(2010年度版)社労士初級インプット講座/徴収法4-16

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「徴収法4-16:労働保険事務組合の責任等」

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徴収法(4)-16

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

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3 委託等の届出と範囲 (則60条ほか) 重要度●●●

 

条文/社労士テキスト5

 

1) 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、遅滞なく、労働保険事務等処理委託届を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない*1。(平8択)(平16択)


2) 前項の規定は、労働保険事務の処理の委託の解除について準用する。この場合において、「労働保険事務等処理委託届」とあるのは、「労働保険事務等処理委託解除届」と読み替えるものとする。(平8択)(平20択)

 

ここをチェック/社労士テキスト7

 

◆委託できる範囲 (平12.3.31発労徴31号)


【委託できる事務】


□労働保険料及びこれに係る徴収金の申告・納付に関する事務(平10択)


□雇用保険の被保険者に係る届出等に関する事務(平8択)(平19択)


□保険関係成立届、労災保険又は雇用保険の任意加入申請書、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する事務


□労災保険の特別加入の申請等に関する事務


□その他労働保険についての申請、届出及び報告等に関する事務

 

 

【委託できない事務】


□印紙保険料に関する事項の事務手続及びその代行(平7択)(平18択)


□労災保険の保険給付及び社会復帰促進等事業として行われる特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行


□雇用保険の保険給付に関する請求書等に係る事務手続及びその代行


□雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行(平10択)

 

 

ちょっとアドバイス/社労士テキスト1

 

□*1 「届書の提出」は、その主たる事務所の所在地を管轄する「公共職業安定所長」を経由して行う(則72条2項)。(平7択)(平18択)


↓ ただし…


当分の間、“委託事業主の事業場”の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由することができる(整備省令13条2項)。


↓ また…

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advance/社労士テキスト3

 

◆管轄の特例 (則65条)


労働保険事務組合にその処理を委託された労働保険事務(雇用保険の被保険者に関する事務を除く)については、原則として、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び公共職業安定所長(労災二元適用事業等のみに係るものについては、労働基準監督署長)並びに都道府県労働局歳入徴収官を、それぞれ、「所轄」都道府県労働局長及び「所轄」公共職業安定所長(労災二元適用事業等のみに係るものについては、「所轄」労働基準監督署長)並びに「所轄」都道府県労働局歳入徴収官とする。(平18択)


↓ ただし…


□次の事務については、当分の間、“委託事業主の事業場”の管轄行政庁に対して行うことができる(整備省令13条)。


a) 雇用保険の任意加入申請書及び保険関係消滅申請書の提出


b) 保険関係成立届の提出


c) 名称、所在地等変更届の提出


d) 代理人選任・解任届の提出

 

 

↓ また…


□労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて、一般拠出金の納付その他一般拠出金に関する事項(一般拠出金事務)を処理することができる(石綿救済法38条2項)。

 

4  業務の廃止等 (法33条3項・4項)                  重要度●●●

 

条文/社労士テキスト5

 

3) 認可を受けた事業主の団体又はその連合団体(以下「労働保険事務組合」という)は、業務を廃止しようとするときは、60日前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない*1。(平6択)(平9択)(平15択)(平16択)(平20択)


4) 厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)は、労働保険事務組合がこの法律、労災保険法若しくは雇用保険法若しくはこれらの法律に基づく厚生労働省令(以下「労働保険関係法令」という)の規定に違反したとき、又はその行うべき労働保険事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、認可を取り消すことができる*2。(平7択)(平9択)(平18択)

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ここをチェック/社労士テキスト7

 

□*1 「業務の廃止の届出」は、届書を労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない(則62条)。


↓ なお…


□「届書の提出」は、その主たる事務所の所在地を管轄する「公共職業安定所長」(労災二元適用事業等に係るものにあっては、その主たる事務所の所在地を管轄する「労働基準監督署長」)を経由して行う(則72条2項)。(平9択)

 

ちょっとアドバイス/社労士テキスト1

 

□*2 「認可の取消し」は、次のとおりである(則63条)。


イ) 当該労働保険事務組合に対し文書(「労働保険事務組合認可取消通知書」)をもって行なうものとする(1項)。


ロ) 労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、労働保険事務組合の認可の取消しがあったときは、その旨を、当該労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に通知しなければならない(2項)。
(平9択)(平12択)

 

 

 ↓ なお…

 

□「労働保険事務組合の認可」は、次の場合にも取り消すことができる(平12.3.31発労徴31号)。


a) 認可の基準に反したとき。


b) 取消権を留保する条件を付して認可した場合であって取消権行使の条件に該当する事実があったとき。

 

 

advance/社労士テキスト3

 

◆組織変更に伴う取扱い


□労働保険事務組合の認可を受けた団体等について組織変更があり、次のイ又はロに該当する場合であって、その後も引き続いて労働保険事務組合としての業務を行おうとするときは、組織変更前の労働保険事務組合についての業務を廃止する旨の届書を提出し、改めて組織変更後の労働保険事務組合に係る認可の申請をしなければならない。


イ) 従来法人格のない団体であったものが、従来と異なる法人格のない団体又は法人となった場合。(平15択)


ロ) 従来法人であったものが、法人格のない団体又は従来と異なる法人となった場合。

 

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第2節 労働保険事務組合の責任等

1  労働保険事務組合に対する通知等 (法34条)        重要度●● 

 

条文/社労士テキスト5

 

政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付*1については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす。
(平2択)(平4択)(平8択)(平12択)(平13択)(平17択)(平18択)

 

advance/社労士テキスト3

 

◆労働保険関係法令の規定による通知等 (平12.3.31発労徴31号)


a) 労働保険料及びこれに係る徴収金の納入の告知、納入告知以外の通知


b) メリット制の適用に伴う確定保険料額等についての通知


c) 労働保険料等についての督促状による督促


d) 還付金の還付


e) 雇用保険の被保険者資格の得喪を確認した場合における公共職業安定所長の通知


f) 労災保険の特別加入を承認した場合における都道府県労働局長の通知


↓ なお…


□通知等が労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知等の効果は、法律上当然に、委託事業主に及ぶ。

 

 

 

-----------------(102ページ目ここから)------------------

 

 

2  労働保険事務組合の責任等 (法35条)              重要度●●●

 

条文/社労士テキスト5

 

1) 労働保険事務の委託に基づき、事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。(平2択)(平4択)(平6択)(平11択)(平16択)(平17択)


2) 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。(平2択)(平4択)(平5択)(平8択)(平15択)


3) 政府は、前2項の規定により労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して第26条第3項(滞納処分)の規定による処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り*1、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。(平8択)(平10択)(平13択)(平17択)


4) 労働保険事務組合は、労災保険法第12条の3第2項(虚偽証明による保険給付の不正受給)の規定及び雇用保険法第10条の4第2項(虚偽証明による失業等給付の不正受給)の規定の適用については、事業主とみなす*2。(平5択)(平13択)

 

ちょっとアドバイス/社労士テキスト1

 

□*1 「処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り」とは、労働保険事務組合に対して滞納処分を行った後でなければ、委託事業主からの徴収はできないということである。

 

□*2 「事業主とみなす」とは、労働保険事務組合が虚偽の届出、報告又は証明をしたため不当な給付が行われたものであるときは、政府は、その労働保険事務組合に対し、これらの給付を受けた者と連帯して、その徴収金の納付をすべきことを命ずることができるということである。

 

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3  帳簿の備付け (法36条)                          重要度●● 

 

条文/社労士テキスト5

 

労働保険事務組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿*1を事務所に備えておかなければならない。

 

advance/社労士テキスト3

 

□*1 労働保険事務組合が備えておかなければならない帳簿は、次のとおりとする(則64条)。


a) 労働保険事務等処理委託事業主名簿

 

b) 労働保険料等徴収及び納付簿


c) 雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿(平20択)

 

 

↓ なお…


□事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、徴収法又はこの省令による書類を、その完結の日から3年間(上記c)にあっては、4年間)保存しなければならない(則70条)。
(平7択)(平11択)(平12択)(平19択)


↓ また…

 

◆事業主の代理人 (則71条)


□事業主は、あらかじめ代理人を選任した場合には、この省令によって事業主が行なわなければならない事項を、その代理人に行なわせることができる(1項)。


□事業主は、前項の代理人を選任し、又は解任したときは、代理人選任・解任届により、その旨を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。代理人選任・解任届に記載された事項であって代理人の選任に係るものに変更を生じたときも、同様とする(2項)。(平2択)(平9択)(平19択)

 

 

 

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第3節  報奨金

1  交付の要件 (整備法23条)                        重要度●   

 

条文/社労士テキスト5

 

政府は、当分の間、政令で定めるところにより*1、事業主からの委託に基づき労働保険事務組合が納付すべき労働保険料が督促することなく完納されたとき、その他その納付の状況が著しく良好であると認めるときは、当該労働保険事務組合に対して、予算の範囲内で*2、報奨金を交付することができる。

 

ここをチェック/社労士テキスト7

 

□*1 労働保険事務組合に対する「報奨金」は、次のイ~ハのいずれにも該当する場合に交付される(報奨金政令1条)。


イ) 7月10日において、前年度の労働保険料等であって、次に掲げる事業の事業主の委託に係るものにつき、その確定保険料の額(追徴金又は延滞金を納付すべき場合にあっては、確定保険料の額と当該追徴金又は延滞金の額との合計額)の合計額の「100分の95以上」の額が納付されていること。(平6択)

 

a) 常時15人以下の労働者を使用する事業


b) 常時16人以上の労働者を使用する事業であって、当該前年度の直前の3年度のうちいずれかの年度において常時15人以下の労働者を使用する事業に該当したもの。


↓ ただし…


当該常時15人以下の労働者を使用する事業に該当した年度(その該当した年度が2年度以上ある場合にあっては、その最後の年度)以降当該前年度まで引き続き当該事業の事業主が当該事業についての労働保険料の納付を当該労働保険事務組合に委託しているものに限る。

 

 

ロ) 前年度の労働保険料等について、国税滞納処分の例による処分を受けたことがないこと。

 

 

ハ) 偽りその他不正の行為により、前年度の労働保険料等の徴収を免れ、又はその還付を受けたことがないこと。

 

 

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ここで具体例!/社労士テキスト9

 

◆「納付率」について

【事例1】


 

 

↓ この場合…

 

□労働保険料は還付又は充当が行われるケースであるが、その超過分は報奨金の算定基礎とはならない。


↓ したがって…


報奨金の算定基礎額は、「76~80の額」(実際に納付された額)となる。

 

【事例2】

 


 

↓ この場合…


□確定保険料の不足分を納付することにより納付率が満たせるケースであり、概算分と不足納付分の全額が報奨金の算定基礎となる。

 

↓ したがって…


報奨金の算定基礎額は、「114~120の額」(実際に納付された額)となる。

 

◆「事業規模」について


【イのb)の事例】

 

 

 

 

↓ この場合は…


□当該事業主について、労働保険事務組合が平成18年度以降の労働保険事務の処理を受託していなければならない。

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2  交付の申請と額 (報奨金政令2条ほか)             重要度●   

 

条文/社労士テキスト5

 

労働保険料に係る報奨金の額は、労働保険事務組合ごとに、労働保険料の納付の委託を受けた事業に関し、報奨金政令1条(交付の要件)のイのa)又はb)の区分に応じて算定した額の合計額の範囲内とする。

 

ちょっとアドバイス/社労士テキスト1

 

◆報奨金の交付申請の手続(報奨金省令2条)


労働保険事務組合は、労働保険料に係る報奨金の交付を受けようとするときは、労働保険事務組合報奨金交付申請書を「9月15日」までに、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。(平9択)(平20択)


↓ なお…


□この場合、所轄公共職業安定所長等を経由することはしない。

 

 

◆報奨金の額の具体的な計算方法


□例えば、「常時15人以下」の労働者を使用する事業であるとき。
【報奨金の額】=(当該事業主の委託を受けて納付した前年度の労働保険料×2.5/100)+厚生労働省令で定める額(平7択)
□督促を受けて納付した労働保険料は、報奨金の算定基礎から除かれる。

 

 ↓ また…

 

advance/社労士テキスト3

 

□事業主から委託を受けて“一般拠出金事務の納付”を行っている場合において、その納付の状況が良好であると認めるときは、当該労働保険事務組合に対して「一般拠出金に係る報奨金」が交付される。

 

↓ この場合の…

 

報奨金の額は、労働保険事務組合が事業主から委託を受けて納付したその年度の一般拠出金の額に「100分の3.5」を乗じて得た額の範囲内となる。