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労働基準法(5)-3

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(2)*3「有効期間」について

 

□36協定の有効期間は、「延長の限度基準」によって、36協定においては必ず1年間についての延長時間を定めなければならないこととされているため、もっとも短い場合であっても「1年間」となる。

 

↓ なお…

 

□1年間についての延長時間を定めた時間外労働協定において、1日及び1日を超え3箇月以内の期間について定められた延長時間の有効期間について、36協定の有効期間とは別に「1年未満」とすることは差し支えない。(平17択)

 

↓ ただし…

 

このような36協定を届け出た場合において、1年間途切れることなく「1日を超え3箇月以内の期間」についての延長時間を定めようとするときは、「1日を超え3箇月以内の期間」についての延長時間の有効期間が終了するまでに、改めて当該期間についての延長時間及び有効期間を定め、届け出る必要がある

(平11.3.31基発169号)。

 

(3) 効力について

 

□36協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても法32条(労働時間)又は法35条(休日)の規定に違反しないという免罰的効力であり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生ずるものではなく、労働協約、就業規則等を根拠として発生する。(平18択)

 

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(4) 36協定の「更新」について

 

□36協定を更新しようとするときは、使用者は、更新する旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることをもって足りる(則17条2項)。

 

↓ なお…

 

□有効期間についての自動更新の定めがなされている場合であっても、当該協定の更新について当事者のいずれからも異議の申出がなかった事実を証明する書面を所轄労働基準監督署長に届け出る必要がある(昭29.6.29基発355号)。

(平13択)

 

(5) 派遣労働者に係る36協定について

 

□派遣労働者を派遣先において36協定により時間外又は休日労働させる場合には、派遣元事業場の使用者が36協定を締結し、所定の事項を定め届け出なければならない(労働者派遣法44条2項)。

 

↓ なお…

 

派遣元事業場において36協定を締結する場合には、派遣中の労働者を含めた数の労働者の過半数の同意を得ることを要し、派遣先において36協定を締結する場合には、派遣元から派遣される労働者はその数に含めない(昭61.6.6基発333号)。

(平15択)(平17択)

 

advance

 

□事業場に労働者の3分の2で組織する労働組合Aと労働者の3分の1で組織する労働組合Bの2つの労働組合がある場合、36協定を労働組合Aと締結すれば、その効力は、労働組合Bの労働者にも及ぶ(昭23.4.5基発535号)。

 

↓ つまり…

 

「労働協約」は労働組合を単位として適用されるが、「労使協定」は事業所を単位として適用されるということである。

 

□36協定は、労働者の団体意思が同意した範囲内において時間外又は休日労働をさせても刑事上の責任を問わないとするための要件であって、その協定の内容は、使用者が適法に行わせることができる時間外又は休日労働の枠を定めるものであり、労働協約のように労働契約の規範を設定するものではない

 

↓ したがって…

 

「枠」が設定されている以上、この枠を超えて労働させることは許されず、もし行えば違法な時間外又は休日労働となる(平11.3.31基発168号)。(平12択)