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健康保険法(6)-1

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第 10 章

日雇特例被保険者

第1節  日雇特例被保険者    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・248
第2節  日雇特例被保険者に係る保険給付    ・・・・・・・・・・・252

 

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第1節  日雇特例被保険者

 

1  日雇特例被保険者 (法3条2項ほか)                  重要度 ●   

 

条文

 


この法律において日雇特例被保険者とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。
ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者又は次のいずれかに該当する者として厚生労働大臣の承認を受けたものは、この限りでない。

 


イ) 適用事業所において、引き続く2月間に通算して26日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき。

 

 

ロ) 任意継続被保険者であるとき。

 

 

ハ) その他特別の理由があるとき*1。

 

 

ここをチェック

 

□この法律において「日雇労働者」とは、次のいずれかに該当する者をいう。

 

日雇労働者となるとき

 

日雇労働者とならないとき

 

 

臨時に使用される者であって、次に掲げるもの

 


a) 日々雇い入れられる者

 

 

b) 2月以内の期間を定めて使用される者

 

 

a)に掲げる者にあっては、1月を超え引き続き使用されるに至った場合


b)に掲げる者にあっては、所定の期間を超え引き続き使用されるに至った場合

 


*いずれの場合も、所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合を除く

 

 

季節的業務に使用される者

 

 

継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く

 

臨時的事業の事業所に使用される者

 

 

継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く

 

 

ちょっとアドバイス

 

□日雇特例被保険者については、従来、「日雇労働者健康保険法」によって療養の給付等が行われていたが、その制度は、昭和59年改正により廃止され、健康保険法に包含された。(*なお、本書においては、日雇特例被保険者以外の被保険者を「一般被保険者」と表記することがある)

 

□日雇特例被保険者の被扶養者の範囲は、一般被保険者の被扶養者の範囲と同一であり、当該被扶養者についても保険給付の対象とする(法3条7項)。

 

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advance

 

□*1「特別の理由」には、次のものが該当する(昭34.7.7保発58号ほか)。

 


a) 農業、漁業、商業等他に本業を有する者が臨時に日雇労働者として使用される場合。 (平18択)


b) 社会保険各法の被扶養者である昼間学生が休暇期間中にアルバイトとして日雇労働に従事する場合。


c) 社会保険各法の被扶養者である家庭の主婦その他の家事専従者が、余暇を利用して内職に類する日雇労働に従事する場合であって、日雇労働に従事することを常態としていない場合。

 

 

2  保険者 (法123条)                                  重要度 ●   

 

条文

 


1) 日雇特例被保険者の保険の保険者は、協会とする。
(平1択)(平14択)(平17択)(平21択)


2) 日雇特例被保険者の保険の保険者の業務のうち、日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。

 

 

advance

 

◆市町村が処理する事務等 (法203条)

 


1) 日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち厚生労働大臣が行うものの一部は、政令で定めるところにより、市町村長が行うこととすることができる


2) 協会は、市町村(特別区を含む)に対し、政令で定めるところにより、日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち協会が行うものの一部を委託することができる。

 

 

厚生労働大臣が指定する地域に居住する日雇特例被保険者に係る次に掲げる事務は、当該地域をその区域に含む市町村(特別区を含む)の長が行うものとする(令61条1項)。

 

 

協会は、当該地域をその区域に含む市町村(特別区を含む)に対し、当該地域に居住する日雇特例被保険者に係る次に掲げる事務を委託するものとする(令61条2項)。

 

a) 日雇特例被保険者手帳の交付及び収受その他日雇特例被保険者手帳に関する事務


b) 介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者及びそれ以外の日雇特例被保険者の把握に関する事務

 


令61条1項の規定により市町村(特別区を含む)が処理することとされている事務は、地方自治法に規定する第1号法定受託事務とする(令62条)。

 

 

a) 受給資格者票の発行及び受給資格者票への確認の表示その他受給資格者票に関する事務


b) 特別療養費受給票の交付その他特別療養費受給票に関する事務


c) 保険給付(埋葬料の支給を除く)を行うために必要な保険料の納付状況の確認に関する事務及び被扶養者に係る保険給付に関する被扶養者の確認に関する事務

 

 

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3  標準賃金日額及び日雇特例被保険者手帳(法124条~法126条) 重要度 ●  

 
(1) 標準賃金日額 (法124条)

 

条文

 


1) 標準賃金日額は、日雇特例被保険者の賃金日額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)による。

 

標準賃金日額等級

標準賃金日額

 

報酬日額

 

 

第 1 級

 

 3,000円

 

 

3,500円未満

 

第 2 級

 

 4,400円

 3,500円以上

 

5,000円未満

 

第 3 級

 

 5,750円

 5,000円以上

 

6,500円未満

 

第 4 級

 

 7,250円

 6,500円以上

 

8,000円未満

 

第 5 級

 

 8,750円

 8,000円以上

 

9,500円未満

 

第 6 級

 

10,750円

 9,500円以上

 

12,000円未満

 

第 7 級

 

13,250円

12,000円以上

 

14,500円未満

 

第 8 級

 

15,750円

14,500円以上

 

17,000円未満

 

第 9 級

 

18,250円

17,000円以上

 

19,500円未満

 

第10級

 

21,250円

19,500円以上

 

23,000円未満

 

第11級

 

24,750円

23,000円以上

 

 

2) 一の年度における標準賃金日額等級の最高等級に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の当該年度における日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の3を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、翌年度の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準賃金日額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、当該一の年度において、改定後の標準賃金日額等級の最高等級に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の1を下回ってはならない

 

 

ちょっとアドバイス

 

□この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、日雇労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない(法3条9項)。

 

□賃金のうち通貨以外のもので支払われるものについては、その価額は、その地方の時価により、厚生労働大臣が定める。

 

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(2) 賃金日額の算定方法 (法125条)

 

条文

 


報酬形態

算定方法

 

イ) 賃金が日又は時間によって定められる場合、1日における出来高によって定められる場合その他日雇特例被保険者が使用された日の賃金を算出することができる場合

 

その額

 

ロ) 賃金が2日以上の期間における出来高によって定められる場合その他日雇特例被保険者が使用された日の賃金を算出することができない場合(ハに該当する場合を除く)

 

 

当該事業所において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者のその前日(その前日において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者がなかったときは、これに該当する者のあったその直近の日)における賃金日額の平均額

 

 

ハ) 賃金が2日以上の期間によって定められる場合

 

その額をその期間の総日数(月の場合は、1月を30日として計算する)で除して得た額

 

 

ニ) イ~ハの規定により算定することができないもの

 

 

その地方において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者が1日において受ける賃金の額

 

 

ホ) イ~ニのうち2以上に該当する賃金を受ける場合

 

 

それぞれの賃金につき、イ~ニによって算定した額の合算額

 

ヘ) 1日において2以上の事業所に使用される場合

 

 

初めに使用される事業所から受ける賃金につき、イ~ホによって算定した額

 

(3) 日雇特例被保険者手帳 (法126条)

 

条文

 


1) 日雇労働者は、日雇特例被保険者となったときは、日雇特例被保険者となった日から起算して5日以内に、厚生労働大臣に日雇特例被保険者手帳の交付を申請しなければならない。ただし、既に日雇特例被保険者手帳の交付を受け、これを所持している場合において、その日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白があるときは、この限りでない。


2) 厚生労働大臣は、前項の申請があったときは、日雇特例被保険者手帳を交付しなければならない。


3) 日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者は、その日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白の残存する期間内において日雇特例被保険者となる見込みのないことが明らかになったとき、又は法3条2項ただし書(日雇特例被保険者の適用除外)の規定による承認を受けたときは、厚生労働大臣に日雇特例被保険者手帳を返納しなければならない。


4) 日雇特例被保険者手帳の様式、交付及び返納その他日雇特例被保険者手帳に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。