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一般常識(5)-12

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テキスト本文の開始

 

 

5  介護休業の申出 (法11条1項)                       重要度 ●   

 

条文

 


労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。

 


a) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

 

 

b) 第3項に規定する介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(以下「93日経過日」という)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く)

 

 

【具体例】

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□「介護休業等日数」は、個々の労働者について、対象家族ごとに計算される。例えば、その事業主の下でした介護休業の日数が、実父のために93日、実母のために30日である労働者は、実父のための新たな介護休業申出をすることはできないが、実母のための新たな介護休業申出をすることは、要介護状態が異なる場合には可能である(平16.12.28職発1228001号・雇児発1228002号)。


↓ つまり…

 


a) 介護休業申出は、原則として、同一の対象家族について、一の要介護状態ごとに1回に限り行うことができる(再度の申出は、原則としてNG)。

 

 

b) 同一の対象家族であっても、以前と異なる要介護状態の場合は再度の申出をすることができる(ただし、介護休業等日数が通算して93日に達しているときはNG)。

 

 

c) 介護休業等日数は、介護休業をした日数と所定労働時間の短縮措置等が講じられた日数を合算した日数となる。

 

 

6  子の看護休暇の申出 (法16条の2)                   重要度 ●   

 

条文

 

前年改正

 


1) 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、負傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該子の世話*1を行うための休暇(以下「子の看護休暇」という)を取得することができる。


2) 申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日を明らかにして、しなければならない。


3) 第1項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働省令で定める当該子の世話」は、当該子に予防接種(インフルエンザ予防接種など、予防接種法に定める定期の予防接種以外のものを含む)又は健康診断を受けさせることとする(則29条の3)。

 

□事業主は、労働者の子の症状、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、時間単位又は半日単位での休暇の取得を認めること等制度の弾力的な利用について配慮することとされている(「介護休暇」についても同様)。

 

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advance

 

□子の看護休暇の付与日数は、申出時点における子の人数で判断する。

 


例えば、子どもが年度の途中で生まれ、小学校就学前までの子が2人となった場合、年度の途中であっても、その年度におけるそれまでの付与日数と合計して年10日までの休暇を認めることが必要となる。
なお、子どもが途中で亡くなった場合などの理由により子の看護休暇の付与日数が減少した結果、同一の年度において既に取得した子の看護休暇の日数が付与日数を上回る場合であっても、既に取得した子の看護休暇は有効であり、当該上回る日数について、遡及して不就業と取り扱うことや、翌年度分に付与される子の看護休暇の日数から差し引くことは許されない。

 

 

7  介護休暇の申出 (法16条の5)                       重要度 ●   

 

条文

 

前年新設

 


1) 要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話*1を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という)を取得することができる。


2) 申出は、厚生労働省令で定めるところにより、当該申出に係る対象家族が要介護状態にあること及び介護休暇を取得する日を明らかにして、しなければならない。


3) 第1項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとする。

 

 

ここをチェック

 

□暫定措置として、常時100人以下の労働者を雇用する事業主等については、平成24年7月1日から適用される。

 

ちょっとアドバイス

 

□「要介護状態」及び「対象家族」とは、介護休業における定義と同じである。

 

□*1「その他の厚生労働省令で定める世話」とは、対象家族の介護対象家族の通院等の付き添い対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の対象家族に必要な世話をいう(則30条の4)。

 

□介護休暇の日数は、介護休業の取得日数とは通算されない

 

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8  業務の制限請求 (法16条の8第1項ほか)             重要度 ●   


(1) 所定外労働の制限 (法16条の8第1項、法16条の9)

 

条文

 

前年新設

 


【制限期間の請求 (法16条の8第1項)】
事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者(日々雇用される者を除く)であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

 


a) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者

 

 

b) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 (則30条の8)

 

 

【不利益取扱いの禁止 (法16条の9)】
事業主は、労働者が請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について所定労働時間を超えて労働させてはならない場合に当該労働者が所定労働時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 

 

ここをチェック

 

□暫定措置として、常時100人以下の労働者を雇用する事業主等については、平成24年7月1日から適用される。

 

ちょっとアドバイス

 

□「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断する。

 

□制限期間(1月以上1年以内の期間に限る)の請求について、回数の制限はない。

 

□管理職のうち、労働基準法第41条第2号に定める「管理監督者」については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の免除の対象外となる。