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労働安全衛生法(2)-1

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第 5 章

機械等並びに危険物及び
有害物に関する規制

第1節 特定機械等に関する規制    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
第2節 その他の機械等に関する規制    ・・・・・・・・・・・・・・・・・66
第3節 危険物及び有害物に関する規制    ・・・・・・・・・・・・・・・71

 

 

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第1節  特定機械等に関する規制

 

1  製造の許可 (法37条)                  重要度 ●●●

 

条文

 


1) 特に危険な作業を必要とする機械等として別表第1に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という*1)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。(平8択)(平14択)


2) 都道府県労働局長は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。(平14択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「特定機械等」とは、次に掲げるものをいう(法別表第1、令12条)。

 


a) ボイラー(小型ボイラー等を除く)(平5択)(平11択)


b) 第1種圧力容器(小型圧力容器等を除く)


c) つり上げ荷重が3トン以上(スタッカー式クレーンは1トン以上)のクレーン(平4択)


d) つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン

(平5択)(平11択)(平14択)


e) つり上げ荷重が2トン以上のデリック


f) 積載荷重が1トン以上のエレベーター(簡易リフト・建設用リフトを除く)


g) ガイドレールの高さが18メートル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く)


h) ゴンドラ

 

 

【参考】
□「第1種圧力容器」とは、容器内における化学反応により蒸気が発生する容器で、容器内の圧力が大気圧を超えるもの(石油化学プラント等で使用されている)。


□「スタッカー式クレーン」とは、直立したガイドフレームに沿って上下するフォーク等を装備し、フォークの出し入れによって、倉庫内の棚の荷物を出し入れするために使用されるもの(立体駐車場等にも活用されている)。


□「デリック」とは、吊り上げ稼動部(ハンガー)と動力部(モーター)が分離した形状で、双方をワイヤーによって結合させた吊り上げ重機のこと(コンテナヤード等で使用されているが、現存数は全国で数百台程度)。

 

 

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2  製造時等検査等-1 (都道府県労働局長等・法38条1項・2項) 重要度 ●   

 

条文

 


1) 特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかったものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、当該特定機械等が、特別特定機械等(特定機械等のうち厚生労働省令で定めるものをいう)以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録製造時等検査機関」という)の検査を受けなければならない。ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項(次項において「輸入時等検査対象機械等」という)について当該特定機械等を外国において製造した者が次項の規定による検査を受けた場合は、この限りでない。


2) 前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において特定機械等を製造した者は、厚生労働省令で定めるところにより、輸入時等検査対象機械等について、自ら、当該特定機械等が、特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは登録製造時等検査機関の検査を受けることができる。

 


イ) 当該特定機械等を本邦に輸出しようとするとき。


ロ) 当該特定機械等を輸入した者が当該特定機械等を外国において製造した者以外の者(以下この号において単に「他の者」という)である場合において、当該製造した者が当該他の者について前項の検査が行われることを希望しないとき。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆都道府県労働局長等の製造時等検査のまとめ

 


【検査対象者】

 

 

a) 特定機械等を製造した者


b) 特定機械等を輸入した者(平5択)


c) 特定機械等で一定の期間設置されなかったものを設置しようとする者


d) 特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、又は使用しようとする者

 

 

【実施機関】

 

 

特別特定機械等*1

 

 

登録製造時等検査機関

 

特別特定機械等以外の特定機械等

 

都道府県労働局長

 

 

【都道府県労働局長の製造時等検査が不要なもの】

 

 

a) クレーン(移動式のものを除く)   b) デリック   c) エレベーター  

 d) 建設用リフト

 

 

□*1「特別特定機械等」とは、火気以外の高温ガスを加熱に利用するボイラーであって高圧ガス保安法56条の3第1項の特定設置に該当するもの(特定廃熱ボイラー)をいう。

 

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3  製造時等検査等-2 (労働基準監督署長・法38条3項)   重要度 ●   

 

条文

 


特定機械等(移動式のものを除く)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆労働基準監督署長の製造時等検査のまとめ

 


【検査対象者】

 

 

落成検査

 

 

特定機械等(移動式のものを除く*1)を設置した者(平4択)

 

変更検査

 

特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者

 

使用再開検査

 

特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者
(平1択)(平7択)

 

 

【実施機関】労働基準監督署長

 

 

□*1「移動式の特定機械等」とは、移動式ボイラー、移動式クレーン、ゴンドラの3種類である。

 

4  検査証の交付等 (法39条)                           重要度 ●    

 

条文

 


1) 都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関は、製造時等検査に合格した移動式の特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。


2) 労働基準監督署長は、前条第3項の検査で、特定機械等の設置に係るものに合格した特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。


3) 労働基準監督署長は、前条第3項の検査で、特定機械等の部分の変更又は再使用に係るものに合格した特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等の検査証に、裏書を行う。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆検査証の交付のまとめ(平10択)

 


検査証の交付者

 

対象機械

 

 

都道府県労働局長・登録製造時等検査機関

 

移動式の特定機械等

労働基準監督署長

 

a) 落成検査に合格した特定機械等
(平5択)(平14択)


b) 変更検査又は使用再開検査に合格した特定機械等 →その旨「裏書」(平7択)

 

 

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5  使用等の制限 (法40条)                             重要度 ●    

 

条文

 


1) 検査証を受けていない特定機械等(第38条第3項の規定により部分の変更又は再使用に係る検査を受けなければならない特定機械等で、労働基準監督署長の裏書を受けていないものを含む)は、使用してはならない。

(平10択)(平14択)


2) 検査証を受けた特定機械等は、検査証とともにするのでなければ、譲渡し、又は貸与してはならない。(平5択)(平10択)

 

 

6  検査証の有効期間等 (法41条)                       重要度 ●   

 

条文

 


1) 検査証の有効期間(次項の規定により検査証の有効期間が更新されたときにあっては、当該更新された検査証の有効期間)は、特定機械等の種類に応じて、厚生労働省令で定める期間とする。


2) 検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という)が行う性能検査を受けなければならない。(平4択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆検査証の有効期間

 


有効期間

 

特定機械等の種類

 

 

1年

 

a) ボイラー   b) 第1種圧力容器   c) エレベーター

d) ゴンドラ

 

 

2年

 

a) クレーン   b) 移動式クレーン   c) デリック

 

 

設置から廃止まで

 

建設用リフト

 

 

advance

 

□有効期間の更新を受けないまま有効期間が経過したときは、検査証は失効する。


↓ この場合…

 


当該特定機械等は廃止の取扱いとなるため、過日性能検査を受けることはできない。したがって、当該特定機械等を使用するときは、改めて所定の「製造時等検査」を受けなければならない

 

 

法38条1項の「特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者」とは、所定の手続により使用を廃止した特定機械等を再び設置しようとする者のほかに、第41条の性能検査を受けないで6月以上の期間を経過した特定機械等(移動式のものを除く)または当該性能検査を受けなかった移動式の特定機械等を再び使用しようとする者をいうものであること(昭47.9.18基発602号)。
なお、本条第1項は、使用を廃止した特定機械等について、これを譲渡し、または貸与しようとする者が譲渡または貸与に先立って検査を受けることを妨げるものではないこと。

 

 

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第2節  その他の機械等に関する規制

 

1  譲渡等の制限 (法42条)                             重要度 ●   

 

条文

 


特定機械等以外の機械等で、別表第2に掲げるもの*1その他危険若しくは有害な作業を必要とするもの危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるもの*2は、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。 (平1択)(平10択)

 

 

advance

 

□*1「別表第2に掲げるもの」とは、具体的には、次のものである(法別表第2)。

 


a) ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置


b) 第2種圧力容器(第1種圧力容器以外の圧力容器であって一定のもの)


c) 小型ボイラー


d) 小型圧力容器(第1種圧力容器のうち政令で定める一定のもの)


e) プレス機械又はシャーの安全装置


f) 防爆構造電気機械器具


g) クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置


h) 防じんマスク、防毒マスク etc.

 

 

□*2「政令で定めるもの」とは、具体的には、次のものである(令13条1項)。

 


a) アセチレン溶接装置のアセチレン発生器


b) つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満(スタッカー式クレーンにあっては、0.5トン以上1トン未満)のクレーン


c) つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満の移動式クレーン


d) つり上げ荷重が0.5トン以上2トン未満のデリック


e) 積載荷重が0.25トン以上1トン未満のエレベーター


f) ガイドレールの高さが10m以上18m未満の建設用リフト


g) フォークリフト


h) 建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもの etc.

 

       

↓ なお…


□本邦の地域内(国内)で使用されないことが明らかな機械等を含まないものとする(同令4項)。

 

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2  危険部分の防護措置 (法43条)                       重要度 ●   

 

条文

 


動力により駆動される機械等で、作動部分上の突起物又は動力伝導部分若しくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置*1が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない。
(平10択)(平14択)(平22選)

 

 

advance

 

□*1「防護のための措置」とは、次のとおりである(則25条)。

 


a) 作動部分上の突起物*2

 

埋頭型とし、又は覆いを設けること

 

 

b) 動力伝導部分又は調速部分

 

覆い又は囲いを設けること

 

 

□「譲渡若しくは貸与の目的での展示」には、店頭における陳列のほか、機械展における展示等も含まれる(昭47.9.18基発602号)。

 

□*2「作動部分上の突起物」とは、セットスクリュー、ボルト、キーのごとく作動部分に取り付けられた止め具等をいう(昭47.9.18基発602号)。

 

3  個別検定 (法44条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


1) 特定機械等以外の機械等(次条1項型式検定)に規定する機械等を除く)のうち、別表第3に掲げる機械等で政令で定めるもの*1を製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録個別検定機関」という)が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。


3) 登録個別検定機関は、個別検定を受けようとする者から申請があった場合には、当該申請に係る機械等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該機械等を個別検定に合格させてはならない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆個別検定に合格した旨の「表示」について (法44条4項~6項)

 


イ) 個別検定を受けた者は、当該個別検定に合格した機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、当該個別検定に合格した旨の表示を付さなければならない。


↓ この場合…

 


「個別検定合格標章」を当該機械等の見やすい箇所に付さなければならない

(検定則5条1項)

 

 

ロ) 個別検定に合格した機械等以外の機械等には、表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。


ハ) 個別検定を受けるべき機械等で、表示が付されていないものは、使用してはならない。

 

 

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advance

 

□*1「別表第3に掲げる機械等」とは、具体的には、次のものである(別表第3)。

 


a) ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの
b) 第2種圧力容器   c) 小型ボイラー   d) 小型圧力容器

 

 

◆外国製造者 (法44条2項)

 


第1項の規定にかかわらず、同項の機械等を輸入した者が当該機械等を外国において製造した者(以下「外国製造者」という)以外の者(以下単に「他の者」という)である場合において、当該外国製造者が当該他の者について前項の検定が行われることを希望しないときは、当該外国製造者は、厚生労働省令で定めるところにより、自ら登録個別検定機関が個々に行う当該機械等についての検定を受けることができる。当該検定が行われた場合においては、当該機械等を輸入した者については、同項の規定は、適用しない。

 

 

4  型式検定 (法44条の2)                             重要度 ●    

 

条文

 


1) 特定機械等以外の機械等のうち、別表第4に掲げる機械等で政令で定めるもの*1を製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。 (平8択)(平10択)


3) 登録型式検定機関は、型式検定を受けようとする者から申請があった場合には、当該申請に係る型式の機械等の構造並びに当該機械等を製造し、及び検査する設備等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該型式を型式検定に合格させてはならない。


4) 登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について、型式検定合格証を申請者に交付する。(平6択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆型式検定に合格した旨の「表示」について (法44条の2第5項~7項)

 


イ) 型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る)についても、同様とする。

 


「型式検定合格標章」を当該機械等の見やすい箇所に付さなければならない

(検定則14条)

 

 

ロ) 型式検定に合格した型式の機械等以外の機械等には、表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。


ハ) 型式検定を受けるべき機械等で、表示が付されていないものは、使用してはならない。

 

 

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advance

 

□*1「別表第4に掲げる機械等」とは、具体的には、次のものである(別表第4)。

 


a) ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動方式のもの
b) プレス機械又はシャーの安全装置(平7択)    c) 防爆構造電気機械器具
d) クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置   e) 防じんマスク   f) 防毒マスク etc.

 

 

(1) 外国製造者 (法44条の2第2項)

 


第1項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において同項本文の機械等を製造した者(以下「外国製造者」という)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該機械等の型式について、自ら登録型式検定機関が行う検定を受けることができる。

 


イ) 当該機械等を本邦に輸出しようとするとき。


ロ) 当該機械等を輸入した者が外国製造者以外の者(以下単に「他の者」という)である場合において、当該外国製造者が当該他の者について第1項の検定が行われることを希望しないとき。

 

 

(2) 型式検定合格証の有効期間等 (法44条の3)

 


1) 型式検定合格証の有効期間(型式検定合格証の有効期間が更新されたときにあっては、当該更新された型式検定合格証の有効期間)は、特定機械等以外の機械等の種類に応じて、厚生労働省令で定める期間とする。


2) 型式検定合格証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定を受けなければならない。

 

 

有効期間

 

機械等の種類 (検定則10条)

 

 

5年

 

a) 防じんマスク     b) 防毒マスク

 

 

3年

 

 

上記以外で型式検定を受けるべき機械等