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労働保険徴収法(3)-14

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テキスト本文の開始

 

 

 

 

ここで具体例!

 

◆調整率の意義と収支率の関係

 


ある会社が納付した保険料の全額をその会社がそっくりそのまま受給できるような収支の仕組みは、保険制度としては成り立たない。


↓ そこで…


同じ規模の保険関係であっても、その業種に応じて適正な収支基準に調整しその範囲を超えて保険給付を受けた場合には、保険料の割増徴収の対象になり得るとするもので、業種ごとの労災事故の発生リスクを考慮して決められている。


↓ なお…


以下の具体例は、調整率の性質を明確にするため、事業の種類が異なる各社(A・B・C)の過去3年間における保険料の額及び保険給付の額が同額であったことと仮定し、収支率を算出してメリット労災保険率の適用の判断を示したものである。

 

 

 

林業の事業
A社

 

建設の事業
B社

その他の事業
C社

 

a) 労災保険料額

 

100

 

100

100

 

b) 第1種調整率

 

51/100

63/100

67/100

 

c) 保険給付等の額

 

50

50

50

 

d) a)×b)

 

51

63

67

 

収支率(%)≒ c)/d)

 

98.0(>85)

79.4

74.6(≦75)

 

メリット適用の効果

 

引き上げ

なし

引き下げ

 

advance

 

改正

 

□東北地方太平洋沖地震(以下「地震」という)に伴い業務災害が生じ、これについて多くの労災保険給付等が給付されることが見込まれるが、地震に伴う業務災害について支給された労災保険給付等の額は、メリット収支率の算定に反映させないものとした(平23.8.11基発0811第1号)。

 


a) 徴収則第18条の特例を設け、徴収法第12条第3項及び第20条第1項のメリット収支率の算定に当たり、地震に伴う業務災害について給付した労災保険給付については、その額に厚生労働大臣が定める率(零)を乗じて得た額を算入するものとしたこと。


b) 徴収則第18条の2の特例を設け、メリット収支率の算定に当たり、地震に伴う業務災害について給付した特別支給金の額は算入しないものとしたこと。

 

 

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2  適用の効果 (継続事業・法12条3項)                 重要度 ●   

 

条文

 


収支率が、100分の85を超え、又は100分の75以下である場合には、当該事業について、労災保険率から非業務災害率を減じた率を100分の40の範囲内において厚生労働省令で定める率*1だけ引き上げ又は引き下げた率に非業務災害率を加えた率を、当該事業についての基準日の属する保険年度の次の次の保険年度の労災保険率とすることができる。

 

 

ここをチェック

 

◆メリット労災保険率の計算方法

 


メリット保険率={(本来の労災保険率-非業務災害率)×(60/100~140/100)}+非業務災害率

 

 

ちょっとアドバイス

 

□メリット労災保険率は、雇用保険率については適用されない。(平1択)

 

□*1 収支率に応じて、±40%の範囲内(一括有期事業たる「建設の事業」を含む)において±5%を単位として、収支率が100分の85を超える場合は引き上げられ100分の75以下である場合は引き下げられる(則別表第3)。


↓ ただし…


一括有期事業たる「立木の伐採の事業」については、±35%の範囲内において引き上げ又は引き下げられる。(平9択)