社労士/初級インプット講座/健康保険法 (補)-8 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「健康保険法 (補)-8:延滞金」

テキスト本文の開始

 

 

8  延滞金 (法181条)                                     重要度 ●● 

 

条文

 

前年改正

 


1) 前条第1項の規定によって督促をしたときは、保険者等は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3%(当分の間軽減措置あり*1))の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。
(平4択)(平5択)(平8択)(平9択)(平15択)(平19択)(平17選)

 

 

ここをチェック

 

□延滞金の計算については、次のとおりとなる。

 

 

 

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advance

 

□*1 延滞金の割合の特例 (法附則9条)

 


延滞金の年7.3%の割合は、当分の間、各年の特例基準割合(各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合をいう)が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる)とする。

 

 

 

 

【参考】平成22年11月30日を経過する時における日本銀行法の基準割引率は「0.3%」であったことから、平成23年中における特例基準割合は「年4.3%」となる(延滞金軽減法)。

 

 

9  協会による広報等 (法181条の2、法181条の3)          重要度 ●   

 

条文

 

(1) 協会による広報及び保険料の納付の勧奨等 (法181条の2)

 


協会は、その管掌する健康保険の事業の円滑な運営が図られるよう、当該事業の意義及び内容に関する広報を実施するとともに、保険料の納付の勧奨その他厚生労働大臣の行う保険料の徴収に係る業務に対する適切な協力を行うものとする。

 

 

(2) 協会による保険料の徴収 (法181条の3)

 


1) 厚生労働大臣は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができる

 

2) 厚生労働大臣は、前項の規定により協会に滞納者に係る保険料の徴収を行わせることとしたときは、当該滞納者に対し協会が当該滞納者に係る保険料の徴収を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。

 

3) 協会が保険料の徴収を行う場合においては、協会を保険者等とみなして、第180条及び第181条の規定を適用する。

 

4) 協会が保険料を徴収したときは、その徴収した額に相当する額については、第155条の2(保険料等の交付)の規定により、政府から協会に対し、交付されたものとみなす

 

 

10  先取特権の順位等 (法182条、法183条)               重要度 ●  

 

条文

 

(1) 先取特権の順位 (法182条)

 


保険料等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(平1択)(平8択)(平10択)(平11択)

 

 

(2) 徴収に関する通則 (法183条)

 


保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

 

 

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第5節 日雇特例被保険者に係る保険料

1  日雇特例被保険者の保険料額 (法168条1項)             重要度 ●   

 

条文

 


日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする。

 


イ) その者の標準賃金日額の等級に応じ、次に掲げる額の合算額を基準として政令で定めるところにより算定した額。(平22択)

 

a) 標準賃金日額に平均保険料率*1と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額

 

b) a)に掲げる額に100分の31を乗じて得た額

 

 

ロ) 賞与額(その額に1,000円未満の端数がある場合には、これを切り捨てるものとし、その額が40万円(法124条2項の規定による標準賃金日額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超える場合には、40万円とする)に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額。(平18択)

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「平均保険料率」とは、各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率をいう。

 

2  日雇特例被保険者に係る保険料の負担及び納付義務 (法169条)   重要度 ● 

 

条文

 


1) 労使の負担割合は、次のとおりである。

 


日雇特例被保険者

前条第1項イのa)の額の2分の1に相当する額として政令で定めるところにより算定した額及び同項ロの額の2分の1の額の合算額

日雇特例被保険者を使用する事業主

当該算定した額、同項イのb)の額に相当する額として政令で定めるところにより算定した額及び同項ロの額の2分の1の額の合算額

 

2) 事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主)は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。
(平3択)(平11択)(平19択)

 

3) 前項の規定による保険料の納付は、日雇特例被保険者が提出する日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙*1をはり、これに消印して行わなければならない。(平3択)

 

4) 日雇特例被保険者手帳を所持する日雇特例被保険者は、適用事業所に使用される日ごとに、その日雇特例被保険者手帳を事業主に提出しなければならない。

 

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5) 事業主は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、日雇特例被保険者にその所持する日雇特例被保険者手帳の提出を求めなければならない。

 

6) 事業主は、第2項の規定により保険料を納付したときは、日雇特例被保険者の負担すべき保険料額に相当する額をその者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、その旨を日雇特例被保険者に告げなければならない。

 

7) 事業主は、日雇特例被保険者に対して賞与を支払った日の属する月の翌月末日までに、その者及び自己の負担すべきその日の賞与額に係る保険料を納付する義務を負う。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 事業主は、健康保険印紙を購入するときには、健康保険印紙購入通帳に購入しようとする健康保険印紙の種類、枚数、金額及び購入年月日を記入し、健康保険印紙を販売する郵便事業株式会社の営業所又は郵便局に提出しなければならない(則146条1項)。(平3択)

 

3  保険料額の告知等 (法170条、法171条)                 重要度 ●   

 

条文

 

(1) 日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料額の告知等 (法170条)

 


1) 事業主が前条第2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、その調査に基づき、その納付すべき保険料額を決定し、これを事業主に告知する。

 

2) 事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、前条第2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により決定された保険料額の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、決定された保険料額が1,000円未満であるときは、この限りでない。

 

3) 追徴金を計算するに当たり、決定された保険料額1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

 

4) 追徴金は、その決定された日から14日以内に、厚生労働大臣に納付しなければならない。
(平16択)

 

 

(2) 健康保険印紙の受払等の報告 (法171条)

 


1) 事業主は、その事業所ごとに健康保険印紙の受払及び前条第1項に規定する告知に係る保険料の納付(以下この条において「受払等」という)に関する帳簿を備え付け、その受払等の都度、その受払等の状況を記載し、かつ、翌月末日までに、厚生労働大臣にその受払等の状況を報告しなければならない。

 

2) 前項の場合において、健康保険組合を設立する事業主は、併せて当該健康保険組合に同項の報告をしなければならない。

 

3) 前項の規定により報告を受けた健康保険組合は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年度、厚生労働大臣に当該健康保険組合を設立する事業主の前年度の受払等の報告をしなければならない。

 

 

 

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4  日雇拠出金 (法173条~法176条)                       重要度 ●   

 

条文

 

(1) 日雇拠出金の徴収及び納付義務 (法173条)

 


1) 厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む)に充てるため、第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合(以下「日雇関係組合」という)から拠出金を徴収する。(平8択)(平19択)

 

2) 日雇関係組合は、前項に規定する拠出金(以下「日雇拠出金」という)を納付する義務を負う。

 

 

(2) 日雇拠出金の額 (法174条)

 


前条第1項の規定により日雇関係組合から徴収する日雇拠出金の額は、当該年度の概算日雇拠出金の額とする。
ただし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額を超えるときは、当該年度の概算日雇拠出金の額からその超える額を控除して得た額とするものとし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額に満たないときは、当該年度の概算日雇拠出金の額にその満たない額を加算して得た額とする。

 

 

(3) 日雇拠出金の納期及び納付の額 (令55条)

 


1) 日雇拠出金の納期は、9月30日及び3月31日とする。(平1択)(平3択)

 

2) 各納期に納付すべき日雇拠出金の額は、法174条の規定による当該年度の日雇拠出金の額の2分の1に相当する金額とする。

 

3) 前項の規定にかかわらず、当該年度の日雇拠出金の額に2,000円未満の端数があるときは、9月30日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額に当該端数の額を加算した額の2分の1に相当する金額とし、3月31日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額から当該端数の額を控除した額の2分の1に相当する金額とする。

 

 

(4) 概算日雇拠出金 (法175条)

 


概算日雇拠出金の額は、当該年度の日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用の見込額から当該年度の日雇特例被保険者に関する保険料相当額の見込額を控除した額として厚生労働省令で定めるところにより算定する額に、当該日雇関係組合を設立する事業主から前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数を前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数で除して得た率を乗じて得た額とする。

 

 

(5) 確定日雇拠出金 (法176条)

 


確定日雇拠出金の額は、前年度の日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要した費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要した費用を含む)から前年度の日雇特例被保険者に関する保険料相当額を控除した額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額に、当該日雇関係組合を設立する事業主から前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数を前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数で除して得た率を乗じて得た額とする。

 

 

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※テキスト268~278ページは、過去問のページになっております。

 

 

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第 12 章

不服申立て等

第1節 不服申立て    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・280
第2節 雑則等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・284
第3節 罰則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・290

 

 

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第1節  不服申立て

1  審査請求及び再審査請求 (法189条~法191条)          重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 審査請求及び再審査請求 (法189条)

 


1) 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(平8択)(平12択)(平13択)(平18択)

 

2) 審査請求をした日から60日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(平10択)(平18択)

 

3) 第1項の審査請求及び前2項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。

 

4) 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。(平19択)

 

 

(2) 社会保険審査会に対する審査請求 (法190条)

 


保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(平10択)(平12択)(平18択)

 

 

(3) 行政不服審査法の適用関係 (法191条)

 


前2条の審査請求及び再審査請求に係る処分以外の処分については、行政不服審査法に基づく処分庁に対する異議申立て又は処分庁の直近上級行政庁に対する審査請求をすることができる。

 

 

ここをチェック

 

□第1次審査機関として、各地方厚生局(地方厚生支局を含む)に「独任制」の社会保険審査官を置く(社審法1条1項)。(平18択)

 

□第2次審査機関として、厚生労働大臣の所轄の下に「合議制」の社会保険審査会を置く(社審法19条)。(平18択)

 

ちょっとアドバイス

 

被保険者の資格、標準報酬に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない(社審法4条2項)。

 

□審査請求及び再審査請求は、文書により、又は口頭ですることができる(社審法5条1項、同法32条4項)。

 

□審査請求又は再審査請求を直接審査請求人が行うことができない場合には、代理人によってすることもできる(社審法5条の2、同法44条)。

 

-----------------(281ページ目ここから)------------------

 

2  不服申立てと訴訟との関係 (法192条)                   重要度 ●   

 

条文

 


第189条第1項又は第190条に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求又は審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。(平8択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 不服申立ての流れ <二審制>

 

 

(2) 保険料の徴収等に関する処分 <一審制>

 

 

-----------------(282ページ目ここから)------------------

 

※テキスト282~283ページは、過去問のページになっております。

 

 

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第2節 雑則等

 

1  時効 (法193条)                                       重要度 ●●●

 

条文

 


1) 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。(平2択)(平8択)(平9択)(平10択)
(平12択)(平13択)(平15択)(平16択)(平22択)

 

2) 保険料等の納入の告知又は督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。(平11択)(平22択)

 

 

ここをチェック

 

◆時効の起算日 (昭3.7.6保発514号ほか)

 


保険給付の種類

 

起算日

 

 

療養費

 

療養に要した費用を支払った日の翌日
(平9択)(平11択)(平12選)

 

移送費

 

移送に要した費用を支払った日の翌日(平12選)

 

 

傷病手当金

 

労務不能であった日ごとにその翌日
(平10択)(平18択)(平12選)

 

 

高額療養費

 

診療を受けた月の翌月の1日*1
(平14択)(平22択)(平12選)

 

 

高額介護合算療養費

 

基準日(計算期間の末日)の翌日

 

 

埋葬料

 

死亡した日の翌日

 

 

埋葬に要した費用

 

埋葬を行った日の翌日(平8択)

 

 

出産育児一時金

 

出産の日の翌日

 

 

出産手当金

 

労務に服さなかった日ごとにその翌日(平11択)

 

 

保険料の徴収

 

納期限の翌日(平9択)

 

 

保険料以外の徴収金の徴収
(延滞金等)

 

徴収金を徴収すべき原因である事実が終了した日の翌日

 

 

保険料の還付

 

過納又は誤納となった日の翌日(平9択)

 

 

保険料以外の徴収金の還付

 

納付した日の翌日

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる(昭48.11.7保険発99号・庁保険発21号)。(平14択)(平16択)(平22択)

 

□現物給付たる保険給付(療養の給付等)については、時効の問題は生じない。

 

□事業主が保険者から保険料の過納分の還付を受け、これを被保険者に返還すべき場合、被保険者の保険料返還請求権の消滅時効は民法167条1項の規定により10年である。
(平15択)(平16択)