(2010年度版)社労士初級インプット講座/一般常識3-11

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「一般常識3-11:日本年金機構法」

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一般常識(3)-11

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

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テキスト本文の開始

 

 

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第 8 章

日本年金機構法

第1節 総則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 174
第2節 業務の範囲等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 176
第3節 監督等及び罰則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 179

 

 

 

 

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第1節  総則

1  目的及び基本理念等 (法1条~法4条)             重要度 ●    

 

◆目的 (法1条)

 


□日本年金機構は、この法律に定める業務運営の基本理念に従い、厚生労働大臣の監督の下に、厚生労働大臣と密接な連携を図りながら、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業(以下「政府管掌年金事業」という)に関し、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づく業務等を行うことにより、政府管掌年金事業の適正な運営並びに厚生年金保険制度及び国民年金制度(以下「政府管掌年金」という)に対する国民の信頼の確保を図り、もって国民生活の安定に寄与することを目的とする。

 

 

◆基本理念等 (法2条)

 


□日本年金機構は、その業務運営に当たり、政府管掌年金が国民の共同連帯の理念に基づき国民の信頼を基礎として常に安定的に実施されるべきものであることにかんがみ、政府管掌年金事業に対する国民の意見を反映しつつ、提供するサービスの質の向上を図るとともに、業務運営の効率化並びに業務運営における公正性及び透明性の確保に努めなければならない(1項)。

 

□厚生労働大臣及び日本年金機構は、政府管掌年金が国民生活の安定のみならず、医療保険事業その他の社会保険事業の安定的な運営に寄与し、我が国社会の持続的な発展の基盤となるものであることにかんがみ、政府管掌年金事業について、厚生年金保険及び国民年金の被保険者、事業主、地方公共団体並びに政府管掌年金事業に関する団体(「被保険者等」という)の協力の下に適正に運営するとともに、政府管掌年金及び政府管掌年金事業に対する国民一般の理解を高めるよう努めなければならない(2項)。

 

□被保険者等は、政府管掌年金の円滑な実施に適切な役割を果たすとともに、政府管掌年金事業に対する理解を深め、その運営に協力するよう努めなければならない(3項)。

 

 

◆法人格及び事務所、名称の使用制限

 


□日本年金機構(以下「機構」という)は、法人とする(法3条)。

 

□機構は、主たる事務所を東京都に置く(法4条1項)。

 

□機構は、必要な地に従たる事務所を置き、その管轄する区域について、機構の業務を分掌させるものとする(法4条2項)。

 

□機構でない者は、日本年金機構という名称を用いてはならない(法7条)。

 

 

 

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2 役員及び理事会並びに職員 (法9条ほか)       重要度 ● 

 

◆役員 (法9条)

 


□機構に、役員として、理事長1人、副理事長1人、理事7人以内及び監事2人を置く。

 

□機構に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事4人以内を置くことができる。

 

 

◆理事会の設置及び任務 (法10条)

 


□機構に、理事会を置く(1項)。

 

□理事会は、理事長、副理事長及び理事をもって組織する(2項)。

 

□理事会は、この法律の規定により厚生労働大臣の認可(理事長による副理事長及び理事の任命及び理事長による役員の解任に係る認可を除く)又は承認(役員の兼職に係る承認を除く)を受けなければならない事項その他理事会が特に必要と認める重要事項を審議し、決定する(3項)。

 

 

◆理事会の会議 (法11条)

 


□理事会は、理事長が招集する(1項)。

 

□理事長は、理事会の議長となり、会務を総理する(2項)。

 

□理事会は、理事長、副理事長及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない(3項)。

 

 

◆役員の任命及び任期

 


□理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命する(法13条1項)。

 

□副理事長及び理事は、理事長が厚生労働大臣の認可を受けて任命する(2項)。

 

□役員の任期は、2年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする(法14条1項)。

 

 

◆職員の任命 (法19条)

 


□機構の職員は、理事長が任命する。

 

 

◆服務の本旨 (法23条1項)

 


□役職員の服務は、国民の共同連帯の理念に基づき設けられた政府管掌年金において、国民の信頼を基礎として納付された保険料により運営される政府管掌年金事業の意義を自覚し、強い責任感を持って、誠実かつ公正にその職務を遂行し、国民の信頼にこたえることを本旨としなければならない。

 

 

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第2節  業務の範囲等

1  業務の範囲 (法27条ほか)                       重要度 ●    

 

◆業務の範囲 (法27条)

 


□機構は、第1条の目的を達成するため、次の業務を行う(1項)。

 

a) 厚生年金保険法及び国民年金法に規定する厚生労働大臣の権限に係る委任事務、委託事務、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための事業及び被保険者等の利便の向上に資するための電子情報処理組織の運用並びに保険料その他この法律の規定による徴収金等の収納を行うこと。

 

b) a)に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 

□機構は、前項の業務のほか、次の業務を行う(2項)。

 

a) 児童手当法に規定する権限(国税滞納処分の例による処分その他政令で定めるもの)に係る事務を行うこと。

 

b) 健康保険法に規定する厚生労働大臣の権限に係る委任事務、委託事務、保険料等の収納を行うこと。etc.

 

□次に掲げる事務を行うこと。

 

a) 国民健康保険法に規定する厚生労働大臣の通知の権限に係る事務

 

b) 介護保険法その他の法律の規定による厚生年金保険法による年金たる保険給付及び国民年金法による年金たる給付の支払をする際における保険料その他の金銭の徴収及び納入に係る事務

 

c) 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律に規定する権限に係る事務等 etc.

 

 

◆被保険者等の意見の反映 (法28条)

 


□機構は、法2条1項の趣旨を踏まえ、被保険者、事業主、年金給付の受給権者その他の関係者の意見を機構の業務運営に反映させるために必要な措置を講じなければならない。

 

 

◆年金事務所 (法29条)

 


□機構は、従たる事務所の業務の一部を分掌させるため、被保険者、事業主及び受給権者の利便の確保に配慮しつつ、必要な地に年金事務所を置くものとする。

 

 

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◆業務の委託等 (法31条)

 


□機構は、厚生労働大臣の定める基準に従って、第27条に規定する業務の一部を委託することができる(1項)。

 

□前項の規定により委託を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員その他の当該委託を受けた業務に従事する者(「受託者等」という)又はこれらの者であった者は、当該業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない(2項)。

 

 

2  中期目標等及び年金個人情報の保護 (法33条ほか)  重要度 ●    

 

◆中期目標 (法33条)

 


□厚生労働大臣は、3年以上5年以下の期間において機構が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という)を定め、これを機構に指示するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする(1項)。

 

□中期目標においては、次に掲げる事項を定めるものとする(2項)。

 

a) 中期目標の期間(前項の期間の範囲内で厚生労働大臣が定める期間をいう)

 

b) 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

 

c) 業務運営の効率化に関する事項

 

d) 業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項

 

 

◆中期計画 (法34条1項)

 


□機構は、厚生労働大臣の指示を受けたときは、中期目標に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画(「中期計画」という)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 

 

◆中期目標に係る業務の実績に関する評価 (法37条)

 


□機構は、中期目標の期間の終了後3月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、当該中期目標の達成状況に関する報告書(中期実績報告書)を厚生労働大臣に提出しなければならない(1項)。

 

□厚生労働大臣は、機構の中期目標の達成状況について、評価を行わなければならない(2項)。

 

 

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◆年金個人情報の保護 (法38条)

 


□厚生労働省及び機構は、年金個人情報を保有するに当たっては、それぞれその所掌事務又は業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。

 

↓ なお…

 

□「年金個人情報」とは、厚生年金保険法に規定する原簿及び国民年金法に規定する国民年金原簿に記録する個人情報その他政府管掌年金事業の運営に当たって厚生労働省及び機構が取得する個人情報をいう(1項)。

 

□厚生労働省及び機構は、特定された利用の目的(以下「利用目的」という)の達成に必要な範囲を超えて、年金個人情報を保有してはならない(2項)。

 

□厚生労働大臣(その委任を受けた者を含む)及び機構は、法律の規定に基づき、原則として、年金個人情報を自ら利用し、又は提供しなければならない場合を除き、利用目的以外の目的のために年金個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない(4項)。

 

↓ なお…

 

□厚生労働大臣及び機構は、本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき等に該当するときに限り、利用目的以外の目的のために年金個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。

 

↓ ただし…

 

□年金個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人(当該年金個人情報によって識別される特定の個人をいう)又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでな

い(5項)。

 

 

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第3節 監督等及び罰則

1  監督 (法48条ほか)                              重要度 ●    

 

◆報告及び検査 (法48条1項)

 


□厚生労働大臣は、この法律、厚生年金保険法、国民年金法、児童手当法、健康保険法又は船員保険法を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。

 

 

◆業務改善命令 (法49条)

 


□厚生労働大臣は、第36条第1項*1(各事業年度に係る業務の実績に関する評価)又は第37条第2項(機構の中期目標の達成状況)の規定による評価の結果必要があると認めるとき、その他機構の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる(1項)。

 

□厚生労働大臣は、命令をしたときは、その旨を公表しなければならない(2項)。

 

 

 ↓ なお…

 

□*1 厚生労働大臣は、機構の事業年度ごとの業務の実績について、評価を行わなければならず、また、当該評価を行ったときは、遅滞なく、機構に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない(法36条)。

 

◆法令違反等の是正 (法50条)

 


□厚生労働大臣は、報告をさせ、又は検査を行った場合において、機構の業務又は会計が、法令若しくはこれに基づく処分若しくは業務方法書その他の規則に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、機構に対し、その業務又は会計の是正のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる(1項)。

 

□厚生労働大臣は、命令をしたときは、その旨を公表しなければならない(2項)。

 

 

◆社会保障審議会への諮問 (法52条)

 


□厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、社会保障審議会に諮問しなければならない。

 

a) 中期目標を定め、又は変更しようとするとき。

 

b) 各事業年度に係る業務の実績に関する評価又は機構の中期目標の達成状況の規定による評価を行おうとするとき。

 

c) 業務改善命令の規定による命令をしようとするとき。

 

 

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◆権限の委任 (法56条)

 


□この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる(1項)。

 

□前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる(2項)。

 

 

2  罰則 (法57条ほか)                              重要度 ●    

 

◆1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (法57条)

 


□役職員の秘密保持義務又は受託者等又はこれらの者であった者が業務に関して知り得た秘密を漏らしたとき。

 

 

↓ なお…

 

◆役職員の秘密保持義務 (法25条)

 


□役職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

 

 

◆30万円以下の罰金 (法58条)

 


□報告及び検査の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合、その違反行為をした機構の役員又は職員であるとき。

 

 

◆20万円以下の過料 (法59条)

 


□次のいずれかに該当する場合、その違反行為をした機構の役員であるとき。

 

a) 厚生労働大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

 

b) 厚生労働大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 

c) 業務の範囲に規定する業務以外の業務を行ったとき。etc.

 

 

◆10万円以下の過料 (法60条)

 


□名称の使用制限の規定に違反して日本年金機構という名称を用いたとき。