前のページへ | 次のページへ | 目次へ

厚生年金保険法(2)-7

仮画像

テキスト本文の開始

 

 

 

-----------------(73ページ目ここから)------------------

 

第 5 章

保険給付

第1節 通則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
第2節 老齢厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
第3節 60歳台前半の老齢厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・120
第4節 障害厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146
第5節 障害手当金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・161 
第6節 遺族厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・174 
第7節 その他の保険給付    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・204 
第8節 年金額の改定等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・212 
第9節 保険給付の制限    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・224 
第10節 離婚等をした場合における特例    ・・・・・・・・・・・・・230 
第11節 被扶養配偶者である期間についての特例    ・・・・・237 

 

-----------------(74ページ目ここから)------------------

 

第1節  通則

 

1  保険給付の種類 (法32条)                           重要度 ●   

 

条文

 


この法律による保険給付は、次のとおりとする。(平16択)(平22択)

 


イ) 老齢厚生年金


ロ) 障害厚生年金及び障害手当金


ハ) 遺族厚生年金

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「老齢厚生年金」に関しては、保険事故は「老齢」で共通するが、60歳台前半を支給事由とする「60歳台前半の老齢厚生年金」と、65歳以後を支給事由とする「老齢厚生年金」の2種類がある。

 

□法附則上の保険給付としては、脱退手当金、脱退一時金、特例老齢年金、特例遺族年金がある。(平19択)

 

2  裁定 (法33条)                                     重要度 ●   

 

条文

 


保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という)の請求に基づいて、厚生労働大臣が裁定する。

(平1択)(平16択)(平20択)(平22択)

 

 

3  調整期間 (法34条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


1) 政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金並びに第85条の2(企業年金連合会の解散に伴う責任準備金相当額の徴収)及び第161条第1項(解散基金加入員に係る措置)に規定する責任準備金をいう)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で、保険給付の額を調整する期間(以下「調整期間」という)の開始年度を定めるものとする。


2) 財政の現況及び見通しにおいて、前項の調整を行う必要がなくなったと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。

 

 

-----------------(75ページ目ここから)------------------

 

 

3) 政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。

 

 

4  端数処理 (法35条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


1) 保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合において、保険給付の額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。
(平9択)(平16択)


2) 前項に規定するもののほか、保険給付の額を計算する場合において生じる1円未満の端数の処理については、政令で定める*1。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 保険給付の額を計算する過程において、50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げることができる。ただし、この規定を適用して裁定又は改定した保険給付の額とこの規定を適用しないで裁定又は改定した保険給付の額との差額が100円を超えるときは、この限りでない(令3条)。(平9択)

 


a) 原則として、【報酬比例額】=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数について、50円未満の端数を切り捨て、50円以上100円未満の端数を100円に切り上げるものとする(法43条ほか)。


b) 加給年金額(法44条2項)、中高齢寡婦加算額及び経過的寡婦加算額(法62条1項ほか)についても同様であるため、本書においては、以下、この規定を「端数処理あり」と省略する。

 

 

5  年金の支給期間及び支払期月 (法36条)               重要度 ●● 

 

条文

 


1) 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。(平3択)(平8択)(平16択)


2) 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
(平3択)(平11択)(平14択)(平19択)(平20択)


3) 年金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であっても、支払うものとする。

(平3択)(平14択)(平16択)

 

 

-----------------(76ページ目ここから)------------------

 

6  未支給の保険給付 (法37条)                         重要度 ●● 

 

条文

 


1) 保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
(平10択)(平12択)(平14択)(平17択)(平20択)(平23択)


2) 前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であったときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であった者のであって、その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。


3) 第1項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。


4) 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、第1項に規定する順序による。
(平21択)


5) 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(平10択)(平23択)

 

 

7  併給の調整 (法38条ほか)                           重要度 ●●●

 

条文

 


1) 障害厚生年金は、その受給権者が他の年金たる保険給付、国民年金法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金を除く)又は他の被用者年金各法(国民年金法第5条第1項第2号から第4号までに掲げる法律をいう)による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害共済年金を除く)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)を除く)、国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)を除く)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金及び遺族共済年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)を除く)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)を除く)、国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)、障害基礎年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族共済年金を除く)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする。(平16択)

 

-----------------(77ページ目ここから)------------------

 

2) 前項の規定によりその支給を停止するものとされた年金たる保険給付の受給権者は、同項の規定にかかわらず、その支給の停止の解除を申請することができる。ただし、その者に係る同項に規定する他の年金たる保険給付、国民年金法による年金たる給付又は他の被用者年金各法による年金たる給付について、この項の本文若しくは次項又は他の法令の規定でこれらに相当するものとして政令で定めるものによりその支給の停止が解除されているときは、この限りでない。