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第3節 労働保険料の負担等
1 労働保険料の負担 (法31条) 重要度 ●●●
1) 次に掲げる被保険者は、当該掲げる額を負担するものとする。
イ) 労災保険及び雇用保険の保険関係が成立している事業に係る被保険者
(平22択) |
a)に掲げる額からb)に掲げる額を減じた額の2分の1の額
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a) 当該事業に係る一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額(高年齢者免除額に係る事業にあっては、当該事業に係る一般保険料の額に当該事業に係る高年齢者免除額を加えた額のうち雇用保険率に応ずる部分の額から当該高年齢者免除額を減じた額)
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b) a)の額に相当する額に二事業率を乗じて得た額
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ロ) 雇用保険の保険関係のみが成立している事業に係る被保険者 |
a)に掲げる額からb)に掲げる額を減じた額の2分の1の額
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a) 当該事業に係る一般保険料の額
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b) a)の額に相当する額に二事業率を乗じて得た額
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2) 高年齢者免除額に係る事業に使用される高年齢労働者は、政令で定めるところにより、前項の規定にかかわらず、同項の規定による被保険者の負担すべき一般保険料の額を負担しない。
3) 日雇労働被保険者は、第1項の規定によるその者の負担すべき額のほか、印紙保険料の額の2分の1の額(その額に1円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)を負担するものとする。(平22択)
4) 事業主は、当該事業に係る労働保険料の額のうち当該労働保険料の額から第1項及び前項の規定による被保険者の負担すべき額を控除した額*1を負担するものとする。(平3択)(平5択)(平12択)(平22択)
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◆保険料の種類と負担すべき者のまとめ
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□「高年齢労働者」とは、保険年度の初日において満64歳以上である雇用保険の被保険者であって短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう。
□*1「第1項及び前項の規定による被保険者の負担すべき額を控除した額」とは、一般保険料の事業主負担分と印紙保険料の2分の1の合算額のことである。
2 賃金からの控除 (法32条) 重要度 ●●
1) 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない*1。(平1択)(平4択)(平19択)
2) 法8条1項又は2項(請負事業の一括又は下請負事業の分離)の規定により事業主とされる元請負人は、その使用する労働者以外の被保険者の負担すべき額に相当する額の賃金からの控除を、当該被保険者を使用する下請負人に委託することができる。
3) 第1項の規定は、前項の規定により下請負人が委託を受けた場合について準用する。
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□「賃金からの控除」の方法は、次のとおりである(則60条)。
1) 事業主は、被保険者に賃金を支払う都度、当該賃金に応ずる被保険者の負担すべき一般保険料の額に相当する額(日雇労働被保険者にあっては、当該額及び印紙保険料の額の2分の1の額に相当する額)を当該賃金から控除することができる。 (平7択)(平10択)(平11択)(平16択)
(例)日当払いの労働者について、数日分をまとめて控除することはできない。
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2) 事業主は、一般保険料控除計算簿を作成し、事業場ごとにこれを備えなければならない。 (平4択)
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□*1「被保険者に知らせなければならない」とは、労働保険料の控除に関する計算書を被保険者に交付することが必要であり、口頭での通知の方法は認められていない。(平7択)(平16択)
↓ なお…
給与明細書に「労働保険料の控除に関する一欄」を設けることによって代えることができる。
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※テキスト156ページ~158ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません
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第 7 章
労働保険事務組合
第1節 労働保険事務組合の認可 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・160
第2節 労働保険事務組合の責任等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・172
第3節 報奨金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・174 |
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第1節 労働保険事務組合の認可
1 労働保険事務組合 (法33条1項) 重要度 ●●●
◆労働保険事務組合(以下「事務組合」とする)の趣旨
(1) 徴収側(政府)の立場から
a) 労働保険事務処理の円滑化:労働保険料の誤った申告・納付の防止につながる。
b) 事業主の事務処理負担の軽減:適用事業主の事務処理業務からの開放。
c) 事務組合に対する保険料収納の取りまとめ委託:確実な保険料徴収が見込める。
(2) 委託側(事業主)の立場から
a) 保険料額の多少にかかわらず「延納」が可能:資金調達の緊急度を緩和できる。
b) 中小事業主等である場合は「特別加入」が可能:家族従事者も含めて労災保険の適用が受けられる。
(3) 受託側(事務組合)の立場から
a) 所属会員のサポートと囲い込み:会員特典的な位置づけとしてアピールできる。
b) 保険料収納に対する「報奨金」の受領:事務組合設置団体等の増収になる。
↓ なお…
「事務組合」は、特定の団体等において、加入事業主の労働保険事務を「専門的に処理する部署」の名称と考えるとよい(開業社労士が認可を受けているケースも多い)(平6択)
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↓ 特徴として…
イ) 委託事業主の従業員について、事務組合は、労働保険法上の事業主となる。
(例えば、雇用保険の資格得喪の手続き上の事業主は、「事務組合」となる)
ロ) 委託事業主の事務手続きは、事務組合の所轄行政庁に対して行う。
(本来の事務手続きは、事業所の所轄行政庁に対して行うことを原則とする)
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中小企業等協同組合法3条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数*1を超える数の労働者を使用する事業主を除く)の委託を受けて、この章の定めるところにより、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く、「労働保険事務」という)を処理することができる。(平1記)
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□*1「委託事業主の範囲」は、次の要件を満たすものとする(則62条)。
1) 事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であって、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるものであること。(平4択)(平13択)(平18択)
2) 常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業主であること。
(平4択)(平5択)(平10択)(平12択)(平19択)(平1記)
3) 労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、必要があると認めたときは、当該労働保険事務組合に対し、当該労働保険事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることができる事業の行われる地域について必要な指示をすることができる。
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□継続事業であると有期事業であるとを問わず、委託することができる。
(平19択)(平21択)
□同一事業主が場所的に独立した異種事業を行う場合には、それぞれ別個の事業として取り扱うため、個々の事業ごとに労働者数を判断する(平12.3.31発労徴31号)。(平8択)
2 認可の申請と基準 (法33条2項) 重要度 ●●●
事業主の団体又はその連合団体は、前項に規定する業務を行なおうとするときは、厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)の認可を受けなければならない。(平16択)(平19択)
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□「認可の申請」に関する手続きは、次のとおりである(則63条)。
イ) 労働保険事務組合の認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、労働保険事務組合認可申請書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。(平16択)
ロ) 申請書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
a) 定款、規約等団体又はその連合団体の目的、組織、運営等を明らかにする書類(団体が法人であるときは、登記事項証明書を含む)
b) 労働保険事務の処理の方法を明らかにする書類
c) 最近の財産目録、貸借対照表及び損益計算書等資産の状況を明らかにする書類
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↓ また…
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□労働保険事務組合は、イの認可申請書又はロのa)若しくはb)に掲げる書類に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない(則65条)。
(平5択)(平8択)(平10択)(平12択)(平20択)