社労士/労働基準法5-3 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法5-3:代替休暇」

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労働基準法(5)-3

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テキスト本文の開始

 


イ) 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法

 

□1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に当該時間の労働について法37条1項但し書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(「換算率」という)を乗じるものとする。

 

↓ 具体的には…


【代替時間数】=(1箇月の時間外労働時間数-60)×換算率(A)

 

 

ロ) 代替休暇の単位

 

□1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日)。

 

ハ) 代替休暇を与えることができる期間
□延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とし、この範囲内で定める。

 

ニ) 代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日

 

□労働者の意向を踏まえた代替休暇の取得日の決定方法であること。

 

□1箇月について60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日は、労働者に代替休暇取得の意向があるときは2割5分以上の割増賃金分について、また、取得の意向がないときは5割以上の割増賃金分について、当該賃金計算期間に係る賃金 支払日に支払うこと。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□代替休暇に係る労使協定は、所轄労働基準監督署長への届出は不要である(則19条の2第1項)。

 

□割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする(則19条の2第3項)。

 


【具体例】換算率が0.25代替休暇として与えるべき時間数が5時間であった労働者が、実際には3時間(労使協定で定めた午前中の半日)しか代替休暇が取得できなかったとき

 

 

割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間数は、「3時間÷0.25=12時間」分であるから、代替休暇が取得できなかった「(5時間-3時間)÷0.25=8時間」分については、割増賃金率の引上げ分の割増賃金が必要となる。

 

 

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□「代替休暇」に係る留意点は、次のとおりである(平21.5.29基発0529001号)。

 


□代替休暇に係る労使協定は、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではなく、労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によるものである。

 

□時間単位で与えることはできないが、「時間単位年休」を活用することは差し支えない

 

□前々月の時間外労働に対応する代替休暇と前月の時間外労働に対応する代替休暇とを合わせて1日又は半日の代替休暇として取得することもできる。

 

□「半日」とは、労働者の1日の所定労働時間の2分の1をいうものであるが、必ずしも厳密に2分の1とする必要はなく、労使協定において、当該事業場における半日の定義を定めておけばよい。

 

□代替休暇の取得の意向はあったが実際には取得できなかったときは、取得できないことが確定した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払うことが必要となる。

 

□法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に、労働者から代替休暇取得の意向があった場合には、代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定めた期間内であっても、労働者は代替休暇を取得できないこととすることを労使協定で定めても差し支えない(反対に、代替休暇の取得を認めて、既に支払われた割増賃金を清算する定めをすることもできる)。

 

□代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、年次有給休暇に係る出勤率の算定基礎となる全労働日には含まれない