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労働安全衛生法(2)-6

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第2節 健康診断等

 

1  一般健康診断の種類 (法66条1項)                   重要度 ●   

 

条文

 


事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。(平1択)

 

 

outline

 

□「厚生労働省令で定める健康診断」とは、次の5種類をいい、実施の時期、対象者、省略できる場合等が定められている。

 

名称

 

実施時期

 

省略できる場合

 

 

雇入時

(則43条)

 

雇入れ時

 

他の健康診断実施後3月を経過しない者が健康診断結果の証明書を事業者に提出した場合

定期 (則44条)

1年以内ごとに1回

 

イ) 実施から1年を経過しない場合の「雇入れ時」、「海外派遣時」、「特殊健診」における実施項目


ロ) 医師の診断による次の場合

 


a) 身長:20歳以上の者


b) 腹囲:40歳未満のもの等一定の者


c) 胸部エックス線検査:40歳未満のもの等一定の者


d) 喀痰:病変の発見されない者等一定の者


e) 貧血検査等5項目*:40歳未満(35歳の者を除く)

 

特定業務 従事者
(則45条)

a) 配置替え


b) 6月以内ごとに1回

 

イ) 実施から6月を経過しない場合の「雇入れ時」、「海外派遣時」、「特殊健診」における実施項目


ロ) 上記「定期健康診断のロ」と同じ場合(ただし、c)胸部エックス線検査の省略はなし)

 

海外派遣
(則45条 の2)

6月以上の派遣時(出国、入国ともに対象)

 

イ) 実施から6月を経過しない場合の「雇入時」、「定期」、「特定業務従事者」、「特殊健診」における実施項目


ロ) 医師の診断による次の場合

 


a) 身長:20歳以上


b) 腹囲:40歳未満のもの等一定の者


c) 喀痰:胸部エックス線検査によって病変の発見されない者等一定の者

 

 

検便
(則47条)

 

給食業務に従事する労働者に対し、「雇入れ時」及び「配置替え時」に実施 (なお、省略項目は認められていない)

 

 

*表中の「5項目」とは、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、心電図の各検査のことをいう。

 

 

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ちょっとアドバイス

 

◆健康診断の実施時間と「賃金」(昭47.9.18基発602号)

 


a) 健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可決な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい

 

 

b) 特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行なわれるのを原則とする。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものである。