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健康保険法(6)-12

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第4節 保険料の負担及び納付等

 

1  保険料の負担及び納付義務 (法161条、法162条)      重要度 ●●●

 

条文

 


【保険料の負担及び納付義務 (法161条)】


1) 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の2分の1を負担する。(平4択)(平6択)(平8択)
ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。
(平1択)(平2択)(平4択)(平5択)(平9択)


2) 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。 (平15択)(平23択)


3) 任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
(平4択)(平9択)(平15択)


4) 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令で定めるところによる。

 

 

【健康保険組合の保険料の負担割合の特例 (法162条)】
健康保険組合は、前条第1項(保険料の労使折半負担)の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。(平8択)(平9択)(平16択)(平19択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「特例退職被保険者」についても、自己の負担する保険料を納付する義務を負う(法附則3条6項)。

 

◆通達による判断基準

 


同一月内に資格の得喪が2回以上行われた場合には、1月につき2か月分以上の保険料が徴収されることがある(昭19.6.6保発363号)。(平16択)

 

 

被保険者の資格取得の遅延と保険料の徴収とは無関係であるから、届出が遅延している被保険者であっても、確認により資格取得の効力を発生した日の属する月の分から徴収される(昭2.1.15保理217号)。

 

 

被保険者が法定期間(1年6か月)につき傷病手当金の支給を受けたが傷病が治癒せず、その療養のため労務に服せなかったので収入がなかった場合であっても、被保険者である限り保険料を負担する義務がある(昭2.9.2保理3340号)。

 

 

休職期間中であっても使用関係が存続する(被保険者の資格を有する者)ならば、保険料の負担の義務がある(昭29.7.1保文発7494号ほか)。

 

 

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advance

 

◆「2以上の事業所」に使用される場合の保険料 (令47条)

 


1) 被保険者(日雇特例被保険者を除く)が同時に2以上の事業所又は事務所(以下単に「事業所」という)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は、イに掲げる額にロに掲げる数を乗じて得た額とする。

 


イ) 当該被保険者の保険料の半額(法162条の規定が適用された場合にあっては、保険料の額に事業主の負担すべき割合を乗じて得た額)

 

 

ロ) 各事業所について定時決定等の規定により算定した額を当該被保険者の報酬月額で除して得た数

 

 

2) 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、前項イに掲げる額に各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を乗じて得た額とする。


3) 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主が納付すべき保険料は、前2項の規定により各事業主が負担すべき保険料及びこれに応ずる当該被保険者が負担すべき保険料とする。

 

 

2  保険料の徴収の特例等 (法158条~法159条の2)      重要度 ●●●


(1) 保険料の徴収の特例 (法158条)

 

条文

 


イ) 前月から引き続き被保険者(任意継続被保険者を除く、以下この条及び次条において同じ)である者が法118条1項各号(少年院施設等に収容された場合)のいずれかに該当するに至った場合

 

その月以後

同項各号のいずれかに該当しなくなった月の前月までの期間、保険料を徴収しない。

 

ロ) 被保険者がその資格を取得した月に同項各号のいずれかに該当するに至った場合

 

その翌月以後

 

 

ただし、被保険者が同項各号のいずれかに該当するに至った月にそのいずれかに該当しなくなったときは、この限りでない(保険料を徴収する)。

 

 

【資格取得月との関係】(例)少年院施設の場合

 


3月

 

4月(入院月)

 

5月

 

 

6月(退院月)

 

取得日A

 

免除

 

 

免除

 

 

 

取得日B

 

 

免除

 

 

ちょっとアドバイス

 

任意継続被保険者及び特例退職被保険者は、当該規定から除かれる(免除されない)(法附則3条6項)。(平1択)(平7択)(平17択)(平19択)

 

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(2) 育児休業等期間中の保険料免除 (法159条)

 

条文

 


育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。
(平8択)(平9択)(平12択)(平14択)(平16択)(平17択)(平22択)

 

 

ここをチェック

 

□「育児休業等」とは、育児・介護休業法に規定する子が3歳に達するまでの育児のための休業等をいう。

 

□「被保険者」について、任意継続被保険者及び特例退職被保険者は、当該規定から除かれる(免除されない)(法附則3条6項)。

 

□この免除規定は、被保険者の負担分だけでなく、事業主の負担分についても適用される(免除される)。(平14択)(平17択)

 

□保険料が免除される期間は、「被保険者が育児休業等をしている期間」であり、傷病による休業期間(傷病手当金の受給期間)、産前産後の休業期間(出産手当金の受給期間)、介護休業期間については、免除されない。

(平3択)(平4択)(平9択)

 

□保険料の徴収を行わない被保険者を使用する事業主は、当該被保険者が休業等終了予定日を変更したとき、又は休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、速やかに、これを機構又は健康保険組合に届け出なければならない(則135条2項)。

 

(3) 保険料の一部が納付された場合の特例 (法159条の2)

 

条文

 


厚生労働大臣が保険料を徴収する場合において、適用事業所の事業主から保険料、厚生年金保険法に規定する保険料(以下「厚生年金保険料」という)及び児童手当法20条に規定する拠出金(以下「児童手当拠出金」という)の一部の納付があったときは、当該事業主が納付すべき保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金の額を基準として按分した額に相当する保険料の額が納付されたものとする。

 

 

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3  保険料の納付 (法164条、法166条)                  重要度 ●   

 

条文

 


【保険料の納付 (法164条)】


1) 被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。ただし、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までとする。
(平2択)(平5択)(平8択)(平9択)(平19択)(平22択)


2) 保険者等は、被保険者に関する保険料の納入の告知をした後に告知をした保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その告知又は納付の日の翌日から6月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。


3) 前項の規定によって、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、保険者等は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。

 

 

【口座振替による納付 (法166条)】
厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合においては、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。(平23択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「保険者等」とは、a)被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合は協会、b)被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、c)これら以外の場合は厚生労働大臣をいう(2項かっこ書き)。