社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「健康保険法6-16:任意継続被保険者」
---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----
テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。
テキスト本文の開始
4 任意継続被保険者の保険料の前納 (法165条) 重要度 ●●
1) 任意継続被保険者は、将来の一定期間*1の保険料を前納することができる。
(平4択)(平9択)
2) 前項の場合において前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額*2を控除した額とする。
3) 第一項の規定により前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。(平9択)
4) 前3項に定めるもののほか、保険料の前納の手続、前納された保険料の還付その他保険料の前納に関して必要な事項*3は、政令で定める。
□*1 「保険料の前納期間」は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの「6月間」又は4月から翌年3月までの「12月間」を単位として行うものとする(令48条)。(平13択)(平19択)
↓ ただし…
□当該6月又は12月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行うことができる。
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◆前納の時期 (則139条)
□任意継続被保険者は、保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者に係る保険料の額の引上げが行われることとなった場合においては、当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係る保険料に不足する額を、前納された保険料のうち当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係るものが令50条(前納保険料の充当)の規定により当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に順次充当されてもなお保険料に不足を生ずる月の10日までに払い込まなければならない(2項)。
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◆*2 前納の際の控除額 (令49条)
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◆*3 前納保険料の充当及び還付
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還付(令51条) |
□保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者に係る保険料の額の引上げが行われることとなった場合においては、前納された保険料のうち当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係るものは、当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に、先に到来する月の分から順次充当するものとする。 |
□保険料を前納した後、前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者がその資格を喪失した場合においては、その者(死亡した場合においては、その者の相続人)の請求に基づき、前納した保険料のうち未経過期間に係るものを還付する(1項)。
□前項に規定する未経過期間に係る還付額は、任意継続被保険者の資格を喪失した時において当該未経過期間につき保険料を前納するものとした場合におけるその前納すべき額に相当する額とする(2項)。
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5 保険料の源泉控除 (法167条) 重要度 ●●
1) 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月*1の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる*2。
(平2択)(平4択)(平8択)(平9択)(平13択)(平19択)
(例)4月分保険料 →5月給料日に控除 →5月末日納付
□5月に支給する報酬から“前月分”として控除できる。
□4月分保険料からみて「翌月末日」である5月31日までに納付しなければならない。
*実務的には、毎月20日前後に「納入告知書(兼領収書)」が郵送されてくる。
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2) 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。(平20択)
3) 事業主は、前2項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
□*1 「前月及びその月」に係る保険料の控除は、被保険者がその事業所に使用されなくなった場合に限り行うことができる。(平6択)
□*2 事業主が被保険者の報酬又は賞与から保険料を控除するに当たっては、被保険者の同意は不要である。(平1択)
↓ なお…
□保険料を控除できるのは、あくまでも報酬又は賞与からであり、被保険者に支給されている傷病手当金又は出産手当金から保険料を控除する取扱いはできない。
(平5択)(平8択)(平10択)
◆通達による判断基準
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↓ なお…
□その月分の保険料とは、その月に得喪があった場合の保険料であって、前月から引き続き被保険者である者が資格を喪失したときには、その月分の保険料は徴収されないためその月分の保険料の控除も行われない(昭27.7.14保文発3917号)。
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6 保険料の繰上徴収 (法172条) 重要度 ●●
保険料は、次に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。
a) 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。
b) 強制執行を受けるとき。(平7択)
c) 破産手続開始の決定を受けたとき。
d) 企業担保権の実行手続の開始があったとき。
e) 競売の開始があったとき。
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ロ) 法人である納付義務者が、解散をした場合
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ハ) 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
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□任意適用事業所が“任意包括脱退により適用事業所でなくなるとき”は、保険料の繰上徴収の事由に該当しないため、この規定は適用されない。(平7択)
□事業所の譲渡によって事業主に変更があったときは、“被保険者の使用される事業所が廃止された場合”に該当するものとして、事業主が変更する前の保険料について繰上徴収の事由に該当する(昭5.11.5保理513号)。(平14択)
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7 保険料等の督促及び滞納処分 (法180条) 重要度 ●●
改正
□*1 「保険者等」とは、被保険者が協会管掌健康保険の任意継続被保険者である場合又は協会管掌健康保険の被保険者若しくは日雇特例被保険者であって第58条(不正利得の徴収等)、第74条第2項(一部負担金の徴収)等(第149条(日雇特例被保険者への準用)においてこれらの規定を準用する場合を含む)の規定による徴収金を納付しなければならない場合は「協会」、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該「健康保険組合」、これら以外の場合は「厚生労働大臣」をいう(法181条についても同様)。
□第172条(保険料の繰上徴収)の規定により保険料を徴収するときは、督促する必要はない(1項ただし書き)。(平7択)(平10択)
2) 前項の規定によって督促をしようとするときは、保険者等は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3) 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、第172条(保険料の繰上徴収)のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
4) 保険者等は、納付義務者が次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第252条の19第1項の指定都市(いわゆる政令指定都市)にあっては、区とする、第6項において同じ)に対して、その処分を請求することができる。(平3択)(平11択)
b) 第172条のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
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5) 前項の規定により協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
(平7択)(平10択)(平13択)(平15択)
6) 市町村は、第4項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、保険者は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
□第三者行為災害に係る損害賠償請求権は、滞納処分の対象とならない(滞納処分をすることはできない)。(平3択)
8 延滞金 (法181条) 重要度 ●●
改正
1) 前条第1項の規定によって督促をしたときは、保険者等は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から「3月」を経過する日までの期間については、年7.3%(当分の間軽減措置あり*1))の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。
(平4択)(平5択)(平8択)(平9択)(平15択)(平19択)(平17選)
□延滞金の計算については、次のとおりとなる。
a) 徴収金額が1,000円未満であるとき。
b) 納期を繰り上げて徴収するとき。
c) 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がいずれも明らかでないため、公示送達の方法によって督促をしたとき。
d) 滞納につきやむを得ない事情があると認められるとき。
e) 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき
f) 延滞金の額が100円未満であるとき
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徴収しない |
ロ) 徴収金額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金について(2項) |
その納付のあった徴収金額を控除した金額による
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ハ) 徴収金額に1,000円未満の端数があるとき(3項) |
その端数は、切り捨てる
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ニ) 延滞金の金額に100円未満の端数があるとき(5項) |
その端数は、切り捨てる
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改正
□*1 延滞金の年7.3%の割合は、当分の間、各年の特例基準割合(各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合をいう)が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる)とする(法附則9条)。
9 協会による広報等 (法181条の2ほか) 重要度 ●
◆協会による広報及び保険料の納付の勧奨等 (法181条の2)
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◆協会による保険料の徴収 (法181条の3)
□厚生労働大臣は、前項の規定により協会に滞納者に係る保険料の徴収を行わせることとしたときは、当該滞納者に対し、協会が当該滞納者に係る保険料の徴収を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない(2項)。
-----------------(194ページ目ここから)------------------ □第1項の規定により協会が保険料の徴収を行う場合においては、協会を保険者等とみなして、第180条及び第181条の規定を適用する(3項)。
□第1項の規定により協会が保険料を徴収したときは、その徴収した額に相当する額については、第155条の2(保険料等の交付)の規定により、政府から協会に対し、交付されたものとみなす(4項)。
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10 先取特権の順位等 (法182条ほか) 重要度 ●
◆先取特権の順位 (法182条)
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◆徴収に関する通則 (法183条)
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1 日雇特例被保険者の保険料額 (法168条1項) 重要度 ●
日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする。
a) 標準賃金日額に平均保険料率*1と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額
b) a)に掲げる額に100分の31を乗じて得た額
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ロ) 賞与額(その額に1,000円未満の端数がある場合には、これを切り捨てるものとし、その額が「40万円」(第124条第2項の規定による標準賃金日額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超える場合には、40万円とする)に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額。(平18択)
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□*1 「平均保険料率」とは、各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率をいう。
2 日雇特例被保険者に係る保険料の負担及び納付義務 (法169条)
重要度 ●
◆労使の負担割合 (1項)
□負担割合は、次のとおりである。
日雇特例被保険者 |
前条1項イのa)の額の2分の1に相当する額として政令で定めるところにより算定した額A及びロの額の2分の1の額の合算額
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日雇特例被保険者を使用する事業主 |
当該算定した額A、イのb)の額に相当する額として政令で定めるところにより算定した額及びロの額の2分の1の額の合算額
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2) 事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主)は、日雇特例被保険者を「使用する日ごと」に、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。(平3択)(平11択)(平19択)
3) 前項の規定による保険料の納付は、日雇特例被保険者が提出する日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙*1をはり、これに消印して行わなければならない。(平3択)
4) 日雇特例被保険者手帳を所持する日雇特例被保険者は、適用事業所に使用される日ごとに、その日雇特例被保険者手帳を事業主に提出しなければならない。
5) 事業主は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、日雇特例被保険者にその所持する日雇特例被保険者手帳の提出を求めなければならない。
6) 事業主は、第2項の規定により保険料を納付したときは、日雇特例被保険者の負担すべき保険料額に相当する額をその者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、その旨を日雇特例被保険者に告げなければならない。
7) 事業主は、日雇特例被保険者に対して賞与を支払った日の属する月の翌月末日までに、その者及び自己の負担すべきその日の賞与額に係る保険料を納付する義務を負う。
□*1 事業主は、健康保険印紙を購入するときには、健康保険印紙購入通帳に購入しようとする健康保険印紙の種類、枚数、金額及び購入年月日を記入し、健康保険印紙を販売する郵便事業株式会社の営業所又は郵便局に提出しなければならない(則146条1項)。(平3択)
3 保険料額の告知等 (法170条ほか) 重要度 ●
◆日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料額の告知等 (法170条)
□事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、前条第2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により決定された保険料額の「100分の25」に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、決定された保険料額が1,000円未満であるときは、この限りでない(2項)。
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□追徴金を計算するに当たり、決定された保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる(3項)。
□追徴金は、その決定された日から「14日以内」に、厚生労働大臣に納付しなければならない。(平16択)
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◆健康保険印紙の受払等の報告 (法171条)
□前項の場合において、健康保険組合を設立する事業主は、併せて当該健康保険組合に同項の報告をしなければならない(2項)。
□前項の規定により報告を受けた健康保険組合は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年度、厚生労働大臣に当該健康保険組合を設立する事業主の前年度の受払等の報告をしなければならない(3項)。
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4 日雇拠出金 (法173条ほか) 重要度 ●
◆日雇拠出金の徴収及び納付義務 (法173条)
□日雇関係組合は、前項に規定する拠出金(以下「日雇拠出金」という)を納付する義務を負う(2項)。
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◆日雇拠出金の納期及び納付の額 (令55条)
□各納期に納付すべき日雇拠出金の額は、法第174条の規定による当該年度の日雇拠出金の額の2分の1に相当する金額とする(2項)。
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□前項の規定にかかわらず、当該年度の日雇拠出金の額に2,000円未満の端数があるときは、9月30日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額に当該端数の額を加算した額の2分の1に相当する金額とし、3月31日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額から当該端数の額を控除した額の2分の1に相当する金額とする(3項)。
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◆日雇拠出金の額 (法174条)
↓ ただし…
□前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額を超えるときは、当該年度の概算日雇拠出金の額からその超える額を控除して得た額とするものとし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額に満たないときは、当該年度の概算日雇拠出金の額にその満たない額を加算して得た額とする。
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↓ なお…
◆概算日雇拠出金 (法175条)
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◆確定日雇拠出金 (法176条)
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