社労士/初級インプット講座/一般常識6-18 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「一般常識6-18:労働関係調整法」

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第2節  労働関係調整法

1  総則 (法1条~法9条)                                 重要度 ●   

 

(1) 目的等 (法1条~法5条)

 

条文

 


この法律は、労働組合法と相まって、労働関係の公正な調整を図り、労働争議*1を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的とする。

 

 

労働関係の当事者は、互に労働関係を適正化するように、労働協約中に、常に労働関係の調整を図るための正規の機関の設置及びその運営に関する事項を定めるように、かつ労働争議が発生したときは、誠意をもって自主的にこれを解決するように、特に努力しなければならない。

 

 

政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与へ、これによって争議行為*2をできるだけ防止することに努めなければならない

 

 

この法律は、労働関係の当事者が、直接の協議又は団体交渉によって、労働条件その他労働関係に関する事項を定め、又は労働関係に関する主張の不一致を調整することを妨げるものでないとともに、又、労働関係の当事者が、かかる努力をする責務を免除するものではない

 

 

この法律によって労働関係の調整をなす場合には、当事者及び労働委員会その他の関係機関は、できるだけ適宜の方法を講じて、事件の迅速な処理を図らなければならない。

 

 

 

ここをチェック

 

□*1「労働争議」とは、労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態又は発生する虞がある状態をいう(法6条)。

 

□*2「争議行為」とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう(法7条)。(平21選)

 


同盟罷業
(ストライキ)

 

 

労働者が団結して労働力の提供を拒否し、労働力を使用者に利用させない行為のこと。一部スト、部分スト、波状スト等がある。

 

怠業
(サボタージュ)

 

 

表面的には仕事を継続しながら、労働者が団結して仕事の効率を落とす(部分的に使用者の指揮命令に従わない)こと。(平15択)

 

 

作業所閉鎖
(ロックアウト)

 

使用者が、労働者に対して作業所を閉鎖して労働者を就業不能の状態におき、労働者の提供する労務の受領を拒否すること。

 

不買運動
(ボイコット)

 

 

組織的、集団的にある商品の不買運動を行ったり、取引を拒絶したりする、または、会合や運動などに参加しないこと。

 

 

就労阻止
(ピケッティング)

 

 

労働争議でストライキ実効性を確保するため見張人(ピケット)を置き、スト参加への要請、スト破りの防衛等を行うこと。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□争議行為が発生したときは、その当事者は、直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければならない(法9条)。(平5択)(平6択)

 

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□工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない(法36条)。

 

(2) 公益事業 (法8条)

 

条文

 


1) この法律において公益事業とは、次に掲げる事業であって、公衆の日常生活に欠くことのできないものをいう。

 


a) 運輸事業 b) 郵便、信書便又は電気通信の事業
c) 水道、電気又はガスの供給の事業 d) 医療又は公衆衛生の事業

 

 

2) 内閣総理大臣は、前項の事業の外、国会の承認を経て、業務の停廃が国民経済を著しく阻害し、又は公衆の日常生活を著しく危くする事業を、1年以内の期間を限り、公益事業として指定することができる。

 

3) 内閣総理大臣は、前項の規定によって公益事業の指定をしたときは、遅滞なくその旨を、官報に告示するの外、新聞、ラジオ等適宜の方法により、公表しなければならない。

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆通知 (法37条、法38条)

 


1) 公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日少なくとも10日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

 

2) 緊急調整の決定があった公益事業に関する事件については、前項の規定による通知は、第38条に規定する期間を経過した後でなければこれをすることができない。

 

 

緊急調整の決定をなした旨の公表があったときは、関係当事者は、公表の日から50日間は、争議行為をなすことができない。

 

 

(3) 特別調整委員 (法8条の2)

 

条文

 


1) 中央労働委員会及び都道府県労働委員会に、その行う労働争議の調停又は仲裁に参与させるため、中央労働委員会にあっては厚生労働大臣が、都道府県労働委員会にあっては都道府県知事がそれぞれ特別調整委員を置くことができる

 

2) 中央労働委員会に置かれる特別調整委員は、厚生労働大臣が、都道府県労働委員会に置かれる特別調整委員は、都道府県知事が任命する。

 

3) 特別調整委員は、使用者を代表する者、労働者を代表する者及び公益を代表する者とする。