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労働保険徴収法(4)-7

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2  延滞金 (法28条)                                   重要度 ●●●

 

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◆延滞金の性質と追徴金との比較

 


イ) 確定保険料の認定決定が行われたときは、その不足する労働保険料額について追徴金が発生する。


↓ この場合は…

 


督促を前提として発生するのではない!(納付すべき保険料を納付しない行為に対する懲罰的金銭である)

 

 

↓ 次に…


その決定された労働保険料額が未納であることにつき督促を受け、当該指定納期限までに完納しなかったときは、未納保険料分について延滞金が発生する。


↓ この場合は…

 


督促の効果として発生する!(公法上の「遅延利息」と考えればよい)

 

 

ロ) 概算保険料は、原則として、前払い金的な労働保険料である。


↓ したがって…

 


認定決定を受けても懲罰的徴収金(追徴金)の対象とはならない

 

 

↓ しかし…


概算保険料は労働保険料であるから、納期限を守らなければ督促の手続を経て、その未納保険料分について延滞金が発生する。

 

 

ハ) 追徴金も延滞金も労働保険料ではないが、徴収法の規定による「徴収金」である。 (平3択)(平6択)(平14択)(平16択)(平22択)


↓ したがって…

 


a) 滞納すれば督促を受けることとなり、滞納処分の対象にもなる。


↓ しかし…


b) あくまでも労働保険料ではないから、さらに延滞金が課せられることはない

 

 

条文

 


1) 政府は、前条第1項(督促及び滞納処分)の規定により労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3%(当分の間軽減措置あり*1))の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、労働保険料の額が1,000円未満であるときは、延滞金を徴収しない。
(平4択)(平10択)(平14択)(平15択)(平17択)(平19択)

(平22択)

 

 

ここをチェック

 

□「納期限の翌日」とは、当該労働保険料の本来の納期限の翌日であって、督促状に指定した期限の翌日ではない。(平3択)(平10択)(平17択)

 

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◆延滞金の計算のまとめ

 


イ) 督促した労働保険料の額が1,000円未満であるとき(1項ただし書き)(平10択)(平15択)(平16択)

 

徴収しない

 

ロ) 労働保険料の額の一部につき納付があったときの、その納付の日以後の期間に係る延滞金の額の計算の基礎となる労働保険料の額(2項)(平12択)

 

その納付のあった労働保険料の額を控除した額を算定の基礎とする

 

ハ) 労働保険料の額に1,000円未満の端数があるとき(3項)(平15択)

 

その端数は、切り捨てる

 

ニ) 計算した延滞金の額に100円未満の端数があるとき(4項)(平15択)

 

その端数は、切り捨てる

 

ホ) 次のいずれかに該当する場合(5項)


a) 督促状に指定した期限までに労働保険料その他この法律の規定による徴収金を完納したとき

(平12択)(平20択)


b) 納付義務者の住所又は居所がわからないため、公示送達の方法*2によって督促したとき

(平3択)(平10択)(平17択)


c) 延滞金の額が100円未満であるとき


d) 労働保険料について滞納処分の執行を停止し、又は猶予したとき(その執行を停止し、又は猶予した期間に対応する部分の金額に限る)(平8択)


e) 労働保険料を納付しないことについてやむを得ない理由*3があると認められるとき(平16択)

 

徴収しない

 

advance

 

◆*1 延滞金の割合の特例 (法附則12条)

 


法28条1項に規定する延滞金の「年7.3%」の割合は、当分の間、同項の規定にかかわらず、各年の特例基準割合(各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法15条1項1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合をいう)が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる)とする。
*平成23年の特例基準割合は、年4.3%とされている。

 

 

 

□*2 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金に関する「公示送達」は、当該都道府県労働局の掲示場に掲示することにより行うものとする

(則61条、平15.3.31基発0331002号)。

 


a) 督促状の送達を受けるべき者の住所及び居所が明らかでない場合


b) 外国においてすべき督促状の送達において困難な事情があると認められる場合

 

 

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   ↓ なお…


□公示送達の方法による督促を行った場合、公示送達書の掲示日から起算して7日を経過した日に送達の効力が生ずるが、この場合は、所定の期限までに徴収金の完納がなくとも延滞金は徴収されない。(平10択)

 

□*3 「やむを得ない理由」とは、天災地変等不可抗力によりやむなく滞納した場合をいい、事業の不振又は金融事情等の経済的事由によって労働保険料を滞納している場合は、やむを得ない理由があるとは認められず、延滞金は徴収される(平15.3.31基発0331002号)。(平10択)(平17択)

 

3  先取特権の順位 (法29条)                           重要度 ●   

 

条文

 


労働保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(平12択)(平16択)(平19択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「先取特権」とは、法律で定められた一定の債権者が、債務者の財産について他の債権者に優先して弁済を受けることを内容とする権利をいう。


↓ したがって…


徴収金につき差押えをしている場合に、国税、地方税の交付要求があったときは、差押えに係る徴収金に優先してこれらに配当しなければならない(昭56.9.25労徴発68号)。 (平5択)

 

4  徴収金の徴収手続 (法30条)                         重要度 ●   

 

条文

 


労働保険料その他この法律の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収する。

 

 

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※テキスト150ページ~153ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません