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労災保険法(6)-3

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2  一時金的な特別支給金 (特支則3条~5条の2)         重要度 ●●● 

 

(1) 休業特別支給金 (特支則3条1項)

 

条文

 

 

休業特別支給金は、労働者(傷病(補償)年金の受給権者を除く)が業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病に係る療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から当該労働者に対し、その申請に基づいて支給するものとし、その額は、1日につき休業給付基礎日額の100分の20に相当する額*1とする。 (平3択)(平6択)(平10択)(平13択)

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1「休業特別支給金」は、「給付基礎日額」を算定基礎とし、1日につき保険給付(休業(補償)給付)に加算して支給される(一時金ではない)。


↓ したがって…


実質的には、給付基礎日額の100分の80に相当する額の給付が行われる。

(平3択)

 

□休業給付基礎日額に係るスライド制及び最低・最高限度額の適用がある。

 

□所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る当該額は、(休業給付基礎日額-当該労働に対して支払われる賃金の額)×100分の20となる(1項但し書)。

 

advance

 


2) 刑事施設、留置施設、労役場、監置場、少年院若しくは児童自立支援施設等に拘置されている場合等は、支給しない。(平4択)


5) 休業特別支給金の支給の対象となる日について休業(補償)給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給の申請を、当該休業(補償)給付の請求と同時に行わなければならない。 (平4択)


6) 休業特別支給金の支給の申請は、休業特別支給金の支給の対象となる日の翌日から起算して2年以内に行わなければならない。

 

 

(2) 障害特別支給金 (特支則4条1項)

 

条文

 

 

障害特別支給金は、業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病が治ったとき身体に障害がある労働者に対し、その申請に基づいて支給するものとし、その額は、障害の該当する障害等級に応じ、特支則別表第1に規定する額*1(障害等級が繰り上げられたものである場合において、各々の身体障害の該当する障害等級に応ずる額の合算額が当該繰り上げられた障害等級に応ずる額に満たないとき(第9級と第13級を併合して第8級となった場合)は、当該合算額)とする。

(平1択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「特支則別表第1に規定する額」は、次のとおりである。(平1択)

 

障害等級

支給額(一時金)

障害等級

 

支給額(一時金)

 

第 1 級

342万円

第 8 級

 

65万円

 

第 2 級

320万円

第 9 級

 

50万円

 

第 3 級

300万円

第10級

 

39万円

 

第 4 級

264万円

第11級

 

29万円

 

第 5 級

225万円

第12級

 

20万円

 

第 6 級

192万円

第13級

 

14万円

 

第 7 級

159万円

第14級

 

 8万円

 

 

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advance

 


2) 既に身体障害のあった者が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合における当該事由に係る障害特別支給金の額は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別支給金の額から、既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別支給金の額を差し引いた額による*2。

(平7択)


3) 傷病特別支給金の支給を受けた者に対しては、当該傷病特別支給金に係る業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病が治ったとき身体に障害があり、当該障害の該当する障害等級に応ずる障害特別支給金の額が当該負傷又は疾病による障害に関し既に支給を受けた傷病特別支給金に係る傷病等級に応ずる傷病特別支給金の額を超えるときに限り、その者の申請に基づき、当該超える額に相当する額の障害特別支給金を支給する。(平6択)(平8択)


7) 同一の事由により障害(補償)給付の支給を受けることができる者は、障害特別支給金の支給の申請を、当該障害(補償)給付の請求と同時に行わなければならない。

 

 

□*2 障害特別支給金の支給を受けた労働者の障害の程度が自然的経過によって変更して新たに他の障害等級に該当するに至った場合であっても、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害特別支給金は支給されない。

 

(3) 遺族特別支給金 (特支則5条1項)

 

条文

 

 

遺族特別支給金は、業務上の事由又は通勤により労働者が死亡した場合に、当該労働者の遺族*1に対し、その申請に基づいて支給する。(平7択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「労働者の遺族」とは、労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹とし、これらの遺族の当該支給を受けるべき順位は、遺族(補償)給付の例による(2項)。 (平4択)(平8択)

 

        ↓ なお…

 


a) 55歳以上60歳未満の者であっても、支給を申請することができる。

(平8択)


b) 遺族特別支給金に、転給制度は適用されない。

 

 

□遺族特別支給金の額は、300万円とする(3項)。(平4択)

 

↓ ただし…


当該遺族特別支給金の支給を受ける遺族が「2人以上」ある場合には、300万円をその人数で除して得た額となる。(平8択)

 

advance

 

□同一の事由により遺族(補償)給付の支給を受けることができる者は、遺族特別支給金の支給の申請を、当該遺族(補償)給付の請求と同時に行わなければならない(7項)。

 

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(4) 傷病特別支給金 (特支則5条の2第1項)

 

条文

 


傷病特別支給金は、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6箇月を経過した日において次のいずれにも該当するとき、又は同日後次のいずれにも該当することとなったときに、当該労働者に対し、その申請に基づいて支給するものとし、その額は、当該傷病等級に応じ、特支則別表第1の2に規定する額*1とする。

(平1択)(平8択)

 


イ) 当該負傷又は疾病が治っていないこと


ロ) 当該負傷又は疾病による障害の程度が傷病等級に該当すること

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「特支則別表第1の2に規定する額」は、次のとおりである。(平6択)

 

傷病等級

支給額(一時金)

第 1 級

 

114万円

 

第 2 級

 

107万円

 

第 3 級

 

100万円

 

 

□当分の間、事務処理の便宜を考慮し、傷病(補償)年金の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えない(昭56.6.27基発393号)。 (平17択)