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労働安全衛生法(2)-7

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テキスト本文の開始

 

 

 

 

2  雇入時の健康診断 (則43条)               重要度 ●● 

 

条文

 


事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

(平17択)(平23選)


ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(平9択)

 

 

a) 既往歴及び業務歴の調査(平17択)

 

b) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

 

c) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1,000Hz及び4,000Hzの音に係る聴力をいう)の検査


d) 胸部エックス線検査    e) 血圧の測定


f) 血色素量及び赤血球数の検査(以下「貧血検査」という)


g) 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の検査(以下「肝機能検査」という)


h) 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(以下「血中脂質検査」という)


i) 血糖検査   j) 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(以下「尿検査」という)   k) 心電図検査

 

 

ここをチェック

 

□「常時使用する労働者」には、期間の定めのある労働契約により使用される労働者であって、1年(一定の有害業務に従事する場合には6箇月)以上使用されることが予定される者も含まれる。

 

 

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□常時使用する労働者に該当するときは、短時間労働者であっても、当該短時間労働者の1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上である場合には、健康診断を実施しなければならない(平5.12.1基発663号)。
(平15択)(平19択)

 

3  定期健康診断 (則44条)                   重要度 ●    

 

条文

 


1) 事業者は、常時使用する労働者(特定業務従事者である労働者を除く)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

 

 

a) 既往歴及び業務歴の調査     b) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
c) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査     d) 胸部エックス線検査及び喀痰検査
e) 血圧の測定     f) 貧血検査     g) 肝機能検査     h) 血中脂質検査
i) 血糖検査     j) 尿検査     k) 心電図検査

 

 

2) 上記c)、d)、f)からi)まで及びk)に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準*1に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。


3) 第1項の健康診断は、前条(雇入れ時)、則45条の2(海外派遣時)又は法66条2項前段(特殊)の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む)については、当該健康診断の実施の日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。


4) 上記c)に掲げる項目(聴力の検査に限る)は、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く)については、医師が適当と認める聴力(1,000ヘルツ又は4,000ヘルツの音に係る聴力を除く)の検査をもって代えることができる。

 

 

advance

 

□*1「厚生労働大臣が定める基準」とは、次の検査項目について省略が認められる次の者である(平22.1.25厚労告25号)。

 


検査項目

 

省略が認められる者

 

身長検査

 

20歳以上の者

 

腹囲検査

 

a) 40歳未満の者(35歳の者を除く)


b) 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者


c) BMI=体重(Kg)÷(身長(m)×身長(m))が20未満である者


d) 自ら腹囲を測定しその値を報告した者(BMIが22未満である者に限る)

 

胸部エックス
線検査

40歳未満の者(20歳、25歳、30歳及び35歳の者を除く)で、次のいずれにも該当しないもの


a) 感染症予防法に掲げる一定の(具体的には、学校、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者)であること(結核に係る定期健康診断の対象となる施設等の労働者)

 

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b) じん肺法に掲げる一定の者(具体的には、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理1のもの又は常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者)であること(3年ごとにじん肺健康診断の対象となる労働者)

 

喀痰検査

 

a) 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者


b) 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者


c) 上記「胸部エックス線検査」を省略できる者

 

 

貧血検査、

肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、

心電図検査

 

40歳未満の者(35歳の者を除く)(平2択)(平6択)(平9択)

 

4  特定業務従事者の健康診断 (則45条)            重要度 ●    

 

条文

 


1) 事業者は、則13条1項2号に掲げる業務*1に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、則44条1項各号(定期健康診断)に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項d)(胸部エックス線検査及び喀痰検査)の項目については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとする。(平17択)


2) 前項の健康診断(定期のものに限る)は、前回の健康診断において定期健康診断のf)からi)まで及びk)に掲げる項目について健康診断を受けた者については、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。


3) 則44条2項及び3項の規定は、特定業務従事者の健康診断について準用する。

 


□定期健康診断のc)、d)、f)からi)まで及びk)に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準*2に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。


□健康診断は、則43条(雇入れ時)、則45条の2(海外派遣時)又は法66条2項前段(特殊)の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む)については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

 

 

4) 健康診断(定期のものに限る)の項目のうち定期健康診断のc)に掲げる項目(聴力の検査に限る)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く)については、医師が適当と認める聴力(1,000ヘルツ又は4,000ヘルツの音に係る聴力を除く)の検査をもって代えることができる。

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1「則13条1項2号に掲げる業務」とは、「専属の産業医」を選任すべき一定規模以上の事業場において行われる有害業務(特定業務)をいう。

 


a) 多量の高熱(低温)物体を取り扱う業務及び著しく暑熱(寒冷)な場所における業務


b) ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務


c) 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務


d) 異常気圧下における業務


e) さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務


f) 重量物の取扱い等重激な業務


g) ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務(平17択)


h) 坑内における業務


i) 深夜業を含む業務(平12択)(平17択)


j) 病原体によって汚染のおそれが著しい業務 etc.

 

 

advance

 

□*2「厚生労働大臣が定める基準」とは、次の検査項目について省略が認められる次の者である(平22.1.25厚労告25号)。

 


検査項目

 

省略が認められる者

 

身長検査

 

20歳以上の者

 

腹囲検査

 

a) 40歳未満の者(35歳の者を除く)


b) 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者


c) BMI=体重(Kg)÷(身長(m)×身長(m))が20未満である者


d) 自ら腹囲を測定しその値を報告した者(BMIが22未満である者に限る)

 

喀痰検査

 

a) 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者


b) 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者

 

 

貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、

心電図検査

 

40歳未満の者(35歳の者を除く)