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労働安全衛生法(1)-8

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テキスト本文の開始

 

 

 

 

6  産業医等 (法13条)                                 重要度 ●●●

 

条文

 


1) 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに*1、厚生労働省令で定めるところにより*2、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という)を行わせなければならない。


2) 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者*3でなければならない。(平7択)


3) 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。

(平21選)

 

4) 事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

 

 

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ここをチェック

 

□*1「政令で定める規模」と選任数は、次のとおりである(令5条)。
(平1択)(平11択)(平14択)

 


事業規模(使用労働者数)

 

すべての業種 (則13条1項3号)

 

常時50人以上

 

選任数

 

 

常時使用労働者数

 

1人以上

 

50人以上

 

 

2人以上

 

3,000人を超える場合

 

 

□*2「その他厚生労働省令で定めること」は、次の事項である。

 


【専属義務】(則13条1項2号)
次の事業場にあっては、その事業場に専属の者を選任しなければならない。

 


イ) 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場(平2択)


ロ) 一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
(平11択)(平14択)(平17択)

 

 

↓ なお…


「一定の有害業務」とは、多量の高熱物体(低温物体)を取り扱う業務及び著しく暑熱(寒冷)な場所における業務、ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務、ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務、坑内における業務、深夜業を含む業務病原体によって汚染のおそれが著しい業務などがある(衛生管理者の専任規定にある「健康上特に有害な業務」とおおむね類似する)。(平17択)

 

 

【職務内容】(則14条)
イ) 労働者の健康管理等


ロ) 事業者及び総括安全衛生管理者に対する労働者の健康管理等についての勧告(平7択)


ハ) 衛生管理者に対する労働者の健康管理等についての指導又は助言

 


□「労働者の健康管理等」とは、次の事項であって医学に関する専門的知識を必要とするものとする。

 


a) 健康診断及び面接指導等の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること


b) 作業環境の維持管理に関すること


c) 作業の管理に関すること


d) a)~c)に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること


e) 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること


f) 衛生教育に関すること


g) 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること

 

 

【産業医の定期巡視及び権限の付与】(則15条)
1) 産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
(平11択)(平14択)(平16択)(平23択)(平21選)


2) 事業者は、産業医に対し、労働者の健康管理等に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*3「厚生労働省令で定める要件を備えた者」とは、次のものである(則14条2項)。(平3択)(平22択)

 


イ) 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した者


ロ) 医学の正規の課程であって、産業医の養成等を行うことを目的とするものを設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、厚生労働大臣が定める実習を履修したもの


ハ) 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの


ニ) 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る)の職にあり、又はあった者


ホ) その他厚生労働大臣が定める者

 

    

    ↓ なお…

 


a) 事業者は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく、所轄労働基準監督署長へ報告書を提出しなければならない

(則13条1項1号・2項)。


b) 学校保健法の規定により任命し、又は委嘱された学校医で、当該学校において産業医の職務を行うこととされたものについては、報告書を提出する必要はない(則13条2項)。(平8択)

 

 

7  産業医の選任義務のない事業場 (法13条の2)         重要度 ●   

 

条文

 


事業者は、産業医を選任すべき事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者*1に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。 (平11択)

 

 

advance

 

前年改正

 

◆*1 産業医を選任すべき事業場以外の事業場の労働者の健康管理等

(則15条の2)

 


1) 法第13条の2の厚生労働省令で定める者は、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師とする。


2) 事業者は、法第13条第1項の事業場以外の事業場について、法第13条の2に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるに当たっては、労働者の健康管理等を行う同条に規定する医師の選任、国が法第19条の3に規定する援助として行う労働者の健康管理等に係る業務についての相談その他の必要な援助の事業の利用等に努めるものとする。

 

 

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8  作業主任者 (法14条)                               重要度 ●● 

 

条文

 


事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるもの*1については、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。(平8択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 作業主任者を選任すべき「政令で定める作業」は、次のとおりである

(令6条)。

 


a) 一定の高圧室内作業(平5択)(平22択)


b) アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業


c) 一定の機械集材装置の組立て、解体、変更又は修理の作業


d) ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの作業

 

e) 一定の放射線業務に係る作業


f) 動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場における当該機械による作業(平8択)


g) コンクリート破砕器を用いて行う破砕の作業


h) 石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(石綿等)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)又は石綿等を試験研究のため製造する作業etc.

 

 

advance

 

(1) 作業主任者の職務の分担 (則17条)

 


事業者は、一の作業を同一の場所で行なう場合において、当該作業に係る作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの作業主任者の職務の分担を定めなければならない。

 

 

(2) 作業主任者の氏名等の周知 (則18条)

 


事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。(平5択)

 

 

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9  一般的な安全衛生管理体制のまとめ                   重要度 ●●●

 

 

 

総括安全衛生管理者

 

安全管理者

衛生管理者

選任

規模

 

イ)林鉱建運清:100人以上


ロ)製造業他:300人以上


ハ)非工業的業種:1,000人~

 

左欄のイ)及びロ)の業種について50人以上

全業種について50人以上

人数

 

規定数なし

 

 

規定数なし

 

規模による規定数あり

 

代理者

 

選任義務あり

 

報告先

 

労働基準監督署長

 

期限

 

選任事由発生日から14日以内に選任・遅滞なく報告

 

専任

規定なし

 

業種規模別に規定あり

a)石建300人以上


b)運送500人以上etc.

 

 

a)1,000人超

 

b)500人超で有害業務に30人以上

専属

規定なし

 

義務あり(複数選任の場合であってコンサルタント在籍時には、そのコンサルタントのうち1人は専属不要)

 

資格経験

事業を統括管理する者

 

a)研修の修了者であって理系大卒・実務2年以上、理系高卒・実務4年以上


b)労働安全コンサルタント

 

 

a)都道府県労働局長の免許


b)医師・歯科医師


c)労働衛生コンサ

ルタント

巡視

 

規定なし

 

規定あり(頻度規定なし)

 

 

少なくとも毎週1回

 

勧告or解任

 

都道府県労働局長の勧告

 

 

労働基準監督署長の増員・解任命令

 

 

安全衛生推進者

 

衛生推進者

産業医

選任

規模

 

安全管理者の選任業種(屋外・屋内の工業的業種)で10人以上50人未満

 

 

安全管理者の選任業種以外の業種(屋内の非工業的業種)で10人以上50人未満

 

全業種について50人以上

人数

規定数なし

 

a)50人以上:1人

 

b)3,000人超:2人

 

代理者

 

規定なし

 

報告先

 

周知義務(報告義務なし)

 

 

労働基準監督署長

期限

 

選任事由発生日から14日以内に選任

 

遅滞なく報告

 

専任

 

規定なし

 

専属

 

義務あり(コンサルタントや実務5年以上の有資格者を選任時には専属不要)

 

 

a)1,000人以上


b)有害業務に500人以上

 

資格経験

 

a)都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習修了者
b)大学・実務1年以上     c)高校・実務3年以上
d)実務5年以上     e)労働安全コンサルタントetc.

 

医師

巡視

 

規定なし

 

 

少なくとも毎月1回

 

勧告or解任

 

規定なし

 

 

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※テキスト20ページ~27ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません