(2010年度版)社労士初級インプット講座/国民年金法6-2

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「国民年金法6-2:調整期間」

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国民年金法(6)-2

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

 

 

□現役世代の経済活動が活発となった側面だけを捉えて年金額の改定を行う制度の場合、その財源を支える一人ひとりの負担が過大なものとなってしまう。

 

↓ そこで…

 

□その時代における社会全体の負担能力を年金額の改定に反映させるシステムが必要であり、具体的には、現役世代人口が社会全体に占める割合、被保険者数の減少や平均余命の伸びなどを考慮することが必要である。
*このような仕組みを「マクロ経済スライド制」という。


条文

 

1) 政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金をいう)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(以下「給付額」という)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(以下「調整期間」という)の開始年度*1を定めるものとする。
(平19択)(平18選)

 

2) 財政の現況及び見通しにおいて、前項の調整を行う必要がなくなったと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。

 

3) 政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。


ちょっとアドバイス


□*1 「調整期間の開始年度」は、平成17年度とする(令4条の2の2)。

 

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4  調整期間における改定率の改定の特例-1
(原則・法27条の4第1項)                           重要度 ●   


条文


調整期間における改定率の改定については、名目手取り賃金変動率に次のイ及びロに掲げる率を乗じて得た率を基準とする。

 


イ) 当該年度の初日の属する年の5年前の年の4月1日の属する年度における公的年金各法の被保険者等(この法律又は被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者をいう)の総数として政令で定めるところにより算定した数(以下「公的年金被保険者等総数」という)に対する当該年度の前々年度における公的年金被保険者等総数の比率の3乗根となる率。

 

 

ロ) 0.997

 

 

【調整期間における改定率の改定基準】
=名目手取り賃金変動率×調整率(公的年金被保険者等総数の変動率×0.997)

 

 

ただし、当該基準による改定により当該年度の改定率が当該年度の前年度の改定率を下回ることとなるときは、「1」を基準とする。

 

 

advance


□次に掲げる場合の調整期間における改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該定める率を基準とする(2項)。

 


イ) 名目手取り賃金変動率が1以上となり、かつ、調整率が1を上回るとき

 

 

名目手取り賃金変動率

 

ロ) 名目手取り賃金変動率が1を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率以下となるとき

 

 

名目手取り賃金変動率

 

ハ) 名目手取り賃金変動率が1を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るとき(ニの場合を除く)

 

 

物価変動率

 

ニ) 名目手取り賃金変動率が1を下回り、かつ、物価変動率が1を上回るとき

 

 

1

 

 ↓ なお…

 

□調整期間において「改定率の改定等(法27条の2)」を適用することにより“物価スライド特例措置”による年金額の基準を下回る場合には、あえて「調整期間における改定率の改定(法27条の4)」の規定は適用しない(平16法附則12条1項)。

 

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5  調整期間における改定率の改定の特例-2
(基準年度以後・法27条の5第1項)                   重要度●   


条文


調整期間における基準年度以後改定率の改定については、物価変動率に調整率を乗じて得た率を基準とする。

 


【調整期間における基準年度以後改定率の改定基準】=物価変動率×調整率

 

 

ただし、当該基準による改定により当該年度の基準年度以後改定率が当該年度の前年度の改定率を下回ることとなるときは、1を基準とする。

 

advance


□次に掲げる場合の調整期間における基準年度以後改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該定める率を基準とする。

 


イ) 物価変動率が1を下回るとき

 

 

物価変動率

 

ロ) 物価変動率が名目手取り賃金変動率以下となり、かつ、調整率が1を上回るとき(イの場合を除く)

 

 

物価変動率

 

ハ) 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、名目手取り賃金変動率が1以上となり、かつ、調整率が1を上回るとき

 

 

名目手取り賃金変動率

 

ニ) 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、名目手取り賃金変動率が1以上となり、かつ、調整率が1以下となるとき

 

 

名目手取り賃金変動率に調整率を乗じて得た率

 

ホ) 物価変動率が1を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が1を下回るとき

 

 

1

 

↓ なお…

 

□調整期間において「基準年度以後改定率の改定等(法27条の3)」を適用することにより“物価スライド特例措置”による年金額の基準を下回る場合には、あえて「調整期間における基準年度以後改定率の改定(法27条の5)」の規定は適用しない(平16法附則12条1項)。

 

 

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6  給付水準の下限 (平16法附則2条)                 重要度 ●  


条文


1) 国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、所得代替率*1が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする。

 

2) 政府は、国民年金事業に関する財政の現況及び見通し又は厚生年金保険事業に関する財政の現況及び見通しの作成に当たり、次の財政の現況及び見通しが作成されるまでの間に所得代替率が100分の50を下回ることが見込まれる場合には、調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講ずるものとする。

 

3) 政府は、前項の措置を講ずる場合には、給付及び費用負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずるものとする。


advance


□*1 「所得代替率」とは、次のイの額とロの額とを合算して得た額のハに掲げる額に対する比率をいう。

 


イ) 当該年度における国民年金法による老齢基礎年金の額(当該年度において65歳に達し、かつ、保険料納付済期間の月数が480である受給権者について計算される額とする)を当該年度の前年度までの標準報酬額等平均額の推移を勘案して調整した額を12で除して得た額に2を乗じて得た額に相当する額。

 

 

ロ) 当該年度における厚生年金保険法による老齢厚生年金の額(当該年度の前年度における男子被保険者の平均的な標準報酬額(標準報酬月額と標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額をいう)に相当する額に当該年度の前年度に属する月の標準報酬月額又は標準賞与額に係る再評価率を乗じて得た額を平均標準報酬額とし、被保険者期間の月数を480として計算した額とする)を12で除して得た額に相当する額。

 

 

ハ) 当該年度の前年度における男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額。

 

 

↓ 簡単にいえば…