(2010年度版)社労士初級インプット講座/一般常識6-11

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「一般常識6-11:中小企業退職金共済法」

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一般常識(6)-11

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

 

テキスト本文の開始

 

 

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第3節  中小企業退職金共済法

1  総則 (法1条、法2条)                            重要度 ●   

 

◆目的 (法1条)

 


□この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基き、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする。

 

 

◆定義 (法2条)

 


□「中小企業者」とは、次のいずれかに該当する事業主(国、地方公共団体その他厚生労働省令で定めるこれらに準ずる者を除く)をいう。

 


イ) ロ~ニ以外の事業以外の事業

 

 

常時雇用する従業員の数が300人以下の事業主及び資本金の額又は出資の総額が3億円以下の法人である事業主

 

ロ) 卸売業

 

常時雇用する従業員の数が100人以下のもの及び資本金の額又は出資の総額が1億円以下の法人であるもの

 

 

ハ) サービス業

 

 

常時雇用する従業員の数が100人以下のもの及び資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の法人であるもの

 

 

ニ) 小売業

 

 

常時雇用する従業員の数が50人以下のもの及び資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の法人であるもの

 

 

□「退職」とは、従業員について、事業主との雇用関係が終了することをいう。

 

□「退職金共済契約」とは、事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下「機構」という)に掛金を納付することを約し、機構がその事業主の雇用する従業員の退職について、この法律の定めるところにより、退職金を支給することを約する契約であって、特定業種退職金共済契約以外のものをいう。

 

□「特定業種」とは、建設業その他従業員の相当数が、通常、当該業種に属する多数の事業の間を移動してこれらの事業の事業主に雇用される業種であって、厚生労働大臣が指定するもの(具体的には、建設業、清酒製造業及び林業の事業)をいう。

 

□「特定業種退職金共済契約」とは、特定業種に属する事業の事業主が機構に掛金を納付することを約し、機構が、期間を定めて雇用される者としてその事業主に雇用され、かつ、当該特定業種に属する事業に従事することを常態とする者の退職について、この法律の定めるところにより、退職金を支給することを約する契約をいう。

 

□「共済契約者」とは、退職金共済契約又は特定業種退職金共済契約の当事者である事業主をいう。

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□「被共済者」とは、退職金共済契約又は特定業種退職金共済契約により機構がその者の退職について退職金を支給すべき者をいう。

 

 

 

 

2  退職金共済契約の締結等 (法3条ほか)             重要度 ●● 

 

◆契約の締結 (法3条)

 


□中小企業者でなければ、退職金共済契約を締結することができない(1項)。

 

□現に退職金共済契約の被共済者である者については、その者を被共済者とする新たな退職金共済契約を締結することができない(2項)。(平3択)

 

 

↓ なお…

 

□中小企業者は、次に掲げる者を除き、すべての従業員について退職金共済契約を締結するようにしなければならない(3項、則2条)。(平8択)(平13択)

 


【包括加入の適用除外】

 

a) 期間を定めて雇用される者

 

b) 季節的業務に雇用される者

 

c) 試みの雇用期間中の者

 

d) 現に退職金共済契約の被共済者である者

 

e) 不正受給をしたこと又はしようとしたことを理由として解除された退職金共済契約の被共済者であって、その解除の日から1年を経過しないもの

 

f) 短時間労働者(1週間の所定労働時間が、同一の事業主に雇用される通常の従業員の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ、厚生労働大臣の定める時間数(30時間)未満である者をいう)

 

g) 休職期間中の者その他これに準ずる者

 

h) 相当の期間内に雇用関係の終了することが明らかな者

 

i) 社会福祉施設職員等退職手当共済法に規定する被共済職員

 

j) 被共済者となることに反対する意思を表明した者

 

k) 不正行為によって特定業種退職金共済契約(以下「特定業種共済契約」という)による退職金の支給を受け、又は受けようとした被共済者であって、その退職金の支給を受け、又は受けようとした日から1年を経過していないもの

 

 

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↓ また…

 

□機構は、次に掲げる場合を除いては、退職金共済契約の締結を拒絶してはならない(4項、則3条)。

 


イ) 契約の申込者が掛金の納付を怠ったことを理由として退職金共済契約を解除され、その解除の日から6月を経過しない者であるとき。

 

ロ) 当該申込みに係る被共済者が不正受給をしたこと又はしようとしたことを理由として解除された退職金共済契約の被共済者であって、その解除の日から1年を経過しないものであるとき。

 

ハ) 退職金共済契約の申込者がその雇用する従業員の賃金の支払を怠っているとき。

 

ニ) 共済契約の申込者が、不正行為によって共済契約による退職金等又は特定業種共済契約による退職金の支給を受け、又は受けようとし、その支給を受け、又は受けようとした日から1年を経過していない者であること。

 

 

◆掛金月額 (法4条)

 


□退職金共済契約は、被共済者ごとに、掛金月額を定めて締結するものとする(1項)。

 

□掛金月額は、被共済者1人につき、5,000円(短時間労働被共済者にあっては、2,000円)以上30,000円以下でなければならない(2項)。(平17択)

 

□掛金月額は、2,000円を超え10,000円未満であるときは1,000円に整数を乗じて得た額、10,000円を超え30,000円未満であるときは2,000円に整数を乗じて得た額でなければならない(3項)。

 

 

 ↓ なお…

 

◆掛金の納付 (法22条)

 


□共済契約者は、退職金共済契約が効力を生じた日の属する月から被共済者が退職した日又は退職金共済契約が解除された日の属する月までの各月につき、その月の末日(退職の日又は退職金共済契約の解除の日の属する月にあっては、その退職の日又はその解除の日)における掛金月額により、原則として、毎月分の掛金を翌月末日までに納付しなければならない(1項)。

 

□毎月分の掛金は、分割して納付することができない(2項)。

 

 

◆契約の成立 (法7条)

 


□退職金共済契約は、機構がその申込みを承諾したときは、その申込みの日において成立したものとみなし、かつ、その日から効力を生ずる(1項)。

 

□退職金共済契約が成立したときは、共済契約者は、遅滞なく、その旨を被共済者に通知しなければならない(2項)。

 

 

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◆契約の解除 (法8条)

 


□機構又は共済契約者は、原則として、退職金共済契約を解除することができない(1項)。

 

□機構は、次に掲げる場合には、退職金共済契約を解除するものとする。ただし、ロに該当する場合であって、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない(2項)。

 

イ) 共済契約者が厚生労働省令で定める一定の月分以上について掛金の納付を怠ったとき(厚生労働省令で定める正当な理由がある場合を除く)。

 

ロ) 共済契約者が中小企業者でない事業主となったとき。

 

ハ) 被共済者が偽りその他不正の行為によって退職金又は解約手当金の支給を受け、又は受けようとしたとき。

 

□共済契約者は、次に掲げる場合には、退職金共済契約を解除することができる(3項)。

 

a) 被共済者の同意を得たとき。

 

b) 掛金の納付を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めたとき。

 

□退職金共済契約の解除は、将来に向ってのみその効力を生ずる(4項)。

 

 

◆掛金月額の変更 (法9条)

 


□機構は、共済契約者から掛金月額の増加の申込みがあったときは、これを承諾しなければならない(1項)。

 

□機構は、共済契約者からの掛金月額の減少の申込みについては、法8条3項a又はbに掲げる場合を除き、これを承諾してはならない(2項)。(平17択)

 

 

3  退職金等の支給 (法10条ほか)                    重要度 ●   

 

◆退職金 (法10条)

 


□機構は、被共済者が退職したときは、その者(退職が死亡によるものであるときは、その遺族)に退職金を支給する。(平17択)

 

↓ ただし…

 

□当該被共済者に係る掛金の納付があった月数(「掛金納付月数」という)が12月に満たないときは、この限りでない(1項)。

 

□被共済者がその責めに帰すべき事由により退職し、かつ、共済契約者の申出があった場合において、厚生労働省令で定める基準に従い厚生労働大臣が相当であると認めたときは、機構は、厚生労働省令で定めるところにより、退職金の額を減額して支給することができる(5項)。

 

 

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◆退職金の支給方法 (法11条)

 


□退職金は、一時金として支給する。

 

 

↓ なお…

 

◆退職金の分割支給等 (法12条)

 


□機構は、前条の規定にかかわらず、被共済者の請求により、退職金の全部又は一部を分割払の方法により支給することができる。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない(1項)。

 

イ) 退職金の額が厚生労働省令で定める金額*1未満であるとき。

 

ロ) 被共済者が退職した日において60歳未満であるとき。

 

ハ) 被共済者が退職金の一部を分割払の方法により支給することを請求した場合において、次項に規定する分割払対象額が厚生労働省令で定める金額未満であるとき又は当該退職金の全額から分割払対象額を減じた額が厚生労働省令で定める金額未満であるとき。

 

□被共済者が退職金の一部について分割払の方法により支給を受けようとする場合における請求は、当該分割払の方法により支給を受けようとする退職金の一部の額(「分割払対象額」という)を定めてしなければならない(2項)。

 

□分割払の方法による退職金の支給期月は、毎年2月、5月、8月及び11月とする(3項)。

 

□分割払の方法による退職金の支給の期間(「分割支給期間」という)は、被共済者の選択により、請求後の最初の支給期月から5年間又は10年間のいずれかとする(4項)。 (平13択)

 

□支給期月ごとの退職金(「分割退職金」という)の額は、退職金の額に、分割支給期間に応じ政令で定める率を乗じて得た額とする(5項)。

 

 

advance

 

◆分割払の退職金等の額の下限 (則22条1項)

 


□*1 「厚生労働省令で定める金額」は、原則として、次に掲げる分割払の方法により支給を受けようとする場合の区分に応じ、当該定める額とする。

 

 

イ) 退職金の「全部」を分割する場合

 

 

ロ) 退職金の「一部」を分割する場合

 

a) 分割支給期間が5年の場合 80万円

 

b) 分割支給期間が10年の場合 150万円

 

a) 分割支給期間が5年の場合 100万円

 

b) 分割支給期間が10年の場合 170万円

 

 

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◆過去勤務期間の通算の申出等 (法27条)

 


□退職金共済契約の申込みを行おうとする者(その者の雇用する従業員について現に退職金共済契約を締結しているものを除く)は、その申込みを行う際に、被共済者となるべき従業員の過去勤務期間(当該申込みを行おうとする者に雇い入れられた日から退職金共済契約の効力が生ずる日の前日までの継続して雇用された期間から包括加入の適用除外に掲げる者であった期間のうち厚生労働省令で定める期間を除いた期間(その期間に1年未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする(つまり、在籍期間1年以上の従業員))をいう)の月数(その月数が120月を超えるときは、120月)を当該退職金共済契約に係る掛金納付月数に通算することを希望する旨の申出をすることができる(1項)。

 

□前項の申出は、退職金共済契約の申込みが行われることにより同時に退職金共済契約の被共済者となるべきすべての者についてしなければならない(2項)。

 

 

4  特定業種退職金共済契約 (法43条1項ほか)         重要度 ●   

 

ちょっとアドバイス

 

□特定業種退職金共済契約に係る退職金は、原則として、特定業種掛金納付月数が24月以上ある場合であって、その者に係る当該納付月数(当該被共済者に係る特定業種退職金共済契約に基づき掛金の納付があったすべての日数を当該特定業種に従事する者の就労状況を考慮して政令で定める方法により月数に換算したものをいう)に応じて、a) 死亡したとき、b) 退職した後再び被共済者となることなくして負傷又は疾病により当該特定業種に属する事業に従事することができない者となったとき等に支給する(法43条1項)。

 

↓ なお…

 

□掛金は、「日」を単位として定めるものとし、その額は、被共済者1人につき、300円以上800円以下の範囲において、特定業種退職金共済規程で定める(法44条1項)。