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国民年金法(2)-15

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テキスト本文の開始

 

 

 

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9  受給権者の申出による支給停止 (法20条の2)         重要度 ●    

   

条文

 


1) 年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。


2) 前項ただし書のその額の一部につき支給を停止されている年金給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、前項本文の年金給付の全額の支給を停止する。


3) 第1項の申出は、いつでも、将来に向かって撤回することができる。


4) 第1項又は第2項の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用*1については、その支給を停止されていないものとみなす。

 

 

advance

 

□*1「政令で定める法令の規定」とは、次のとおりである(令4条の4の2)。

 


a) 労働者災害補償保険法別表第1第1号及び3号(同一事由による社会保険の年金給付との調整)


b) 厚生年金保険法44条1項ただし書(子の加給年金額と障害基礎年金の子の加算額との調整)


c) 国民年金法49条1項ただし書(夫が障害基礎年金の受給権者であった又は夫が老齢基礎年金の支給を受けていた場合の寡婦年金の支給制限)


d) 国民年金法52条の2第1項ただし書(老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある者の死亡による死亡一時金の支給制限) etc.

 

 

10  年金の内払 (法21条)                             重要度 ●    

 

条文

 


1) 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。

 

 

2) 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。(平6択)(平20択)

 

 

 

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障害基礎年金又は遺族基礎年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の障害基礎年金又は遺族基礎年金が支払われた場合における当該障害基礎年金又は遺族基礎年金の当該減額すべきであった部分についても、同様とする(内払とみなすことができる)。

 

 

3) 同一人に対して厚生年金保険法による年金たる保険給付(以下単に「年金たる保険給付」という)の支給を停止して国民年金法による年金給付(以下単に「年金給付」という)を支給すべき場合において、年金給付を支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として年金たる保険給付の支払が行われたときは、その支払われた年金たる保険給付は、年金給付の内払とみなすことができる。(平22択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□共済組合等から支給される年金給付との内払調整は行われない

 

11  返還金債権への充当 (法21条の2)                 重要度 ●    

    

条文

 


年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下「返還金債権」という)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる

 

 

advance

 

□年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次に掲げる場合に行うことができる(則86条の2)。(平2択)

 


a) 年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。


b) 遺族基礎年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。(平19択)

 

 

 

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12  その他の通則事項 (法22条~法25条)              重要度 ●●    

 

条文

 

(1) 損害賠償請求権 (法22条)

 


1) 政府は、障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

(平2択)(平13択)


2) 前項の場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責を免かれる。

(平12択)(平22択)

 

 

(2) 不正利得の徴収 (法23条)

 


偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる*1。

(平13択)

 

 

(3) 受給権の保護 (法24条)

 


給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(平13択)(平19択)
ただし、次の場合は、この限りでない*2。

 


a) 年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合

(独立行政法人福祉医療機構による小口資金の貸付)


b) 老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押える場合

(平8択)(平10択)(平13択)(平17択)

 

(4) 公課の禁止 (法25条)

 


租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。(平13択)
ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない*3。

(平17択)

 

advance

 

□*1 この徴収金は、国税徴収の例によって徴収する(法95条)。

 

□*2 特別一時金及び脱退一時金を受ける権利についても、国税滞納処分の例により差し押えることができる

 

□「年金担保融資制度」に関する資金使途区分については、保健医療、介護・福祉、住宅改修等、冠婚葬祭、教育、事業維持、債務等の一括整理、臨時生活資金とする。なお、「臨時生活資金」については、融資限度額を100万円とする。

 

□*3 特別一時金及び脱退一時金は、租税その他の公課を課することができる

 

 

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※テキスト75ページ~83ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません