社労士/初級インプット講座/一般常識6-10 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「一般常識6-10:最低賃金法」

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第 3 章

賃金等に関する法令

第1節  最低賃金法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・262
第2節  賃金の支払の確保等に関する法律・・・・・・・・・・・・・・・265
第3節  中小企業退職金共済法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・269
第4節  労働時間等の設定改善特別措置法・・・・・・・・・・・・・・・272

 

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第1節  最低賃金法

1  総則 (法1条、法2条)                                 重要度 ●   

 

条文

 

(1) 目的 (法1条)

 


この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

 

(2) 定義 (法2条)

 


この法律において、次に掲げる用語の意義は、当該定めるところによる。(平4択)

 


a) 労働者

 

労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く)をいう。

 

 

b) 使用者

 

労働基準法第10条に規定する使用者をいう。

 

 

c) 賃金

 

労働基準法第11条に規定する賃金をいう。

 

 

2  最低賃金 (法3条~法8条)                             重要度 ●●●

 

条文

 

(1) 最低賃金額 (法3条)

 


最低賃金額(最低賃金において定める賃金の額をいう)は、時間によって定めるものとする。(平4択)(平15択)(平21択)

 

 

(2) 最低賃金の効力 (法4条、則1条)

 


1) 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。

 

2) 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。(平20選)

 

3) 次に掲げる賃金は、前2項に規定する賃金に算入しない。(平5択)(平13択)

 


a) 臨時に支払われる賃金

 

b) 1月をこえる期間ごとに支払われる賃金

 

c) 所定労働時間をこえる時間の労働に対して支払われる賃金

 

d) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金

 

e) 午後10時から午前5時まで(労働基準法の規定により厚生労働大臣が定める地域又は期間については、午後11時から午前6時まで)の間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額をこえる部分

 

 

4) 第1項及び第2項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかった場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかった場合において、労働しなかった時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない。

 

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(3) 現物給与等の評価 (法5条)

 


賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、適正に評価されなければならない。

 

 

(4) 最低賃金の競合 (法6条)

 


1) 労働者が2以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより最低賃金の規定を適用する。(平3択)

 

2) 前項の場合においても、第9条第1項に規定する地域別最低賃金において定める最低賃金額については、第4条第1項及び第40条(罰則)の規定の適用があるものとする。

 

 

(5) 最低賃金の減額の特例 (法7条、則3条)

 


使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により最低賃金額の規定を適用する。(平2択)

 


a) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(平12択)

 

b) 試の使用期間中の者(最長6箇月を限度とする)(平7択)(平12択)

 

c) 職業能力開発促進法24条1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの

 

d) 軽易な業務に従事する者 e) 断続的労働に従事する者

 

 

(6) 周知義務 (法8条)

 


最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。(平21択)

 

 

3  地域別最低賃金 (法9条~法14条)                      重要度 ●   

 

条文

 

(1) 地域別最低賃金の原則 (法9条)

 


1) 賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう)は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。

 

2) 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。(平21択)

 

3) 前項の労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。(平21択)

 

 

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(2) 地域別最低賃金の決定 (法10条)

 


1) 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域ごとに、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(以下「最低賃金審議会」という)の調査審議を求め、その意見を聴いて、地域別最低賃金の決定をしなければならない。

 

2) 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があった場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、最低賃金審議会に再審議を求めなければならない

 

 

【設置】(法20条)
厚生労働省に中央最低賃金審議会を、都道府県労働局に地方最低賃金審議会を置く。

 

 

【権限】(法21条)
最低賃金審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項をつかさどるほか、地方最低賃金審議会にあっては、都道府県労働局長の諮問に応じて、最低賃金に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を都道府県労働局長に建議することができる

 

 

(3) 最低賃金審議会の意見に関する異議の申出 (法11条)

 


1) 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低賃金審議会の意見の提出があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。

 

2) 最低賃金審議会の意見に係る地域の労働者又はこれを使用する使用者は、公示があった日から15日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる

 

3) 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、申出があったときは、その申出について、最低賃金審議会に意見を求めなければならない。

 

4) 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第1項の規定による公示の日から15日を経過するまでは、前条第1項の決定をすることができない。第2項の規定による申出があった場合において、前項の規定による最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。