(2010年度版)社労士初級インプット講座/健康保険法5-8

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「健康保険法5-8:特定疾病に係る高額療養費」

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健康保険法(5)-8

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

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第2節 その他の負担軽減

1  特定疾病に係る高額療養費 (令41条9項ほか)       重要度 ●   

 

条文

 

被保険者又はその被扶養者が次のいずれにも該当する疾病として厚生労働大臣が定めるもの(「特定疾病」*1という)に係る療養(食事療養及び生活療養を除く)を受けた場合において、当該療養を受けた被保険者又はその被扶養者が厚生労働省令で定めるところにより保険者の認定を受けたもの*2であり、かつ、当該被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一の病院等から受けた当該療養に係る一部負担金等が高額療養費算定基準額を超えるときは、当該一部負担金等の額から高額療養費算定基準額を控除した額を高額療養費として支給する。(平6択)(平16択)(平18択)

 


イ) 費用が著しく高額な一定の治療として厚生労働大臣が定める治療を要すること。

 

ロ) イに規定する治療を著しく長期間にわたり継続しなければならないこと。

 

 

 

ここをチェック

 

□*1 「特定疾病」は、次のとおりである(昭59.9.28厚告156号)。

 


a) 人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全

 

b) 血漿(けっしょう)分画製剤を投与している血友病

 

c) 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群

 

 

◆特定疾病に係る高額療養費算定基準額 (令42条9項)

 

□次に掲げる者の区分に応じ、当該定める額(75歳到達時特例対象療養に係るものにあっては、当該定める額に2分の1を乗じて得た額)とする。

 


被保険者の区分

 

 

高額療養費算定基準額

 

75歳到達月

 

イ) ロに掲げる者以外の者

 

 

10,000円

 

 5,000円

 

ロ) 上位所得者 *3

 

 

20,000円

 

10,000円

 

ちょっとアドバイス

 

□*3 「上位所得者」であっても、「70歳に達する日の属する月の翌月以後」に特定疾病に係る療養を受けた者及び当該療養のうち「国が費用を負担すべき療養に係る疾病として厚生労働大臣が定めるもの」に係る療養を受けた者は、上記イの区分とする。(平19択)

 

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 ↓ なお…

 

□「厚生労働大臣が定める疾病」は、特定疾病のうちb)とc)とされる(平18.9.8厚労告489号)。

 

□*2 特定疾患給付対象療養に係る保険者の認定を受けようとするときは、所定の事項を、厚生労働大臣が定める医療に関する給付の実施機関を経由して、保険者に申し出なければならない(則98条の2第1項)。

 

↓ また…

 

□当該認定を受けた者は、保険医療機関等又は保険薬局等から療養を受けようとするときは、被保険者証又は処方せんに添えて、「特定疾病療養受療証」を当該保険医療機関等又は保険薬局等に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由があるときは、この限りでない(則99条6項)。

 

↓ このとき…

 

高額療養費算定基準額を超える部分については、現物給付される。

 

 

2 高額介護合算療養費 (法115条の2)         重要度 ● 

 

条文

 

一部負担金等の額(高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額に相当する額を控除して得た額)並びに介護保険法に規定する介護サービス利用者負担額(高額介護サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除して得た額)及び同法に規定する介護予防サービス利用者負担額(高額介護予防サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、当該一部負担金等の額に係る療養の給付又は保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額介護合算療養費を支給する。(平20択)

 

◆高額介護合算療養費の支給要件 (令43条の2)

 


□前年8月1日から7月31日までの期間(「計算期間」という)において、当該保険者の被保険者(計算期間の末日(「基準日」という)において被保険者(日雇特例被保険者、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員並びに私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者を除く)である者に限る、「基準日被保険者」という)又はその被扶養者がそれぞれ当該保険者の被保険者又はその被扶養者として受けた療養の規定による保険給付に係る「一部負担金等の額」と「介護保険の利用者負担額」の合算額が、介護合算算定基準額*1を超えるときは、基準日被保険者に対し高額介護合算療養費を支給する。

 

 

 

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↓ なお…

 

ちょっとアドバイス

 

□高額介護合算療養費は、医療(健康保険)及び介護(介護保険)に要した一部負担金等の世帯合算額(「介護合算一部負担金等世帯合算額」という)に対する比率に応じて両保険制度において、その費用をそれぞれ算定する。

 

↓ したがって…

 

□健康保険法から支給される額は、当該介護合算一部負担金等世帯合算額から介護合算算定基準額を控除した額に“介護合算按分率”を乗じて得た額となる。

 

*「介護合算按分率」とは、介護合算一部負担金等世帯合算額に対する健康保険に係る一部負担金等の比率をいう。

 

□*1 「介護合算算定基準額」は、次に掲げる者の区分に応じ、当該定める額とする(令43条の3)。

 


被保険者の区分

 

介護合算算定基準額(年額)

 

 

<70歳未満の者を含む
世帯合算の場合>

 

<70歳以上世帯の場合>

 

イ)

 

 

一般(ロ~ニ以外)

 

67万円

 

 62万円 *2

 

ロ)

 

 

上位所得者

 

 

126万円

 

 

現役並み所得者

 

 

 

67万円

 

ハ)

 

 

低所得者A

 

 

34万円

 

31万円

 

ニ)

 

低所得者B

 

19万円

 

 

↓ なお…

 

□*2 「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置」に関連して、現在、“現役並み所得者以外の者”の介護合算算定基準額(年額)は、平成22年7月までは「56万円」に据え置かれている。

 

↓ また…

 

□表中の「上位所得者」、「現役並み所得者」、「低所得者A」及び「低所得者B」は、前述の“高額療養費”において記載したものと同じ取扱いである。