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健康保険法(6)-2

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第2節  日雇特例被保険者に係る保険給付

 

1  保険給付の種類 (法127条)                          重要度 ●   

 

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日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。

 

保険事故

 

被保険者に関する保険給付

 

被扶養者に関する保険給付

疾病

負傷

 

療養の給付
入院時食事療養費
入院時生活療養費
保険外併用療養費
療養費

 

家族療養費

 

訪問看護療養費

 

 

家族訪問看護療養費

 

移送費

 

家族移送費

 

 

傷病手当金

 

 

 

特別療養費

 

 

高額療養費・高額介護合算療養費

 

死亡

 

埋葬料

 

 

家族埋葬料

出産

 

出産育児一時金

 

家族出産育児一時金

 

 

出産手当金

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□日雇特例被保険者の独自給付として、「特別療養費」がある。

(平1択)(平7択)

 


(注)なお、それ以外の保険給付の「種類」は一般被保険者と同一であるため、本書においては、特に、保険給付の「内容」について、一般被保険者との相違点に着目して掲載した。

 

 

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◆一般被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合 (法98条)

 


1) 一般被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合において、その資格を喪失した際に療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養、保険外併用療養費に係る療養、療養費に係る療養若しくは訪問看護療養費に係る療養又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費に係る指定居宅サービス等若しくはこれに相当するサービスのうち、療養に相当するものを受けているときは、当該疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき、当該保険者から療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給を受けることができる。<資格喪失後の継続給付>


2) 前項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、次のいずれかに該当するに至ったときは、行わない。

 

 

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a) 当該疾病又は負傷について、日雇特例被保険者の保険給付の規定により療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給を受けることができるに至ったとき

 

 

b) その者が、被保険者若しくは船員保険の被保険者若しくはこれらの者の被扶養者、国民健康保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等となったとき。

 

 

c) 被保険者の資格を喪失した日から起算して6月を経過したとき。

<継続給付の終了>

 

 

3) 第1項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、当該疾病又は負傷について、後述する特別療養費又は移送費若しくは家族移送費の支給を受けることができる間は、行わない。


4) 第1項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

 

 

2  他の医療保険による給付等との調整 (法128条)        重要度 ●   

 

条文

 

(1) 日雇特例被保険者に係る保険給付が行われない場合

 


【日雇特例被保険者の本人給付とこれに相当する一般被保険者の本人給付とが競合するとき】

 

 

日雇特例被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金若しくは出産手当金の支給は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、一般被保険者の保険給付の規定、この法律以外の医療保険各法(国民健康保険法を除く、以下この条において同じ)の規定若しくは法55条1項(労働者災害補償保険法等との調整)に規定する法令の規定又は介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない(1項)。

 

 

【日雇特例被保険者の家族給付とこれに相当する一般被保険者の本人給付とが競合するとき】

 

 

日雇特例被保険者に係る家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料又は家族出産育児一時金の支給は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、一般被保険者の保険給付の規定若しくはこの法律以外の医療保険各法の規定又は介護保険法の規定によりこれらに相当する給付又はこの章(日雇特例被保険者の保険給付)の規定による療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、埋葬料若しくは出産育児一時金の支給に相当する給付を受けることができる場合には、行わない(3項)。

 

 

【特別療養費とこれに相当する一般被保険者の本人給付又は家族給付とが競合するとき】

 

 

特別療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、一般被保険者の保険給付の規定、この法律以外の医療保険各法の規定若しくは法55条1項に規定する法令の規定又は介護保険法の規定によりこの章の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給に相当する給付を受けることができる場合には、行わない(4項)。

 

 

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(2) 日雇特例被保険者に係る保険給付が、当該相当する給付を受けたときは、

「その限度」において行われない場合

 


【日雇特例被保険者の本人給付とこれに相当する一般被保険者の家族給付とが競合するとき】

 

 

日雇特例被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、埋葬料若しくは出産育児一時金の支給は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、一般被保険者の保険給付の規定又はこの法律以外の医療保険各法の規定によりこの章の規定による家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料又は家族出産育児一時金の支給に相当する給付を受けたときは、その限度において、行わない(2項)。(平17択)

 

 

【日雇特例被保険者の本人給付又は家族給付と国又は地方公共団体の負担による療養又は療養費の支給とが競合するとき】

 

 

日雇特例被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは特別療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない(5項)。

 

 

3  療養の給付等 (法129条ほか)                        重要度 ●   

 

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日雇特例被保険者の疾病又は負傷に関しては、療養の給付を行い、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費を支給し、また、被扶養者の疾病又は負傷に関しては、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費(以下「療養の給付等」という)を支給する。(平1択)

 

 

条文

 

(1) 保険料納付要件 (2項1号)

 


日雇特例被保険者が療養の給付等を受けるには、これを受ける日において、当該日の属する月の前2月間に通算して26日分以上又は当該日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料が、その日雇特例被保険者について、納付されていなければならない。

 

 

 

(2) 支給期間 (2項2号)

 


保険料納付要件を満たすことにより当該疾病(その原因となった疾病又は負傷を含む)又は負傷につき受けた療養の給付等の開始の日から1年となる*1。

(平18択)

 

 

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(3) 受給方法 (3項~5項)

 


3) 保険者は、日雇特例被保険者が、保険料納付要件を満たすことを、日雇特例被保険者手帳によって証明して申請したときは、これを確認したことを表示した受給資格者票を発行し、又は既に発行した受給資格者票にこれを確認したことを表示しなければならない*2。


4) 日雇特例被保険者が療養の給付等を受けようとするときは、受給資格者票を保険医療機関等のうち自己の選定するものに提出して、そのものから受けるものとする。 (平15択)(平19択)


5) 受給資格者票は、確認を受けたものでなければならず、かつ、その確認によって、当該疾病又は負傷につき受給要件が満たされていることが証明されるものでなければならない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 その「開始の日前」に当該疾病又は負傷につき特別療養費の支給又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費の支給、介護予防サービス費の支給等が行われたときは、それらの支給の開始の日とする。
なお、1年経過後も保険料納付要件を満たす限り、引き続き療養の給付等を受けることができる(同一傷病に係る療養等が打ち切られるわけではない)。

 

□厚生労働大臣が指定する疾病(結核性疾病)に係る支給期間は、5年となる(昭59.9.28厚生省告示158号)。

 

□*2 この場合の「保険者」とは、協会又は委託を受けた市町村が該当する(なお、「受給資格者票」は、一般被保険者の被保険者証に該当するものである)。