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◆*5「不可抗力である旨を主張し得ないすべての場合」とは?
↓ 一般法(民法)では…
民法536条2項の債権者(労基法では使用者側)の帰責事由の基準として、「債権者の故意・過失又は信義則上これと同視すべき事由」とされている。 (平18択)
↓ つまり…
□債権者側に故意や過失がなければ、債務者(労基法では労働者側)は保護(補償)が受けられないときがあるということ。
↓ しかし、これでは…
債務者に対して、十分な保護が与えられているとはいえない。
↓ そこで…
□労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の生活保障のために使用者に前記の限度での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない。(平21選)
↓ このようにみると…
「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536条2項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である(ノースウエスト航空事件・昭62.7.17最高裁第2小)。(平17択)
↓ したがって…
□民法の「危険負担」に関する規定は任意規定とされているが、労働基準法26条は強行規定であるため、合意特約によって排除することはできない(民法においては、当事者間の特約条項によって補償すべきことを制限することができるが、労働基準法ではそのような任意規定の扱いはできないということ)。
↓ なお…
□不可抗力(天災地変・戦争・ゼネスト等の予見不可能な事由)や懲戒処分による出勤停止のような労働者の責に帰すべき事由は除かれる。
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