機関、財産の管理運営方法等)等が定款等において明確に定められ、団体性が明確であること。

(平5択)(平15択)(平19択)


b) 団体等は団体等として本来の事業目的をもって活動し、その運営実績が2年以上あること。(平2択)(平19択)


c) 労働保険事務組合に労働保険事務を委託することができる事業主は、原則として、労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主とするが、委託事業主の利便等を考慮して、当該都道府県に隣接する都道府県に主たる事務所が所在する事業の事業主が全委託事業主の20%以内である場合には、労働保険事務組合の認可をして差し支えないこと。

(平6択)(平9択)(平15択)

 

 

d) 労働保険事務の委託を予定している事業主が30以上あること。


e) 定款等において、団体等の構成員又は間接構成員である事業主(員外者たる事業主も含む)の委託を受けて労働保険事務の処理を行うことができる旨定めていること。


f) 団体等は相当の財産を有し、法35条に規定する労働保険事務組合の責任(労働保険料の納付等の責任)を負うことができるものであること。


g) 労働保険事務を確実に行う能力を有する者を配置し、労働保険事務を適切に処理できるような事務処理体制が確立されていること。


h) 団体等の役員及び認可後の労働保険事務組合において予定されている事務を総括する者は、社会的信用があり労働保険事務組合の行う業務に深い関心と理解を有する者であること。


i) 労働保険事務処理規約の作成にあたっては、労働保険事務の委託手続に関する事項等必要事項を定め、かつ、当該団体等の総会等の議決機関の承認を経ること。

 

 

◆申請書及び届書の経由先 (則78条3項)

 


則63条1項又は則64条から則66条までの規定により事業主の団体若しくはその連合団体又は労働保険事務組合が都道府県労働局長に対して行う申請書及び届書の提出は、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(事業主の団体若しくはその連合団体又は労働保険事務組合であって、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災二元適用事業等のみに係るものが則63条1項、則65条又は則66条の規定により行う申請書及び届書の提出並びに労働保険事務組合が則64条の規定により行う届書の提出のうち労災二元適用事業等に係るものにあっては、その主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長)を経由して行うものとする。 (平8択)(平12択)

 

 

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3  委託等の届出と範囲 (則64条ほか)                   重要度 ●●●

 

条文

 


1) 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、遅滞なく、労働保険事務等処理委託届を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない*1。(平8択)(平16択)


2) 前項の規定は、労働保険事務の処理の委託の解除について準用する。この場合において、「労働保険事務等処理委託届」とあるのは、「労働保険事務等処理委託解除届」と読み替えるものとする。(平8択)(平20択)

 

 

ここをチェック

 

◆委託できる範囲 (平12.3.31発労徴31号)

 


【委託できる事務】

 

 

□労働保険料及びこれに係る徴収金の申告・納付に関する事務(平10択)


□雇用保険の被保険者に係る届出等に関する事務

(平8択)(平19択)(平23択)


保険関係成立届、労災保険又は雇用保険の任意加入申請書、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する事務、労災保険の特別加入の申請等に関する事務

(平23択)


□石綿健康被害救済法に係る一般拠出金の申告納付に関する事務


□その他労働保険についての申請、届出及び報告等に関する事務

 

 

【委託できない事務】

 

 

印紙保険料に関する事項の事務手続及びその代行

(平7択)(平18択)(平23択)


□労災保険の保険給付及び社会復帰促進等事業として行われる特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行


□雇用保険の保険給付に関する請求書等に係る事務手続及びその代行


□雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行(平10択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「届書の提出」は、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由して行う(則78条3項)。(平7択)(平18択)


↓ なお…


当分の間、委託事業主の事業場の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由することができる(整備省令13条2項)。

 

□労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて、一般拠出金の納付その他一般拠出金に関する事項(一般拠出金事務)を処理することができる

(石綿救済法38条2項)。

 

 

-----------------(164ページ目ここから)------------------

 

advance

 

◆管轄の特例 (則69条)

 


労働保険事務組合にその処理を委託された労働保険事務(雇用保険の被保険者に関する事務を除く)については、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び公共職業安定所長並びに都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官(労働保険事務組合であって、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち法39条1項の規定に係る事業及び労災保険法35条1項の承認に係る団体(以下「労災二元適用事業等」という)のみに係るものについては、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長並びに都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官)を、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄公共職業安定所長並びに所轄都道府県労働局歳入徴収官(労働保険事務組合であって、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災二元適用事業等のみに係るものについては、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長並びに所轄都道府県労働局歳入徴収官)とする。(平18択)


↓ ただし…


□次の事務については、当分の間、委託事業主の事業場の管轄行政庁に対して行うことができる(整備省令13条)。

 


a) 雇用保険の任意加入申請書及び保険関係消滅申請書の提出


b) 保険関係成立届の提出


c) 名称、所在地等変更届の提出


d) 代理人選任・解任届の提出

 

 

4  業務の廃止等 (法33条3項・4項)                   重要度 ●●●

 

条文

 


3) 認可を受けた事業主の団体又はその連合団体(以下「労働保険事務組合」という)は、業務を廃止しようとするときは、60日前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

(平6択)(平9択)(平15択)(平16択)(平20択)(平23択)


4) 厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)は、労働保険事務組合がこの法律、労災保険法若しくは雇用保険法若しくはこれらの法律に基づく厚生労働省令(以下「労働保険関係法令」という)の規定に違反したとき、又はその行うべき労働保険事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、認可を取り消すことができる。(平7択)(平9択)(平18択)

 

 

ここをチェック

 

□「業務の廃止の届出」は、届書を労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない(則66条)。


↓ なお…


「届書の提出」は、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(労災二元適用事業等に係るものにあっては、その主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長)を経由して行う(則78条3項)。(平9択)

 

-----------------(165ページ目ここから)------------------

 

ちょっとアドバイス

 

□「認可の取消し」は、次のとおりである(則67条)。

 


1) 当該労働保険事務組合に対し文書(「労働保険事務組合認可取消通知書」)をもって行なうものとする。


2) 労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、労働保険事務組合の認可の取消しがあったときは、その旨を、当該労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に通知しなければならない。

(平9択)(平12択)

 

       

↓ なお…


□「労働保険事務組合の認可」は、次の場合にも取り消すことができる(平12.3.31発労徴31号)。

 


a) 認可の基準に反したとき


b) 取消権を留保する条件を付して認可した場合であって取消権行使の条件に該当する事実があったとき

 

 

advance

 

◆組織変更に伴う取扱い

 


労働保険事務組合の認可を受けた団体等について組織変更があり、次のイ又はロに該当する場合であって、その後も引き続いて労働保険事務組合としての業務を行おうとするときは、組織変更前の労働保険事務組合についての業務を廃止する旨の届書を提出し、改めて組織変更後の労働保険事務組合に係る認可の申請をしなければならない。

 


イ) 従来法人格のない団体であったものが、従来と異なる法人格のない団体又は法人となった場合(平15択)


ロ) 従来法人であったものが、法人格のない団体又は従来と異なる法人となった場合

 

 

-----------------(166ページ目ここから)------------------

 

※テキスト166ページ~171ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません

 

 

-----------------(172ページ目ここから)------------------

 

第2節  労働保険事務組合の責任等

 

1  労働保険事務組合に対する通知等 (法34条)           重要度 ●● 

 

条文

 


政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす。
(平2択)(平4択)(平8択)(平12択)(平13択)(平17択)(平18択)

 

 

advance

 

◆労働保険関係法令の規定による通知等 (平12.3.31発労徴31号)

 


a) 労働保険料及びこれに係る徴収金の納入の告知、納入告知以外の通知


b) メリット制の適用に伴う確定保険料額等についての通知


c) 労働保険料等についての督促状による督促     d) 還付金の還付


e) 雇用保険の被保険者資格の得喪を確認した場合における公共職業安定所長の通知


f) 労災保険の特別加入を承認した場合における都道府県労働局長の通知

 

      

  ↓ なお…


□通知等が労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知等の効果は、法律上当然に、委託事業主に及ぶ

 

2  労働保険事務組合の責任等 (法35条)                 重要度 ●●●

 

条文

 


1) 労働保険事務の委託に基づき、事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。

(平2択)(平4択)(平6択)(平11択)(平16択)(平17択)


2) 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。(平2択)(平4択)(平5択)(平8択)(平15択)


3) 政府は、前2項の規定により労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して法27条3項(滞納処分)の規定による処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り*1、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。(平8択)(平10択)(平13択)(平17択)

 

 

-----------------(173ページ目ここから)------------------

 

 

4) 労働保険事務組合は、労災保険法12条の3第2項(虚偽証明による保険給付の不正受給)の規定及び雇用保険法10条の4第2項(虚偽証明による失業等給付の不正受給)の規定の適用については、事業主とみなす。(平5択)(平13択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り」とは、労働保険事務組合に対して滞納処分を行った後でなければ、委託事業主からの徴収はできないということ。

 

□「事業主とみなす」とは、労働保険事務組合が虚偽の届出、報告又は証明をしたため不当な給付が行われたものであるときは、政府は、その労働保険事務組合に対し、これらの給付を受けた者と連帯して、その徴収金の納付をすべきことを命ずることができるということである。

 

3  帳簿の備付け (法36条)                             重要度 ●●●

 

条文

 


労働保険事務組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備えておかなければならない。

 

 

ここをチェック

 

□労働保険事務組合が備えておかなければならない帳簿は、次のとおりとする

(則68条)。

 


a) 労働保険事務等処理委託事業主名簿


b) 労働保険料等徴収及び納付簿(平22択)


c) 雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿(平20択)(平22択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 書類の保存義務 (則72条)

 


事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、徴収法又はこの省令による書類を、その完結の日から3年間(上記c)にあっては、4年間)保存しなければならない。
(平7択)(平11択)(平12択)(平19択)(平22択)(平23択)

 

 

(2) 事業主の代理人 (則73条)

 


1) 事業主は、あらかじめ代理人を選任した場合には、この省令によって事業主が行なわなければならない事項を、その代理人に行なわせることができる。


2) 事業主は、前項の代理人を選任し、又は解任したときは、代理人選任・解任届により、その旨を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。代理人選任・解任届に記載された事項であって代理人の選任に係るものに変更を生じたときも、同様とする。
(平2択)(平9択)(平19択)