社労士/初級インプット講座/一般常識6-17 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「一般常識6-17:不当労働行為」

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3  不当労働行為 (法7条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
イ) 次のいずれかに当たること。*1

 


a) 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

 

b) 労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること(「黄犬契約」という)。

 

 

ロ) 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
(平2択)(平12択)

 

ハ) 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。*2

 

ニ) 労働者が、次のいずれかに該当したことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。<特殊不当労働行為

 

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a) 労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと。

 

b) 中央労働委員会に対し第27条の12第1項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと。

 

c) 労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたこと。

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。(平5択)

 

↓ 具体的には…

 

◆ショップ制(組合員資格と従業員資格との関係を定める制度のこと)

 


クローズドショップ制

 

 

組合員資格と従業員資格との間に、厳しい制約があるもの。使用者は、特定の組合員資格がある者のみ雇入れることができる。また、当該組合の組合員資格がなくなったときは、解雇しなければならない。

 

ユニオンショップ制

 

組合員資格と従業員資格との間に、一定の制約があるもの。使用者は、組合員資格があるか否かを問わず雇入れできるが、雇入れられた労働者は労働組合に加入しなければならない。また、労働組合に加入しない又は脱退し又は除名された従業員については、解雇しなければならない。

 

 

オープンショップ制

 

 

組合員資格と従業員資格との間に、何ら制約がないもの。使用者の雇入れ及び労働者の労働組合への加入・脱退については、自由である。

 

 

□*2 ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

 

4  労働協約 (法14条~法18条)                           重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 労働協約の効力の発生 (法14条)

 


労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。(平18択)

 

 

(2) 労働協約の期間 (法15条)

 


1) 労働協約には、3年をこえる有効期間の定をすることができない。(平12択)

 

2) 3年をこえる有効期間の定をした労働協約は、3年の有効期間の定をした労働協約とみなす。

 

3) 有効期間の定がない労働協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して、解約することができる。一定の期間を定める労働協約であって、その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定があるものについて、その期間の経過後も、同様とする。
(平1択)

 

4) 前項の予告は、解約しようとする日の少くとも90日前にしなければならない。

 

 

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(3) 基準の効力 (法16条)

 


労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする*1。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。(平1択)

 

 

(4) 一般的拘束力 (法17条)

 


一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。(平13択)

 

 

(5) 地域的の一般的拘束力 (法18条)

 


1) 一の地域において従業する同種の労働者の大部分一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第2項の規定により修正があったものを含む)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。

 

2) 労働委員会は、前項の決議をする場合において、当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは、これを修正することができる。

 

3) 第1項の決定は、公告によってする。

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆*1 労働協約の規範的効力(平11記)

 


労働協約に定める基準を上回る労働条件を定めた「労働契約」は有効か無効か?

 

↓ 関連条文において…

 


a) 労働組合法16条:労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。

 

b) 労働基準法93条:就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。

 

 

 ↓ 違いは!

 

a)は、上回っても下回っても「違反」となる(有利原則否定説)。
<理由>これを認めると使用者による労働組合の切崩しを招く可能性があるから。

 

b)は、下回ったときのみ「達しない」こととなる(有利原則肯定説)。
<理由>労働基準法の本旨である労働者の保護に沿った解釈を優先しても労働者に不利益は生じないから。