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労働安全衛生法(2)-2

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テキスト本文の開始

 

 

 

5  定期自主検査 (法45条)                             重要度 ●● 

 

条文

 


1) 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。(平1択)(平10択)


2) 事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定自主検査」という)を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は厚生労働大臣若しくは都道府県労働局長の登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(以下「検査業者」という)に実施させなければならない。(平10択)


3) 厚生労働大臣は、自主検査の適切かつ有効な実施を図るため必要な自主検査指針を公表するものとする。

 

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□「政令で定める機械等」とは、次のとおりである。(平7択)

 


定期自主検査 (令15条1項)

 

特定自主検査 (令15条2項)

 

特に指定なし

 

a) その使用する労働者で一定の資格を有するもの(有資格労働者)  

 

b) 検査業者

 

 

a) 特定機械等(平4択)


b) 絶縁用防護具


c) つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満のクレーン


d) つり上げ荷重が0.5トン以上2トン未満のデリック


e) 動力により駆動されるシャー


f) 第2種圧力容器、小型ボイラー


g) アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置


h) 化学設備及びその附属設備 etc.

 

 

a) フォークリフト・不整地運搬車

(平6択)


b) 動力により駆動されるプレス機械
(平8択)(平11択)


c) 建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもの

(ブルドーザー等)


d) 作業床の高さが2メートル以上の高所作業車

 

advance

 

□厚生労働大臣は、第3項の自主検査指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは検査業者又はこれらの団体に対し、当該自主検査指針に関し必要な指導等を行うことができる(法45条4項)。

 

□「検査業者になろうとする者」は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省又は都道府県労働局に備える検査業者名簿に、氏名又は名称、住所その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない(法54条の3第1項)。

 

 

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第3節  有害物に関する規制

 

1  製造等の禁止 (法55条)                             重要度 ●   

 

条文

 


黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するとき*1は、この限りでない。

(平7択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「政令で定める要件」とは、次のとおりである(令16条2項)。

 


イ) あらかじめ都道府県労働局長の許可を受けること。(平11択)


ロ) 厚生労働大臣が定める基準に従って製造し、又は使用すること。

 

 

advance

 

□「政令で定めるもの(製造禁止物質)」は、次のとおりである(令16条1項)。

 


a) 黄りんマッチ     b) ベンジジン及びその塩     c) 四-アミノジフェニル及びその塩
d) 石綿    e) 四-ニトロジフェニル及びその塩    f) ビス(クロロメチル)エーテル
g) β-ナフチルアミン及びその塩


h) ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるもの


i) b)、c)若しくはe)~g)に掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又はd)に掲げる物をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物

 

 

2  製造の許可 (法56条)                               重要度 ●   

 

条文

 


1) ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるもの*1を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(平1択)(平5択)(平11択)


2) 厚生労働大臣は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 

 

 

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advance

 

□*1「政令で定めるもの(製造許可物質)」は、次のとおりである

(令17条、令別表第3)。

 


a) ジクロルベンジジン及びその塩     b) α-ナフチルアミン及びその塩
c) PCB(塩素化ビフェニル)     d) オルト-トリジン及びその塩
e) ジアニシジン及びその塩     f) ベリリウム及びその化合物     g) ベンゾトリクロリド


h) a)~f)に掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又はg)に掲げる物をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3%を超えて含有するものに限る)

 

 

(1) 製造者の責務 (法56条3項・4項)

 


a) 製造者は、その製造設備を、厚生労働大臣の定める基準に適合するように維持しなければならない。


b) 製造者は、厚生労働大臣の定める基準に適合する作業方法に従って製造許可物質を製造しなければならない。

 

 

(2) 厚生労働大臣の権限 (法56条5項・6項)

 


a) 厚生労働大臣は、製造者の製造設備又は作業方法が厚生労働大臣の定める基準に適合していないと認めるときは、当該基準に適合するように製造設備を修理し、改造し、若しくは移転し、又は当該基準に適合する作業方法に従って製造許可物質を製造すべきことを命ずることができる


b) 厚生労働大臣は、製造者がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したときは、製造の許可を取り消すことができる

 

 

3  表示等 (法57条)                                   重要度 ●   

 

条文

 


1) 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は製造許可物質を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。(平6択)

 


イ) 次に掲げる事項
a) 名称     b) 成分     c) 人体に及ぼす作用(平11択)
d) 貯蔵又は取扱い上の注意   e) a~dまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項


ロ) 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの

 

 

2) 前項の政令で定める物又は製造許可物質を前項に規定する方法以外の方法*1により譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。

 

 

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advance

 

□「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には、薬事法に定められている医薬品、医薬部外品および化粧品が含まれる。また、「名称」の表示は、商品名の記載でも差し支えない(昭47.9.18基発602号)。

 

□*1「前項に規定する方法以外の方法」とは、タンクローリ一車による輸送等である。


↓ この場合


◆文書の交付 (則34条)

 


文書は、容器に入れ、又は包装して譲渡し、又は提供する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する際に交付しなければならない。ただし、継続的に又は反復して譲渡し、又は提供する場合において、既に当該文書の交付がなされているときは、この限りでない。

 

 

4  文書の交付等 (法57条の2)                         重要度 ●   

 

条文

 


1) 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は製造許可物質(以下「通知対象物」*1という)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条2項に規定する者にあっては、同項に規定する事項を除く)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

 


a) 名称     b) 成分及びその含有量     c) 物理的及び化学的性質
d) 人体に及ぼす作用     e) 貯蔵又は取扱い上の注意
f) 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
g) a)~f)に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

 

 

2) 通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法*2により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。

 

 

advance

 

□*1「名称等を通知すべき危険物及び有害物(通知対象物)」は、一酸化炭素、硫化水素、ガソリン、軽油、灯油等別表第9に掲げる物(約630品目)とする(令18条の2)。

 

□*2「通知の方法」は、文書の交付のほか、磁気ディスクの交付、ファクシミリ装置を用いた送信その他の方法であって、その方法により通知することについて相手方が承諾したものとする(則34条の2の3)。

 

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◆法令等の周知 (法101条2項)

 


事業者は、法57条の2第1項又は第2項の規定により通知された事項を、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で当該通知された事項に係るものを取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、当該物を取り扱う労働者に周知させなければならない。

 

 

5  化学物質の有害性の調査 (法57条の3)               重要度●● 

 

条文

 


1) 化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質(第3項の規定によりその名称が公表された化学物質を含む)以外の化学物質(以下「新規化学物質」という)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査*1(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、次のイ~ホのいずれかに該当するときは、この限りでない。(平4択)(平6択)(平9択)

 


イ) 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。(平9択)


ロ) 当該新規化学物質に関し、既に得られている知見等に基づき厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。


ハ) 当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。


ニ) 当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む)として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。


ホ) 次のいずれの要件も満たす場合(令18条の4)

 


a) 一の事業場における1年間の製造量又は輸入量(当該新規化学物質を製造し、及び輸入しようとする事業者にあっては、これらを合計した量)が100キログラム以下である旨の厚生労働大臣の確認を受けたこと。(平9択)


b) その確認を受けたところに従って当該新規化学物質を製造し、又は輸入しようとすること。

 

 

ここをチェック

 

□*1「厚生労働大臣の定める基準による有害性の調査」は、次に定めるところにより行わなければならない(則34条の3第1項)。

 


a) 変異原性試験、化学物質のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験又はがん原性試験のうちいずれかの試験を行うこと。

(平9択)


b) 組織、設備等に関し有害性の調査を適正に行うため必要な技術的基礎を有すると認められる試験施設等において行うこと。

 

 

 

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advance

 

(1)「有害性の調査」について

 


a) 有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない(同法2項)。


b) 有害性の調査を行う必要がない場合(1項ただし書きイ、ロ、ホの場合)の厚生労働大臣の確認を受けようとする者は、当該確認に基づき最初に新規化学物質を製造し、又は輸入する日の30日前までに所定の申請書を提出しなければならない(則34条の5、則34条の8、則34条の10)。 (平9択)


c) 1項ただし書きホの確認は、2年を限り有効とする(則34条の11)。

 

 

(2) 厚生労働大臣の権限 (法57条の3第3項~5項)

 


3) 厚生労働大臣は、第1項の規定による届出があった場合(ロの規定による確認をした場合を含む)には、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質の名称を公表するものとする。


4) 厚生労働大臣は、第1項の規定による届出があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の設置又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずべきことを勧告することができる。


5) 有害性の調査の結果について意見を求められた「学識経験者」は、当該有害性の調査の結果に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

 

 

□「新規化学物質の名称の公表」は、次のとおりに行われる(則34条の14)。

 


a) 有害性の調査の規定による届出の受理又は有害性がない旨の確認をした後1年以内であること。


b) 3月以内ごとに1回、定期に、官報に掲載することにより行うこと。

(平9択)

 

 

 

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6  調査の指示 (法57条の4)                           重要度 ●   

 

条文

 


1) 厚生労働大臣は、化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものについて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者その他厚生労働省令で定める事業者に対し、政令で定める有害性の調査(当該化学物質が労働者の健康障害に及ぼす影響についての調査をいう)を行い、その結果を報告すべきことを指示することができる。


2) 前項の規定による指示は、化学物質についての有害性の調査に関する技術水準、調査を実施する機関の整備状況、当該事業者の調査の能力等を総合的に考慮し、厚生労働大臣の定める基準に従って行うものとする。


3) 厚生労働大臣は、指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見を聴かなければならない。


4) 有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。


5) 厚生労働大臣の指示について意見を求められた学識経験者は、当該指示に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。