社労士/労災保険法1-7 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労災保険法1-7:認められた事例」

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労災保険法(1)-7

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

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テキスト本文の開始

 

 

 

ここで具体例!

 

(1) 作業中(認められた事例)

 


O建設(株)S営業所の配管工である被災者Nは、朝6時頃から資材係、倉庫番等と協力し、前夜運搬されてきた小型パイプが同営業所資材置場に乱雑に荷下ろしされているのを整理していたが、材料が小型のため、付近の草むらに投げ込まれていないかと草むらに探しに入ったところ、この地に多く生息するハブ(毒蛇)に左足部を咬まれ負傷した(昭27.9.6基災収3026号)。(平5択)

 

 

(2) 作業の中断中(認められた事例)

 


トラック助手Tは、運転手Mと引っ越し荷物を積載して疾走中、国道上で故障修理中の他のトラックの乗務員が、Tの車の荷覆シートがめくれている旨を手まねで知らせたので、直ちに停車し、Mとともにシートをかけなおした。そのとき川の堤防上から強風が吹き、Tの防寒帽が国道中央に吹き飛ばされたので、とっさにその帽子を追って走り出した際、前方より疾走してきた乗用車に跳ね飛ばされ、死亡した(昭25.5.8基収1006号)。(平7択)

 

 

(3) 合理的行為中

 

□事業主からの指示を受けていない行為であっても、おおむね次のような場合には、業務行為又は業務付随行為と判断されることがある。

 


a) 合理性又は必要性を有する行為である場合

 

b) 業務と関連する突発的事情によって臨機応変に行われる緊急行為である場合

 

c) 特に積極的な合理性又は必要性は認められないが、業務行為の過程において通常ありがちなささいな行為である場合

 

 

認められた事例

 

 

認められなかった事例

 

当日午前8時、本人は製材作業を開始しようとして電動機の「スイッチ」を入れたところ、モーターが回転しない上トランスから音がしているので、修理しようとして工場敷地内にある電柱に登ったところ、前日からの雨のため、3つ目の「ダルマスイッチ」を抜こうとしたとき感電してコウ(材木の切れ端)の上に転落し1時間後に死亡したものである。なお、本人は元U木工に働いていたときにも電気設備の修理に当たっていた経験がある(昭23.12.17基災発243号)。

 

 

N通運(株)O支店車両整備事務員Kは、当日、貨物自動車の車体検査受検のため自ら同車を運転して車体検査場に赴いたところ、車体検査場では、昼の休憩時を利用して、スト一ブの煙突取外し作業を車体検査官3名で行っていたが、作業に難渋している様子が見受けられたので、Kは事務所の南側約2メートルの箇所にある木に登り、煙突を固定している部分をゆるめる作業を手伝った。取外しを終わり、Kは木から下りようとしたところ枝が折れたため転落、負傷し死亡したものである(昭32.9.17基収4722号)。(平7択)

 

 

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(4) 休憩中(認められた事例)

 


被災者Nは、石切り場の職人の手伝いとして働いていた。石切り場は断崖絶壁で、作業場は海面から約25メートルの高さのところにある。Nは同僚中で一番若かったので、夏の暑い時は朝ヤカン一杯の飲料水を持って現場に上り、昼食時には下りて休憩し、仕事にかかるときは再び飲料水をヤカンで持って上っていた。暑い時などは途中で汲みに下りることもあった。当日(9月19日)は、曇っていたので昼まで飲料水は不用であろうと思って発破用の塩水だけを持って上っていたが、9時10分から20分頃休憩になったとき、誰かが「咽喉が渇いたな」といいだしたので、Nはヤカンを持って下へ降りて行き、山の方へ帰りかけた瞬間転落し、後頭部を粉砕して死亡した(昭24.12.28基災収4173号)。(平5択)

 

 

(5) 施設利用中(認められた事例)

 


【事業場施設の具体例】

 

a) 直接に業務運営の用に供する敷地、建造物、建物附属機械器具、調度品、作業用の設備、機械器具、原材料、製品、自家用車 etc.

 

b) 労働者の利用に供せられる更衣所、便所、洗面所、食堂、風呂場、休憩所、娯楽室、運動設備、通勤専用バスその他の福利施設、医療・看護施設又は事業附属寄宿舎 etc.

 

c) 事業主の行う健康診断を受ける場合における医療施設

 

 

Fタクシー会社において、当直運転手が、石油ストーブを事務所から仮眠室へ運ぶ途中、ストーブの下部が外れたため、こぼれた油に引火し同営業所は全焼し、その際2階に住み込んでいた同所の管理責任者Aと雑役婦の妻Bが焼死した。発生現場付近にボール箱及び自動車専用モービルオイルが置いてあったこと並びに居合わせた労働者が消火器の操作方法を知らなかったことが大事に至らせたものである(昭41.5.23基収3520号)。(平7択)

 

 

(6) 出張中(認められた事例)

 


F電力(株)T営業所の計画係長Tは、明日午前8時から午後1時までの間に、下請業者の実施するH町の高圧耐塩用CF遮断器取換え作業を指導・監督するため部下1名とともに出張するようにとの命令を受けたので、明日は部下と直接用務地に赴くことを打ち合わせた。翌日、午前7時過ぎ、自転車で自宅を出発し、列車に乗車すべく進行中、踏切で列車に衝突し死亡した。なお、同係長は通常の通勤の場合にも、その列車を使用している(昭34.7.15基収2980号)。(平7択)

 

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(7) 通勤途上(認められた事例)

 


休日に、鉄道の保線工夫が、自己の担当する鉄道沿線に突然事故があったため、自宅等から使用者の呼出しを受けて現場にかけつける途上は、業務遂行中と解すべきである(昭24.1.19基収3375号)。

 

 

(例)無断欠勤者(部下)の事情確認を行うため、慣例的に上司が通勤途上にある欠勤者宅へ赴く途中の交通事故


 

*「外勤営業職」の場合(いわゆる「直行・直帰」をする場合)も同様の取扱い

 

↓ 反対に…

 

(例)内勤職の者が特命(特別の指示)を受けて、通勤途上において職務を遂行する場合は、「出張」のケースと同じく「通勤途上」も含めて業務遂行性が認められる

 

(例)日雇労働者に対する災害認定の全体像