(2010年度版)社労士初級インプット講座/一般常識6-20

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「一般常識6-20:労働契約法」

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一般常識(6)-20

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

 

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第3節  労働契約法

1  総則 (法1条~法5条)                            重要度 ●   

 

◆目的 (法1条)

 


□この法律は、労働者*1及び使用者*2の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

 

 

↓ なお…

 

◆定義 (法2条)

 


□*1 「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

 

□*2 「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

 

 

 ↓ ここで…

 

◆船員に関する特例 (法18条1項)

 


□第12条(就業規則違反の労働契約)及び第17条(期間の定めのある労働契約)の規定は、船員法の適用を受ける船員に関しては、適用しない。

 

 

 ↓ また…

 

◆適用除外 (法19条)

 


□この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない(1項)。

 

□この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない(2項)。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「労働者」は、使用従属関係の有無により労働基準法と同じように判断する。

 

□「使用者」は、労働者との間において労働契約を締結する当事者であり、個人事業にあっては事業主個人、法人にあっては法人そのものをいう。

 

◆労働契約の原則 (法3条)

 


□労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする(1項)。<労使対等の原則>

 

□労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする(2項)。<均衡考慮の原則>

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□労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする(3項)。<調和配慮の原則> (平21択)

 

□労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない(4項)。<信義誠実の原則>

 

□労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない(5項)。<権利濫用禁止の原則>

 

 

◆労働契約の内容の理解の促進 (法4条)

 


□使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする(1項)。

 

□労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする(2項)。

 

 

◆労働者の安全への配慮 (法5条)

 


□使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

 

2  労働契約の成立及び変更 (法6条~法13条)         重要度 ●●  

 

◆労働契約の成立 (法6条、法7条)

 


□労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。<合意の原則>

 

□労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合*1には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条(就業規則違反の労働契約)に該当する場合を除き、この限りでない。

 

 

 ↓ ここで…

 

□*1 労働基準法106条(法令等の周知義務)の「周知」は、同法施行規則52条の2により次のa)~c)のいずれかの方法によるべきこととされているのに対し、労働契約法の「周知」は、これらa)~c)の3種類の方法に限定されるものではなく、実質的に判断されるものである(平20.1.23基発0123004号)。

 

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a) 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること

 

b) 書面を労働者に交付すること

 

c) 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

 

 

◆労働契約の内容の変更 (法8条)

 


□労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。<合意の原則>

 

 

◆就業規則による労働契約の内容の変更 (法9条、法10条)

 


□使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、第10条の場合は、この限りでない。

 

□使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条(就業規則違反の労働契約)に該当する場合を除き、この限りでない。

 

 

◆就業規則の変更に係る手続 (法11条)

 


□就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法第89条(就業規則の作成及び届出の義務)及び第90条(就業規則の作成の手続)の定めるところによる。

 

 

◆就業規則違反の労働契約 (法12条)

 


□就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

 

*労働基準法:(平1択)(平11択)(平2記)(平16選)

 

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◆法令及び労働協約と就業規則との関係 (法13条)

 


□就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条(就業規則で定める労働条件)、第10条(就業規則の規範性)及び第12条(就業規則違反の労働契約)の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

 

 

3  労働契約の継続及び終了等 (法14条~法17条)      重要度 ●    

 

◆出向 (法14条)

 


□使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

 

 

◆懲戒 (法15条)

 


□使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

 

 

◆解雇 (法16条)

 


□解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

*労働基準法:(平16択)(平18選)

 

◆期間の定めのある労働契約 (法17条)

 


□使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由*1がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない(1項)。

 

□使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない(2項)。

 

 

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advance

 

□*1 「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、“やむを得ない事由がある”と認められる場合は、解雇権濫用法理(法16条)における「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるものである(平20.1.23基発0123004号)。