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労働保険徴収法(4)-1

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テキスト本文の開始

 

 

 

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第2節  有期事業のメリット制

 

1  有期事業の適用要件 (法20条1項)                   重要度 ●   

 

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◆全体の流れ

 


Step.1 <工事の終了から「3箇月を経過」した時点>

 


a) 保険給付額が確定しているとき

(無事故or治療等の補償が終了している場合)


b) 未確定だが、高額の保険給付額を見込む必要がないとき

(療養継続中だが小規模な事故の場合)

 

 

↓ このような場合は…


「第1種調整率」を用いた収支率で算定し、最終的な保険料徴収額を決定する。


↓ ところが…


今後も継続的な保険給付が見込まれるため、その時点においては保険給付額の確定ができないとき(一般的には大規模な事故が発生した場合)は…


↓ 次の評価時期として…


Step.2 <工事の終了から「9箇月を経過」した時点>
「第2種調整率」を用いた収支率で算定し、最終的な保険料徴収額を決定する。
(第2種調整率は、第1種調整率に比べ調整度合いが厳しく事業主には不利となる)

 

 

条文

 


労災保険に係る保険関係が成立している有期事業であって厚生労働省令で定めるもの*1が次のいずれかに該当する場合には、確定保険料の特例による一般保険料の額とすることができる。(平9択)

 


イ) 事業が終了した日から3箇月を経過した日前における収支率*2が、100分の85を超え、又は100分の75以下であって、その割合がその日以後において変動せず、又は厚生労働省令で定める範囲を超えて変動しないと認められるとき

 

 

ロ) イ)に該当する場合を除き、事業が終了した日から9箇月を経過した日前における収支率*3が、100分の85を超え、又は100分の75以下であるとき。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働省令で定める」事業は、建設の事業又は立木の伐採の事業であって、その規模が次のいずれかに該当するものとする(則35条)。

(平1択)(平2択)(平9択)

 


a) 確定保険料の額が100万円以上であること


b) 建設の事業にあっては請負金額が1億2,000万円以上、立木の伐採の事業にあっては素材の生産量が1,000立方メートル以上であること

 

 

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advance

 

□*2 事業が終了した日から3箇月を経過した日前における収支率は、次の算式である。

 

 

□*3 事業が終了した日から9箇月を経過した日前における収支率は、次の算式である。

 

 

□「第2種調整率」は、次の事業の区分に応じ、当該定める率とする

(則35条の2)。

 


事業の種類

 

 

調整率

 

イ) 建設の事業

 

100分の50

 

ロ) 立木の伐採の事業

 

100分の43

 

2  適用の効果 (法20条1項後段)                       重要度 ●● 

 

条文

 


政府は、その事業の一般保険料に係る確定保険料の額をその額(労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、当該事業についての労災保険率に応ずる部分の額)から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に100分の40の範囲内において厚生労働省令で定める率*1を乗じて得た額だけ引き上げ又は引き下げて得た額を、その事業についての一般保険料の額とすることができる。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆メリット労災保険料の計算方法

 

 

□*1 収支率に応じて「建設の事業」は、±40%の範囲内において±5%を単位として、収支率が100分の85を超える場合は引き上げられ100分の75以下である場合は引き下げられる(則別表第6)。


↓ ただし…


「立木の伐採の事業」については、±35%の範囲内において引き上げ又は引き下げられる。(平9択)

 

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advance

 

◆確定保険料の特例が適用された場合の行政手続 (法20条3項)

 


政府は、労働保険料の額を引き上げ又は引き下げた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その引き上げ又は引き下げられた労働保険料の額と確定保険料の額との差額を徴収し、未納の労働保険料その他この法律の規定による徴収金に充当し、又は還付するものとする。(平9択)

 

 

(1)【差額を徴収する場合】(則35条4項)

 


確定保険料の特例により当該額を引き上げた場合の差額を徴収しようとするときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日(当日起算)を納期限と定め、納入告知書によって、引き上げられた額と納付済の額との差額及び納期限を事業主に通知しなければならない。

(平1択)(平9択)(平22択)

 

 

(2)【差額を還付する場合】(則36条)

 


事業主が、確定保険料の特例により、引き下げられた労働保険料の額についての所轄都道府県労働局歳入徴収官の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、すでに納付した確定保険料の額のうち、当該超過額の還付を労働保険料還付請求書によって請求したときは、所轄都道府県労働局資金前渡官吏は、その超過額を還付するものとする。(平22択)

 

 

(3)【差額を充当する場合】(則37条)

 


事業主からの還付の請求がないときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該超過額を他の未納の労働保険料その他徴収法の規定による徴収金(追徴金、延滞金等)又は未納の一般拠出金等に充当する。


↓ この場合は…


その旨を事業主に通知しなければならない(事業主の請求や承認は不要)。

 

 

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※テキスト120ページ~124ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません