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労働保険徴収法(2)-13

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5  増加概算保険料の納付 (法16条)                     重要度 ●●●

 

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◆増加概算保険料制度の必要性

 


年度途中において賃金総額の大幅な増加が見込まれるなど一定の要件を満たしたとき、事業主は、増加概算保険料の申告・納付が必要とされる。


↓ では、なぜ…


こうした制度が設けられているのか?実務上の効果から検証してみよう!

 


仮に、年度始めに100万円の概算保険料を納付したA社において、年度の途中でB社との合併が行われ従業員規模が数倍に至り、この年度の最終概算保険料の予想額が250万円になったとする。
そして、この概算保険料額の250万円が確定した場合において、増加概算保険料の手続きが行われなかったとすると、翌年度の年度更新時には、不足額150万円(250万円-100万円)+新たな年度の概算保険料額250万円=400万円を納付しなければならないため、A社には一時的に過大な保険料負担が生ずることとなる。

 

      

  ↓ そこで…


概算増加分の150万円については、実際に増加した年度内に納付させることとし、新たな年度の年度更新時において多額の不足額が生じないように設けられた制度である。

 


a) 保険料徴収側(政府)におけるメリットだけでなく、資金繰りの面からみれば納付側(企業)にとって有意義な制度といえる。


b) 保険年度当初から賃金総額の増加を予想し、当初の概算保険料によって納付している事業主との整合性を図る目的もある。

 

 

条文

 


事業主は、賃金総額の見込額、特別加入保険料算定基礎額の総額の見込額(以下「保険料算定基礎額の見込額」とする)が増加した場合において厚生労働省令で定める要件に該当するとき*1は、その日から30日以内に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、その額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書(増加概算保険料申告書)に添えて納付しなければならない。(平19択)(平23択)

 

 

ここをチェック

 

□*1「厚生労働省令で定める要件」とは、次のとおりである。

 


イ) 増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるとき(則25条1項) (平11択)(平14択)(平16択)(平19択)(平21択)

 

 

ロ) 労災保険又は雇用保険のいずれかに係る保険関係が成立している事業が労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立するに至ったため当該事業に係る一般保険料率が変更した場合において厚生労働省令で定める要件に該当するとき

(法附則5条)

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↓ 具体的には…

 


変更後の一般保険料率に基づき算定した概算保険料の額が既に納付した概算保険料の額の100分の200を超え、かつ、その差額が13万円以上であること(則附則4条1項)(平5択)(平23択)

 


ちょっとアドバイス

 

□増加概算保険料に係る「認定決定」は行われない。

(平5択)(平8択)(平23択)

 

□「その日」から30日以内とは、次の日をいう。

 


【イ)の場合】
保険料算定基礎額の増加が見込まれた日であり、支払った賃金総額等が現実に100分の200を超えるに至った日ではない。

(平4択)(平8択)(平18択)(平23択)

 

 

【ロ)の場合】
一般保険料率が変更された日である。