社労士/労働基準法1-10 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法1-10:企業秩序」

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労働基準法(1)-10

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テキスト本文の開始

 

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判例チェック

 

◇企業秩序vs公民権の行使◇

 

□懲戒解雇なるものは、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等とともに、企業秩序の義務違反に対し、使用者によって課せられる一種の制裁罰であると解するのが相当である。

 

↓ そこで…

 

□労働基準法7条が、特に、労働者に対し労働時間中における公民としての権利の行使及び公の職務の執行を保障していることにがんがみるときは、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則の条項は、労働基準法の趣旨に反し、無効のものと解すべきである。

 

↓ したがって…

 

□所論のごとく公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない(十和田観光電鉄事件・最高裁第2小昭38.6.21)。(平9択) (平16択)

 

 

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第3節  用語の定義

1  労働者 (法9条)                                    重要度 ●   

 

条文

 

 

この法律で「労働者」*1とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。(平10択)

 

 

 

ここをチェック

 

□*1 「労働者」に該当するか否かは、雇用、請負、委任等の契約の形式にかかわらず、実態として、使用従属関係(事業に使用され、労働の対償として賃金が支払われる)が認められるか否かにより判断される。

 

判例チェック

 

◇指揮監督下vs教育的研修◇

 

臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定している。そして、研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、労働基準法9条所定の「労働者」に当たるものである(研修医関西医科大学付属病院事件・最高裁第2小平17.6.3)。

 

advance

 

法人の重役等で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて本条の労働者である(昭23.3.17基発46l号)。

(平13択)(平19択)

 

□共同経営事業の出資者であっても、当該組合又は法人との間に使用従属関係があり、賃金を受けて働いている場合には、法9条の労働者である(昭23.3.24基発498号)。

 

□請負契約によらず、雇用契約により、使用従属関係が認められる大工は、本条の労働者である(平11.3.31基発168号)。

 

□都道府県労働委員会の委員は、都道府県知事が任免し知事が手当を支給し法令により公務に従事する職員であるが、知事は、委員の職務の執行については指揮命令権がなく、かつ、知事対委員及び委員会対委員の間には使用従属の関係がないため、労働基準法上の労働者とは認められない(昭25.8.28基収2414号)。

 

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□インターンシップにおける学生についての判断基準(平9.9.18基発636号)。

 


労働者に該当する

 

労働者に該当しない

 

 

直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合

 

 

その実習が見学や体験的なものであり、使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合