社労士/労災保険法2-13 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労災保険法2-13:未支給の保険給付」

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労災保険法(2)-13

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テキスト本文の開始

 

 

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3  未支給の保険給付 (法11条)                         重要度 ●●●

 

条文

 


1) この法律に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金(遺族年金)については当該遺族補償年金(遺族年金)を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付*1の支給を請求することができる*2。(平2択)(平12択)(平15択)(平22択)

 

2) 前項の場合において、死亡した者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。 (平5択)(平9択)

 

3) 未支給の保険給付を受けるべき者の順位*3は、第1項に規定する順序(遺族補償年金(遺族年金)については当該遺族の範囲に規定する順序)による。(平22択)

 

4) 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(平15択)(平19択)

 

 

ここをチェック

 

□*1 「未支給の保険給付(以下「未支給給付」という)」とは、次のものである。

 


a) 支給決定はあったが、まだ支払のないもの(支給請求したが支給決定がないものも含む)

 

b) 死亡前にその保険給付を請求していなかったもの(平15択)

 

 

↓ なお…

 

□被災労働者にのみ行い得る保険給付(療養(補償)給付たる療養の給付又は二次健康診断等給付)は、未支給給付には含まない。

 

□*2 「請求」の手続は、自己の名で、所轄労働基準監督署長に対して行う(則10条2項)。

 

ちょっとアドバイス

 

◆*3 未支給給付の請求権者のまとめ

 


遺族補償年金(遺族年金)以外の保険給付

 

遺族補償年金(遺族年金)

 

 

死亡した受給権者の配偶者(事実上婚姻関係にあった者も含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもののうちの最先順位者(平9択) (平15択)

 

遺族(補償)年金を受けることができる他の遺族のうちの最先順位者

 

↓ つまり…

 

受給権者と未支給給付を請求できる者との関係は、同順位又は次順位の者に限られる。
(平9択)

 

 

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□法11条は、その範囲内において民法の相続に関する規定を排除するものであるが、本法に規定する未支給給付の請求権者となる者がいないときは、死亡した受給権者の「民法上の相続人」が未支給給付の請求権者となる(昭41.1.31基発73号)。

 

↓ なお…

 

□未支給給付の請求権者が、その未支給給付を受けないうちに死亡した場合には、その死亡した未支給給付の「請求権者の相続人」が請求権者となる(昭41.1.31基発73号)。 (平15択)

 

ここで具体例!

 

(1)「遺族補償年金以外」の保険給付の場合

 


(例)被災労働者Aに障害が残り、障害補償年金の受給権者となったとする
(この場合の受給権者は、A本人である)

 

↓ この受給権者Aが…

 

未支給年金を残して死亡した!

 

↓ この場合は…

 

□その者と生計を同じくしていた「配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹」の中の最先順位者が請求権者となる(未支給給付はある種の「遺産」である)

 

 

(2)「遺族補償年金」の場合

 


 

(例)被災労働者Bが死亡し、遺族補償年金の受給資格を「妻」と「妹」が得たとする

 

↓ 間もなくして…

 

「妻」(受給権者)が未支給年金を残して死亡した!

 

↓ この場合は…

 

□他の遺族の中の最先順位者である「妹」が優先的に請求権者となれる

 

 

↓ つまり…

 

□法定相続人(事例では、子Cのこと)がいたとしても、受給資格者でない場合は、未支給の遺族補償年金を請求できる者とはならないことがある((1)の優先順位とは異なり、また、民法上の相続人とも一致しない場合がある)。