社労士/初級インプット講座/健康保険法3-7 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「健康保険法3-7:業務遂行過程における保険事故」

テキスト本文の開始

 

 

(3) 業務遂行過程における保険事故

 


健康保険法は「業務外の事由」による傷病等を保険事故とするため、業務上の事由による傷病等は保険事故とならない
この場合、被災者が労働者であるならば労災保険法の適用によって保険給付が行われる。

 

↓ ところが…

 

会社の代表者等の取締役は、原則として、労働者に当たらないため、労災保険法は適用されない。
したがって、一般的には 民間の傷害保険や労災保険法の特別加入制度に加入して、不測の事態に備えている。

 

↓ しかし…

 

極めて零細な企業においては、保険の二重加入は経営の圧迫にもつながりかねないことから、このような企業の代表者等に関しては、業務遂行過程における傷病についても健康保険法の保険給付の対象とされている。

 

↓ ただし…

 

a) 同居の親族等で労働者としての地位が認められるとき、b) 労災保険法に特別加入しているとき、c) 労働者ならば本来支給されるはずの傷病手当金に関しては、支給されない。

 

 

 

-----------------(109ページ目ここから)------------------

 

(4) 法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について (平15.7.1保発0701002号)

 


健康保険法は、業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うため、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病は、健康保険の保険給付の対象とならず、また、法人の代表者又は業務執行者(以下「代表者等」という)は、原則として、労働基準法上の労働者に該当しないため、労災保険法に基づく保険給付も行わない。しかし、極めて小規模な事業所の法人の代表者等については、暫定的な措置として、次のように取扱う。(平19択)

 

 

イ) 被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とする。(平17択)

 

 

ロ) 法人の代表者等のうち労災保険法の特別加入をしている者及び労働基準法上の労働者の地位を併せて保有すると認められる者であって、これによりその者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関し労災保険による保険給付が行われてしかるべき者に対しては、健康保険の保険給付は行わない。

 

 

ハ) 業務遂行上の過程において業務に起因して生じた傷病については、小規模な法人の代表者等は、一般的には事業経営につき責任を負い、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病について報酬の減額等を受けるべき立場にないことから、傷病手当金と報酬との調整の趣旨により、当該傷病については、傷病手当金を支給しない。(平19択)