社労士/労働基準法2-11 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法2-11:制限の解除」

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労働基準法(2)-11

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

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テキスト本文の開始

 

 

(2) 制限の解除

 

□解雇制限の解除事由に該当するときは、使用者は、解雇制限期間中であっても労働者を解雇することができる(1項但し書)。(平13択) (平19択)

 

↓ 具体的には…

 


    打切補償

 

 

天災事変

 

療養開始後3年を経過し、使用者が平均賃金の1,200日分の打切補償を支払う場合

(平4択)

 

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(平2択)

(平6択)(平11択)(平21択)

 

行政官庁の認定は不要

 

 

行政官庁の認定が必要(2項)

 

 

advance

 

□*2 「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ突発的な事由の意味であり、事業の経営者として、社会通念上とるべき必要な措置をもってしても通常如何ともし難いような状況にある場合をいう(昭63.3.14基発150号)。

 

↓ 具体的には…

 


  該当する

 

a) 事業場が火災により焼失した場合(事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く)


b) 震災に伴う工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合

 

該当しない

 

a) 事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合


b) 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合


c) 事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材不足、金融難に陥った場合


d) 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がなく、そのために事業が金融難に陥った場合

 

 

□*3 「事業の継続が不可能となった」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいうのであって、例えば、当該事業場の中心となる重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ、多少の労働者を解雇することにより従来どおり操業し得る場合等は含まれない(昭63.3.14基発150号)。

 

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□解雇制限除外認定は、認定事由に該当する事実が存在するか否かを確認する処分であって、解雇の効力発生要件ではない

 

↓ したがって…

 

認定事由に該当する事実が存すれば、認定を受けない解雇であっても有効である(ただし、本条違反の罰則の適用はある)。一方、認定事由に該当する事実がなければ、認定を受けて為した解雇であってもその解雇が有効となるわけではない(昭63.3.14基発150号)。

 

判例チェック

 

◇制限の期間vs期間の性質◇

 

□労働基準法19条の定めは、その定めの期間中(解雇制限期間)における解雇の予告を禁ずる趣旨ではなく、同期間中の解雇そのものを禁ずる趣旨である(東洋特殊土木事件・水戸地裁龍ヶ崎支部判決 昭55.1.18)。

 

↓ したがって…

 

解雇の予告を解雇制限期間中にすることは差し支えない

 

3  解雇の予告 (法20条)                               重要度 ●●●

 

条文

 

1) 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前*1にその予告*2をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。(平1記)(平3記)

2) 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った*3場合においては、その日数を短縮することができる。(平1択)(平2択)(平13択)(平16択)(平18択)

3) 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

 

 

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◆解雇の手続

 

□使用者には、労働者を解雇することができる権利(解雇権)が認められているが、現実に労働者を解雇しようとする場合においては、次のa)~c)のいずれかの手続を経なければならない。

 


a) 少なくとも30日前に予告をすること
b) 30日分以上の平均賃金(「解雇予告手当」という)を支払うこと
c) a)とb)を併用すること(平6択) (平18択)