(2010年度版)社労士初級インプット講座/一般常識6-12

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「一般常識6-12:労働時間等の設定改善特別措置法」

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一般常識(6)-12

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

 

 

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第4節  労働時間等の設定改善特別措置法

1  総則 (法1条~法3条の2)                         重要度 ●   

 

◆目的 (法1条)

 


□この法律は、我が国における労働時間等*1の現状及び動向にかんがみ、労働時間等設定改善指針を策定するとともに、事業主等による労働時間等の設定*2の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって労働者の健康で充実した生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 

 

 ↓ なお…

 


□*1 「労働時間等」とは、労働時間、休日及び年次有給休暇(労働基準法の規定による年次有給休暇として与えられるもの)その他の休暇をいう(法1条の2第1項)。

 

□*2 「労働時間等の設定」とは、労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう(法1条の2第2項)。

 

 

◆事業主等の責務 (法2条)

 


□事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない(1項)。(平19択)

 

□事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者(転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とする労働者その他これに類する労働者をいう)、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない(2項)。

 

□事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用する労働者の労働時間等の設定の改善に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない(3項)。

 

□事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、当該他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けない等取引上必要な配慮をするように努めなければならない(4項)。

 

 

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◆国及び地方公共団体の責務 (法3条)

 


□国は、労働時間等の設定の改善について、事業主、労働者その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつその実情に応じてこれらの者に対し必要な指導、援助等を行うとともに、これらの者その他国民一般の理解を高めるために必要な広報その他の啓発活動を行う等、労働時間等の設定の改善を促進するために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない(1項)。

 

□地方公共団体は、前項の国の施策と相まって、広報その他の啓発活動を行う等労働時間等の設定の改善を促進するために必要な施策を推進するように努めなければならない(2項)。

 

 

◆適用除外 (法3条の2)

 


□この法律は、国家公務員及び地方公務員並びに船員法の適用を受ける船員については、適用しない。

 

 

2  労働時間等設定改善指針等 (法4条、法5条)        重要度 ●   

 

◆労働時間等設定改善指針の策定 (法4条)

 


□厚生労働大臣は、第2条(事業主等の責務)に定める事項に関し、事業主及びその団体が適切に対処するために必要な指針(以下「労働時間等設定改善指針」という)を定めるものとする(1項)。(平21択)

 

□厚生労働大臣は、労働時間等設定改善指針を定める場合には、あらかじめ、関係行政機関の長と協議し、及び都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない(2項)。

 

 

◆要請 (法5条)

 


□厚生労働大臣は、労働時間等の設定の改善のための事業主の取組の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、関係団体に対し、労働時間等の設定の改善に関する事項について、必要な要請をすることができる。

 

 

advance

 

◆事業主等が講ずべき労働時間等の設定の改善のための措置 (労働時間等設定改善指針:平20.3.24厚労告第108号)

 

□事業主等は、労働時間等の設定の改善を図るに当たり、労動者と十分に話し合うとともに、経営者の主導の下、以下に掲げる措置その他の労働者の健康と生活に配慮した措置を講ずるよう努めなければならない。<事業主が講ずべき一般的な措置>

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イ) 実施体制の整備

 

a) 実態の把握
事業主が労働時間等の設定の改善を図るためには、まず、自己の雇用する労働者の労働時間等の実態について適正に把握していることが前提となる。したがって、事業主は、その雇用する労働者の始業・終業時刻、年次有給休暇の取得、時間当たりの業務負担の度合い等労働時間等の実態を適正に把握すること。

 

b) 労使間の話合いの機会の整備
労働時間等の設定の改善は、それぞれの労働者の抱える事情や企業経営の実態を踏まえ、企業内における労使の自主的な話合いに基づいて行われるべきものである。また、それぞれの企業の実情に通じた労使自身の主体的な関与がなければ、適切な労働時間等の設定の改善はなしえない。したがって、労働時間等の設定の改善に関して、企業内において労使間の十分な話合いが行われることが必要である。
こうした趣旨に基づき、法において企業内の労働時間等の設定の改善に係る実施体制の整備について事業主の努力義務が定められていることを踏まえ、事業主は、労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会を整備すること。
なお、一定の要件を満たすことを条件に、衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすことができるので、その活用を図ること。
また、このような労使間の話合いの機会を設けるに当たっては、委員会等の構成員について、労働者の抱える多様な事情が反映されるよう、性別、年齢、家族構成等並びに育児・介護、自発的な職業能力開発等の経験及び知見に配慮することが望ましい。

 

c) 個別の要望・苦情の処理
労働時間等の設定の改善を図るためには、事業主が、労働者各人からの労働時間等に係る個別の要望・苦情に誠意をもって耳を傾け、善後策を講じることが必要である。このため、事業主は、このような要望・苦情に応じるための担当者の配置や処理制度の導入を図ること。

 

d) 業務の見直し等
労働時間等の設定の改善を図るに当たっては、業務内容や業務体制の見直し、生産性の向上等により、より効率的に業務を処理できるようにすることが必要である。このため、事業主は、必要に応じて、業務計画の策定等による業務の見直しや要員確保等を図ること。

 

e) 労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画
労働時間等の設定の改善をより確実にするには、計画的な取組が望ましい。このため、事業主は、具体的な措置の内容、導入・実施の予定等に係る計画を作成し、これに基づいて、労働時間等の設定の改善を推進すること。この場合、労働時間等の設定の改善に係る措置についての具体的な目標を、それぞれの事情を踏まえつつ、自主的に設定することが望ましい。なお、計画の策定に当たっては、労使間の話合いの機会の重要性にかんがみ、労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会において労働者の意見を聴くなど、労働者の意向を踏まえたものとするようにすること。また、策定された計画については、随時、その効果を検証し、必要に応じて見直しを行うこと。

 

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ロ) 労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定
業務の閑散期においても繁忙期と同様の労働時間等の設定を行うことは、事業主にとっても、労働者にとっても得るものが少ない。このため、時季や日に応じて業務量に変動がある事業場については、変形労働時間制、フレックスタイム制を活用すること。特に、年間を通しての業務の繁閑が見通せる業務については、 1年単位の変形労働時間制を活用して、労働時間の効率的な配分を行うこと。また、フレックスタイム制の活用に当たっては、労働者各人が抱える多様な事情を踏まえ、生活時間の確保にも十分な配慮をすること。
また、業務の進め方について労働者の創造性や主体性が必要な業務については、労働時間等の設定についても、労働者の裁量にゆだねることが業務の効率的な遂行につながり、労働者の生活時間の確保にも資する場合がある。このため、事業主は、そのような業務に携わる労働者については、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の活用も検討すること。裁量労働制を活用する場合には、労働者が抱える多様な事情に配慮するとともに、自己の雇用する労働者の労働実態を適切に把握し、必要に応じて、年次有給休暇の取得奨励や労働者の健康に十分配慮した措置を講ずること。
さらに、いわゆる短時間正社員のような柔軟な働き方の活用を図ること。

 

 

ハ) 年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
労働者が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送るためには、原則として労働者がその取得時季を自由に設定できる年次有給休暇の取得が必要不可欠である。また、育児・介護等に必要な時間の確保にも資すると考えられる。特に、労働者が仕事を重視した生活設計をすることにより、労働が長時間に及ぶ場合においては、年次有給休暇の取得が健康の保持のために重要である。
しかしながら、年次有給休暇については、周囲に迷惑がかかること、後で多忙になること、職場の雰囲気が取得しづらいこと等を理由に、多くの労働者がその取得にためらいを感じている。
年次有給休暇の取得は、企業の活力や競争力の源泉である人材がその能力を十分に発揮するための大きな要素であって、生産性の向上にも資するものであり、企業にとっても大きな意味を持つものである。
このため、事業主は、年次有給休暇の完全取得を目指して、経営者の主導の下、取得の呼びかけ等による取得しやすい雰囲気づくりや、労使の年次有給休暇に対する意識の改革を図ること。
また、計画的な年次有給休暇の取得は、年次有給休暇取得の確実性が高まり、労働者にとっては予定通りの活動を行いやすく、事業主にとっては計画的な業務運営を可能にする等効用が高い。したがって、年次有給休暇の取得促進を図るためには、特に、計画的な年次有給休暇取得の一層の推進を図ることが重要である。

 

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計画的な年次有給休暇の取得には、労使間で1年間の仕事の繁閑や段取りを話し合うことが必要であり、労使双方にとって合理的な仕事の進め方を理解し合うためにも有益な手段であると考えられる。事業主は、年次有給休暇の取得促進を図るため、業務量を正確に把握し、個人別年次有給休暇取得計画表の作成、年次有給休暇の完全取得に向けた業務体制の整備、取得状況の把握を行うこと。また、労働基準法39条6項に基づく年次有給休暇の計画的付与制度の活用を図ること。
さらに、週休日と年次有給休暇とを組み合わせた2週間程度の連続した長期休暇の取得促進を図ること。その際、取得時期については、休暇中の渋滞、混雑を緩和するため分散化を図り、より寛げる休暇となるよう配慮すること。
これらに加え、年次有給休暇取得促進の観点から、労働基準法39条4項に基づく年次有給休暇の時間単位付与制度(以下「時間単位付与制度」という)の活用や、半日単位での年次有給休暇の利用について、連続休暇取得及び1日単位の取得の阻害とならない範囲で、労働者の希望によるものであることを前提としつつ、検討すること。

 

 

ニ) 所定外労働の削減
所定外労働は臨時、緊急の時にのみ行うものである。事業主は、その雇用する労働者の健康で充実した生活のため、労働時間に関する意識の改革、「ノー残業デー」、「ノー残業ウィーク」の導入・拡充等により、今後とも所定外労働の削減を図ること。特に、休日労働を避けること。また、所定外労働を行わせた場合には、代休の付与等により総実労働時間の短縮を図ること。労働者が私生活を重視した生活設計をし、所定外労働を望まない場合は、所定外労働の削減について一層の配慮をすること。
なお、労働時間を延長する場合であっても、労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準を遵守すること。また、同基準3条ただし書に規定する特別条項付き協定を結ぶ場合は、同基準の例外が認められる特別の事情とは臨時的なものに限ることを、その協定において明確にするとともに、限度時間を超える時間外労働をできる限り短くし、その時間の労働に係る割増賃金率について、法定割増賃金率を超える率とするよう努めること。
さらに、週60時間以上の長時間労働者の割合が高水準となっており、特に30代男性で高くなっている。長時間労働により、健康を損なう者が出るとともに、肉体的、精神的な疲労によって労働者の生産性にも影響を及ぼすおそれがあり、また、男性の家事・育児時間が長時間労働等により短くなっていることから、このような長時間労働が恒常的なものにならないようにする等その抑制を図ること。

 

 

ホ) 労働時間の管理の適正化
近年、業務の困難度の高さとあいまって、時間的に過密な業務の運用により、労働者に疲労の蓄積や作業の誤りが生じ、健康障害や重大な事故につながることが懸念されている。また、時間的に過密な業務の運用は、生産性の向上を阻害しかねない。このため、事業主は、時間的に過密とならない業務の運用を図ること。

 

 

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ヘ) ワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用
事業主は、多様な働き方の選択肢を拡大するワークシェアリングの導入に努めること。
また、在宅勤務やテレワークによる勤務は、職住近接の実現による通勤負担の軽減に加え、多様な働き方の選択肢を拡大するものであり、働く意欲を有する者が仕事と生活を両立させつつ、能力を発揮できるようにするためにも、その活用を図ること。
なお、在宅で勤務するテレワークについては、厚生労働省労働基準局長が定めた「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」に基づき、適切な就業環境の下での在宅勤務の実現を図ること。

 

 

ト) 国の支援の活用
事業主が以上の取組を進めるに当たっては、事業主の労働時間等の設定の改善を促進するため国が行う支援制度を積極的に活用すること。
また、労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画については、同業他社と歩調をそろえてこのような計画を作成し、実施することが効果的と考えられる。このため、同一の業種に属する複数の事業主が共同して労働時間等設定改善実施計画を作成する場合には、法により国の支援が行われるので、そうした支援制度を積極的に活用すること。