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第5節 費用等
1 費用の負担-1 (公費・法93条ほか)
重要度 ●
◆後期高齢者医療制度の財源構成
後期高齢者支援金:約40%
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国:12分の3
+12分の1 |
都道府県:12分の1 |
市町村:12分の1 |
保険料:約10%
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◆費用負担の概要
改正
後期高齢者医療制度の財源構成をみると、一部負担金を除き、イ)公費で約5割、ロ)現役世代からの支援で約4割(後期高齢者交付金)、ハ)後期高齢者医療の被保険者が負担する保険料で約1割を賄うことになっている。「後期高齢者負担率」は、このうちのハ)の部分を表す率である。
なお、法第100条第3項において、平成22年度以降の年度における後期高齢者負担率について、100分の10を基準として微調整して、2年ごとに政令で定める旨が定められている。
↓ そして…
平成24年度及び平成25年度における後期高齢者負担率は、100分の10.51とすることとされた(前期高齢者交付金及び後期高齢者医療の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令平成23年政令第406号)。
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*ちなみに、平成22年度及び平成23年度の後期高齢者負担率は100分の10.26、平成20年度及び平成21年度の後期高齢者負担率は100分の10であった。
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(1) 国の負担等
【国の負担 (法93条)】
1) 国は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、被保険者に係る療養の給付等に要する費用の額*1から特定費用の額*2を控除した額(以下「負担対象額」という)の12分の3に相当する額を負担する。
2) 国は、前項に掲げるもののほか、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、高額医療費負担対象額*3の4分の1に相当する額を負担する。
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【国庫負担金の減額 (法94条)】
1) 後期高齢者医療広域連合が確保すべき収入を不当に確保しなかった場合においては、国は、政令で定めるところにより、前条の規定により当該後期高齢者医療広域連合に対して負担すべき額を減額することができる。
2) 前項の規定により減額する額は、不当に確保しなかった額を超えることができない。
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【調整交付金 (法95条)】
1) 国は、後期高齢者医療の財政を調整するため、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対して調整交付金を交付する。
2) 前項の規定による調整交付金の総額は、負担対象額の見込額の総額の12分の1に相当する額とする。(平22択)
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【国の補助 (法102条)】
国は、第93条(国の負担)、第95条(調整交付金)及び第116条第6項(財政安定化基金の繰入金に係る負担)に規定するもののほか、予算の範囲内において、後期高齢者医療に要する費用の一部を補助することができる。
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◆用語の定義
□*1「療養の給付等に要する費用の額」とは、被保険者に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の額の合計額をいう。
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□*2「特定費用の額」とは、法67条1項ロ(現役並み所得者)に該当する者に係る療養の給付等に要する費用の額をいう。
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□*3「高額医療費負担対象額」とは、後期高齢者医療の財政の安定化を図るため、被保険者に係るすべての医療に関する給付に要する費用の額に対する高額な医療に関する給付の割合等を勘案して、高額な医療に関する給付の発生による後期高齢者医療の財政に与える影響が著しいものとして政令で定めるところにより算定する額以上の高額な医療に関する給付に要する費用の合計額に次に掲げる率の合計を乗じて得た額をいう。
a) 負担対象額の12分の1に相当する額を療養の給付等に要する費用の額で除して得た率
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b) 後期高齢者負担率
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(2) 地方公共団体の負担等
【都道府県の負担 (法96条)】
1) 都道府県は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、負担対象額の12分の1に相当する額を負担する。
2) 都道府県は、前項に掲げるもののほか、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、高額医療費負担対象額の4分の1に相当する額を負担する。
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【市町村の一般会計における負担 (法98条)】
市町村は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、その一般会計において、負担対象額の12分の1に相当する額を負担する。
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【市町村の特別会計への繰入れ等 (法99条、法附則13条の7)】
1) 市町村は、政令で定めるところにより、一般会計から、所得の少ない者について後期高齢者医療広域連合の条例の定めるところにより行う保険料の減額賦課に基づき被保険者に係る保険料につき減額した額の総額を基礎とし、後期高齢者医療の財政の状況その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額を市町村の後期高齢者医療に関する特別会計に繰り入れなければならない。
3) 都道府県は、政令で定めるところにより、前2項の規定による繰入金の4分の3に相当する額を負担する。
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2 費用の負担-2 (交付金・法100条) 重要度 ●
◆交付金等の流れ
【後期高齢者交付金 (法100条1項)】
1) 後期高齢者医療広域連合の後期高齢者医療に関する特別会計において負担する費用のうち、負担対象額に1から後期高齢者負担率及び100分の50を控除して得た率を乗じて得た額並びに特定費用の額に1から後期高齢者負担率を控除して得た率を乗じて得た額の合計額(以下「保険納付対象額」という)については、政令で定めるところにより、支払基金が後期高齢者医療広域連合に対して交付する後期高齢者交付金をもって充てる。
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□「特定費用の額」については、後期高齢者支援金及び後期高齢者医療の被保険者の負担する保険料で賄われる(つまり、公費負担は行われない)。
3 費用の負担-3 (保険料・法104条、法105条) 重要度 ●
【保険料 (法104条)】
1) 市町村は、後期高齢者医療に要する費用(財政安定化基金拠出金及び特別高額医療費共同事業の規定による拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。(平23択)
3) 前項の保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金及び特別高額医療費共同事業に係る拠出金の納付に要する費用の予想額、財政安定化基金による資金の貸付の事業による都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、保健事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
(平23択)
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【保険料等の納付 (法105条)】
市町村は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療に要する費用に充てるため、後期高齢者医療広域連合に対し、後期高齢者医療広域連合の規約で定めるところにより、市町村の特別会計への繰入れ等の規定による繰入金並びに保険料その他の規定による徴収金(市町村が徴収するものに限る)を納付するものとする。
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(1) 保険料率の均一性 (法104条2項)
前項の保険料は、後期高齢者医療広域連合が被保険者に対し、後期高齢者医療広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他の政令で定める基準に従い後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課する。ただし、当該後期高齢者医療広域連合の区域のうち、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に該当するものに住所を有する被保険者の保険料については、政令で定める基準に従い別に後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課することができる。
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↓ なお…
□後期高齢者医療の保険料の賦課限度額は、「55万円」とされている高齢者医療確保法施行令の一部を改正する政令 (平成24年1月20日政令第9号)。
(2) 保険料の算定に係る基準 (令18条、令附則11条の2)
1) 後期高齢者医療広域連合が被保険者に対して課する保険料の算定に係る当該保険料の賦課額は、原則として、被保険者につき算定した「所得割額」及び「被保険者均等割額」の合計額とする。
ただし、後期高齢者医療の被保険者資格を取得した日の前日において、被用者医療保険(健康保険法等)の被扶養者(以下「被扶養者であった被保険者」という)に係る賦課額は、当該被扶養者であった被保険者につき算定した「被保険者均等割額」とする(つまり、所得割額が免除されている)。
5) 後期高齢者医療広域連合が被扶養者であった被保険者に対して課する保険料は、当分の間(後期高齢者医療制度が廃止されるまでの間)、「被保険者均等割額」を減額するものとする。
具体的には、当該後期高齢者医療広域連合の当該年度分の保険料に係る当該被保険者均等割額に10分の5を乗じて得た額であるが、特例措置として、被扶養者であった被保険者に係る実際の保険料は、当該被保険者均等割額に10分の1を乗じて得た額とし、結果的には、9 割が軽減されている。
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