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第 4 章
労働者の危険又は健康障害
を防止するための措置
第1節 事業者の講ずべき措置等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
第2節 請負関係の事業場において講ずべき措置等 ・・・・・・49
第3節 その他の措置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 |
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第1節 事業者の講ずべき措置
1 講ずべき必要な措置 (法20条~法26条) 重要度 ●
(1) 危険防止措置 (法20条・法21条)
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
イ) 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という)による危険
ロ) 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
ハ) 電気、熱その他のエネルギ一による危険
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1) 事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2) 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
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(2) 健康障害防止措置 (法22条)
事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
イ) 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
ロ) 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
ハ) 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
ニ) 排気、排液又は残さい物による健康障害
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(3) 作業場の整備措置 (法23条)
事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。 (平9記)
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(4) 作業行動 (法24条)
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
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(5) 作業場からの退避措置 (法25条)
事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。
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(6) 労働者の救護措置 (法25条の2)
1) 建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事*1で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。 (平9記)
イ) 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと
ロ) 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと
ハ) イ、ロに掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項を行うこと
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2) 前項に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
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(7) 労働者の責務 (法26条)
労働者は、事業者が第20条から第25条まで及び第25条の2第1項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
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□*1「政令で定める仕事」は、次のとおりとする(令9条の2)。
a) ずい道等の建設の仕事で、出入口からの距離が1,000メートル以上の場所において作業を行うこととなるもの及び深さが50メートル以上となるたて坑(通路として用いられるものに限る)の掘削を伴うもの
b) 圧気工法による作業を行う仕事で、ゲージ圧力0.1メガパスカル以上で行うこととなるもの
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2 技術上の指針等の公表等 (法28条) 重要度 ●
1) 厚生労働大臣は、第20条から第25条まで及び第25条の2第1項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な業種又は作業ごとの技術上の指針を公表するものとする。
2) 厚生労働大臣は、前項の技術上の指針を定めるに当たっては、中高年齢者に関して、特に配慮するものとする。
3) 厚生労働大臣は、次の化学物質で厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表するものとする。
a) 第57条の3第4項(化学物質の有害性の調査)の規定による勧告又は第57条の4第1項の規定による指示に係る化学物質
b) 前号に掲げる化学物質以外の化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるもの
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4) 厚生労働大臣は、第1項又は前項の規定により、技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針に関し必要な指導等を行うことができる。
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3 事業者の行うべき調査等 (法28条の2) 重要度 ●
1) 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し*1、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種*2に属する事業者に限る。(平19選)
2) 厚生労働大臣は、前条第1項及び第3項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3) 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
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□*1「危険性又は有害性等の調査」は、次に掲げる時期に行うものとする
(則24条の11第1項)。
a) 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき
b) 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき
c) 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき
d) a~cに掲げるもののほか、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき
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□*2「厚生労働省令で定める業種」は、令2条1号に掲げる業種(屋外工業的業種)及び同条2号に掲げる業種(製造業を除く屋内工業的業種)とする
(同則2項)。