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労働安全衛生法(2)-8

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テキスト本文の開始

 

 

 

 

5  海外派遣労働者の健康診断 (則45条の2)         重要度 ●   

 

条文

 


1) 事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、則44条1項各号(定期健康診断)に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目*1のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。(平2択)(平19択)

 

 

 

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2) 事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く)は、当該労働者に対し、則44条1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。(平6択)(平19択)


3) 健康診断は、則43条(雇入れ時)、則44条(定期)、前条(特定業務従事者)又は法66条2項前段(特殊)の健康診断を受けた者(則43条1項ただし書に規定する書面を提出した者を含む)については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。


4) 則44条第2項の規定は、海外派遣労働者の健康診断について準用する。

 


□定期健康診断のc)及びd)に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準*2に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。

 

 

advance

 

□*1「厚生労働大臣が定める項目」とは、定期健康診断の項目に加えて、次のとおりである(平11.6.30労告47号)。

 


a) 腹部画像検査    b) 血液中の尿酸の量の検査    c) B型肝炎ウイルス抗体検査
d) ABO式及びRh式の血液型検査(派遣前に限る)   e) 糞便塗抹検査(帰国後に限る)

 

 

□*2「厚生労働大臣が定める基準」とは、次の検査項目について省略が認められる次の者である(平11.6.30労告46号)。

 


検査項目

 

 

省略が認められる者

身長検査

 

20歳以上の者

 

腹囲検査

 

a) 40歳未満の者(35歳の者を除く)


b) 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者


c) BMI=体重(Kg)÷(身長(m)×身長(m))が20未満である者


d) 自ら腹囲を測定しその値を報告した者(BMIが22未満である者に限る)

 

喀痰検査

 

a) 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者


b) 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者

 

 

6  給食従業員の検便 (則47条)                     重要度 ●   

 

条文

 


事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければならない。(平9択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□検便検査は、雇入れ後において「定期」に行う必要はない。(平15択)

 

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7  特殊健康診断 (法66条2項・3項)                 重要度 ●● 

 

条文

 


2) 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。


3) 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

 

 

outline

 

◆特殊健康診断のまとめ

 

 

有害業務従事中

有害業務従事後

 

歯科医師による健康診断

 

実施時期

 

a) 雇入れ時


b) 配置替え


c) 原則として、3月又は6月以内ごとに1回

 

6月以内ごとに1回
(一定のものは1年以内ごとに1回)

 

a) 雇入れ時


b) 配置替え


c) 6月以内ごとに1回

 


ちょっとアドバイス

 

◆政令で定める有害業務 (令22条)


(1) 現に従事する業務 (1項)

 


有害業務従事中の健康診断は、常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後定期(3月以内又は6月以内ごとに1回)に行わなければならない。

 

 

a) 高圧室内業務及び潜水業務    b) 放射線業務(平7択)


c) 一定の特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う業務、石綿等を取り扱う業

務又は製造禁止物質を試験研究のため製造し、若しくは使用する業務


d) 鉛業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く)


e) 四アルキル鉛等業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く)


f) 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務

 

 

(2) 過去に従事させたことのある業務 (2項)

 


有害業務従事後の健康診断は、常時従事させた労働者に対し、6月以内ごとに1回(一定のものは、1年以内ごとに1回)、定期に、行わなければならない。

 

 

次の物を製造し、若しくは取り扱う業務(一定のものを製造する事業場以外の事業場においてこれらの物を取り扱う業務を除く)又は石綿等の製造若しくは取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務とする。

(平1択)(平8択)

 

 

a) ベンジジン及びその塩     b) 石綿     c) ビス(クロロメチル)エーテル
d) ジクロルベンジジン及びその塩     e) ベリリウム及びその化合物 etc.

 

 

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(3) 歯科医師による健康診断が必要となる業務 (3項)

 


歯科医師による健康診断は、常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6月以内ごとに1回、定期に、行なわなければならない(則48条)。(平2択)(平6択)(平15択)(平16択)

 

 

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務である。

 

 

8  臨時の健康診断 (法66条4項)                       重要度 ●● 

 

条文

 


都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。*1
(平1択)(平23択)(平8記)(平14選)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない(法66条5項)。(平2択)

 

advance

 

□*1 健康診断の指示は、実施すべき健康診断の項目、健康診断を受けるべき労働者の範囲その他必要な事項を記載した文書により行なうものとする(則49条)。

 

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※テキスト103ページ~107ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません