(2010年度版)社労士初級インプット講座/労働基準法7-16

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「労働基準法7-16:不利益取扱いの禁止 [改正]」

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労働基準法(7)-16

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

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8  不利益取扱いの禁止 (法附則136条)               重要度   

 

条文/社労士テキスト5

 

改正

 

使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない*1。
(平11択)(平20択)

 

ここをチェック/社労士テキスト7

 

□*1 「しないようにしなければならない」は、努力義務規定であり、罰則の適用はない。(平8択)

 

判例チェック/社労士テキスト8

 

◇年休取得と不利益取扱◇


タクシー会社において、月ごとの勤務割(乗車勤務シフト表)の作成後に年休を取得した場合には「皆勤手当」を支給しない旨の就業規則の効力は有効か?


↓ 争点は…


使用者は、年休を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いを“しないようにしなければならない”と定める法附則136条の効力である。


↓ 結論!


本条は使用者の努力義務規定(訓示的規定)であって、年休取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力はないと判断された。


↓ 判旨において…

 

a) その取得制限に対する規則上の趣旨及び目的の適切さ。


b) 労働者が失う経済的利益の程度(「皆勤手当」不支給に対する不利益の大きさ)。


c) 年休取得に対する事実上の抑止力の強弱(その制度の存在による年休が取りづらい環境)等の諸般事情を総合して判断すべき。


↓ よって…

□年休を取得する権利の行使を抑制し、これらの権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められない限り公序に反するとはいえず、就業規則における当該規定が無効となるものではない(沼津交通事件・最高裁第二小法廷判決 平5.6.25)。