社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「厚生年金保険法6-12:離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例」
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テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。
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2 離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例(法78条の2ほか)
重要度 ●
1) 第1号改定者*1又は第2号改定者*2は、離婚等*3をした場合であって、次のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣に対し、当該離婚等について対象期間*4 (婚姻期間等)に係る被保険者期間の標準報酬(第1号改定者及び第2号改定者(以下これらの者を「当事者」という)の標準報酬をいう)の改定又は決定を請求(以下「標準報酬改定請求*5」という)することができる。
ロ) 次項の規定により「家庭裁判所」が請求すべき按分割合を定めたとき。
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ただし、当該離婚等をしたときから「2年」を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。(平21択)
□*1 「第1号改定者」とは、被保険者若しくは被保険者であった者又は旧法の規定による期間等被保険者であった期間とみなされた期間を有する者であって、合意分割の規定により標準報酬が改定(減額)されるものをいう(法附則17条の8)。
□*2 「第2号改定者」とは、第1号改定者の配偶者であった者であって、合意分割の規定により標準報酬が改定(増額)され、又は決定されるものをいう。
□*3 「離婚等」とは、離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者について、当該事情が解消した場合を除く)、婚姻の取消しその他厚生労働省令で定める事由をいう。
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□*5 「標準報酬改定請求」は、平成19年4月1日前にした離婚等については、適用されない(平16法附則46条)。
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□*4 「対象期間」とは、婚姻期間その他、次に掲げる場合の区分に応じ、当該定める期間とする(則78条の2)。
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ロ) 婚姻の取消しをした場合は、「婚姻が成立した日から婚姻が取り消された日までの期間(民法の規定に違反する婚姻である場合については、当該婚姻に係る期間(当事者の一方が当該当事者の他方の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間を除く)を除く)」。
↓ ただし…
□イ又はロに掲げる場合に該当する場合であって、イ又はロに定める期間中に当事者以外の者が当該当事者の一方の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間又は当該当事者の一方が当該当事者の他方以外の者の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間と重複する期間があると認められるときは、イ又はロに定める期間からその重複する期間を除くものとする
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ハ) 前条(則78条)に定める事由に該当した場合は、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった当事者の一方が当該当事者の他方の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間(当該事情が解消しない間に当該第3号被保険者であった期間が複数ある場合にあっては、これらの期間を通算した期間(「事実婚第3号被保険者期間」という)とする)」。
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□*6 「按分割合」とは、当該改定又は決定後の当事者の「対象期間標準報酬総額」の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。
↓ なお…
□「対象期間標準報酬総額」とは、対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額(従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあっては、従前標準報酬月額)と標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう(法78条の3第1項かっこ書き)。
□標準報酬改定請求について、当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる(2項)。
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□標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない(4項)。
3 請求すべき按分割合 (法78条の3) 重要度 ●
1) 請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲(以下「按分割合の範囲」という)内で定められなければならない。(平21択)
2) 当事者等への情報の提供等の規定により按分割合の範囲について情報の提供(裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官が受けた資料の提供を含み、これが複数あるときは、その最後のもの)を受けた日が対象期間の末日前であって対象期間の末日までの間が1年を超えない場合その他の厚生労働省令で定める場合における標準報酬改定請求については、前項の規定にかかわらず(例外として)、当該情報の提供を受けた按分割合の範囲を、請求すべき按分割合の範囲とすることができる。
4 当事者等への情報の提供等 (法78条の4ほか) 重要度 ●
1) 当事者又はその一方は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であって次項に規定するものの提供を請求することができる。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、請求することができない。
b) 離婚等をしたときから「2年」を経過したとき。
c) その他厚生労働省令で定めるとき*1。
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□*1 「厚生労働省令で定めるとき」とは、原則として、情報の提供を受けた日の翌日から起算して「3月」を経過していない場合とする(則78条の7)。
□情報は、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、請求があった日において対象期間の末日が到来していないときは、当該「請求があった日」を対象期間の末日とみなして算定したものとする(2項)。
□厚生労働大臣は、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官に対し、その求めに応じて、標準報酬の按分割合に関する処分を行うために必要な資料を提供しなければならない(法78条の5)。
5 標準報酬の改定又は決定等 (法78条の6ほか) 重要度 ●
◆標準報酬月額の改定又は決定 (1項)
↓ なお…
□従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあっては、従前標準報酬月額を標準報酬月額とする。
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【第1号改定者】の標準報酬月額
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【第2号改定者】の標準報酬月額
*本人の標準報酬月額を有しない月にあっては「0」として、その月の第2号改定者の標準報酬月額を決定する。
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□*1 「改定割合」とは、按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいい、標準報酬の改定又は決定をしたときに、第2号改定者の持分が按分割合のとおりとなるための割合である。
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◆標準賞与額の改定又は決定 (2項)
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【第1号改定者】の標準賞与額
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【第2号改定者】の標準賞与額
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□標準報酬改定請求により標準報酬が分割された場合において、対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であって第2号改定者の被保険者期間でない期間については、第2号改定者の被保険者期間であったものとみなす(3項)。
↓ ちなみに…
このみなし期間のことを「離婚時みなし被保険者期間」という。
□改定され、又は決定された標準報酬は、当該標準報酬改定請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有する(4項)。
◆記録 (法78条の7)
↓ なお…
□厚生労働省令で定める事項は、a) 離婚時みなし被保険者期間を有する者の基礎年金番号及び生年月日、b) 保険給付に関する事項とする(則78条の10)。
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◆通知 (法78条の8)
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6 老齢厚生年金等の額の改定 (法78条の10) 重要度 ●
1) 老齢厚生年金の受給権者について、標準報酬改定請求により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあっては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の「翌月」から、年金の額を改定する。(平19択)(平20択)
2) 障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間*1に係る標準報酬が標準報酬改定請求により改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の「翌月」から、年金の額を改定する。
□受給権者について、標準報酬改定請求のあった日の属する月の「翌月」から、第1号改定者の老齢厚生年金又は障害厚生年金は「減額」され、第2号改定者の老齢厚生年金又は障害厚生年金は「増額」される。