社労士/雇用保険法7-14 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「雇用保険法7-14:設立、管理及び加入員」

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厚生年金保険法(7)-14

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テキスト本文の開始

 

 

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第2節  設立、管理及び加入員

1  設立ほか (法110条~法113条)                         重要度 ●●●

 

(1) 設立 (法110条、基金令1条)

 

ここをチェック

 


単一基金(1項)

 

共同基金(2項)

 

 

1又は2以上の適用事業所について常時政令で定める数(1,000人以上の被保険者を使用する事業主は、当該1又は2以上の適用事業所について、基金を設立することができる。
(平5択)(平11択)(平21選)

 

適用事業所の事業主は、共同して基金を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数(5,000人以上*1でなければならない。
(平1択)(平21選)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「5,000人」は、一の適用事業所の事業主が他の適用事業所の事業主と業務、資本金その他について密接な関係を有するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する場合にあっては、「1,000人」とする。(平17択)(平21選)

 

(2) 設立要件 (法111条)

 

条文

 


1) 適用事業所の事業主は、基金を設立しようとするときは、基金を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て、規約をつくり、厚生労働大臣の認可を受けなければならない*2。(平5択)(平11択)(平13択)(平21択)

 

2) 前項の場合において、適用事業所に使用される被保険者の3分の1以上で組織する労働組合があるときは、事業主は、同項の同意のほか、当該労働組合の同意を得なければならない。(平5択)(平13択)(平21択)

 

3) 2以上の適用事業所について基金を設立しようとする場合においては、前2項の同意は、各適用事業所について得なければならない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*2「設立の認可申請」は、設立しようとする基金の主たる事務所を設置しようとする地を管轄する地方厚生局長又は地方厚生支局長(以下「地方厚生局長等」という)を経由して行うものとする(基金則1条2項)。(平21選)

 

(3) 成立の時期 (法113条、法114条)

 

ここをチェック

 


a) 基金は、設立の認可を受けた時に成立する。

 

b) 基金が成立したときは、理事長が選任されるまでの間、基金の設立の認可の申請をした適用事業所の事業主が、理事長の職務を行なう。(平5択)(平11択)

 

c) この場合において、当該適用事業所の事業主は、この章の規定の適用については、理事長とみなす。

 

 

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□基金が設立されたときは、4週間以内に、次に掲げる事項を公告しなければならない(基金令3条)。

 


a) 基金の名称 b) 事務所の所在地 c) 理事長の氏名及び住所
d) 設立事業所の名称及び所在地 e) 設立の認可の年月日

 

 

↓ また…

基金は、上記a)又はb)に掲げる事項に変更を生じたときは、2週間以内に、当該変更を生じた事項を公告しなければならない(基金令4条)。

 

2  管理 (法115条~法121条)                           重要度 ●   

 

条文

 

(1) 規約 (法115条)

 


1) 基金は、規約をもって、名称、事務所の所在地、代議員、代議員会、役員及び加入員に関する事項、年金たる給付及び一時金たる給付に関する事項、掛金及びその負担区分に関する事項、解散及び清算に関する事項その他組織及び業務に関する重要事項等を定めなければならない。

 

2) 前項の規約の変更(政令で定める事項*1に係るものを除く)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。(平18択)

 

3) 基金は、前項の政令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。(平15択)

 

4) 基金は、設立の認可若しくは規約変更の認可を受けたとき、又は規約の変更をしたときは、遅滞なく、基金の規約を適用事業所に使用される被保険者に周知させなければならない。

 

 

□*1 次の「政令で定める次の事項」は、除かれる(基金令2条)。

 


a) 事務所の所在地

 

b) 基金の設立に係る適用事業所の名称及び所在地、船舶の場合にあっては、船舶所有者の名称及び所在地(厚生年金基金の設立に係る適用事業所の増加又は減少に係る場合を除く)

 

c) 代議員及び代議員会に関する事項 d) 役員に関する事項

 

e) 業務の委託に関する事項 

 

f) 公告に関する事項

 

 

(2) 公告 (法116条)

 


基金は、政令の定めるところにより、基金の名称、事務所の所在地、役員の氏名その他政令で定める事項を公告しなければならない。

 

 

(3) 代議員会 (法117条)

 


1) 基金に、代議員会を置く。

 

2) 代議員会は、代議員をもって組織する。

 

3) 代議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所(基金が設立された適用事業所)の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、加入員において互選する。(平6択)

 

4) 代議員の任期は、3年を超えない範囲内で規約で定める期間とする。ただし、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。

 

5) 代議員会は、理事長が招集する。代議員の定数の3分の1以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して代議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から20日以内に代議員会を招集しなければならない。

 

6) 代議員会に議長を置く。議長は、理事長をもって充てる。

 

 

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(4) 代議員会の議決 (法118条)

 


1) 次に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。

 


a) 規約の変更 b) 毎事業年度の予算 c) 毎事業年度の事業報告及び決算等

 

 

2) 理事長は、代議員会が成立しないとき、又は理事長において代議員会を招集する暇がないと認めるときは、代議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる。

 

3) 理事長は、前項の規定による処置については、次の代議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない

 

4) 代議員会は、監事に対し、基金の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる。

 

 

(5) 役員 (法119条)

 


1) 基金に、役員として理事及び監事を置く。

 

2) 理事の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において選定した代議員において、他の半数は、加入員において互選した代議員において、それぞれ互選する。

 

3) 理事のうち1人を理事長とし、設立事業所の事業主において選定した代議員である理事のうちから、理事が選挙する。

 

4) 監事は、代議員会において、設立事業所の事業主において選定した代議員及び加入員において互選した代議員のうちから、それぞれ1人を選挙する。(平16択)

 

5) 役員の任期は、3年を超えない範囲内で規約で定める期間とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

 

6) 役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なお、その職務を行なう。

 

7) 監事は、理事又は基金の職員と兼ねることができない。

 

 

(6) 役員の職務 (法120条)

 

 


1) 理事長は、基金を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主において選定した代議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行なう。

 

2) 基金の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。

 

3) 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用に関する基金の業務を執行することができる。

 

4) 監事は、基金の業務を監査する。

 

5) 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は代議員会に意見を提出することができる。

 

 

(7) 理事の義務及び損害賠償責任 (法120条の2)

 


1) 理事は、前条第3項に規定する基金の業務について、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分、規約及び代議員会の議決を遵守し、基金のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

 

2) 理事が前条第3項に規定する基金の業務についてその任務を怠ったときは、その理事は、基金に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。

 

 

(8) 理事の禁止行為等 (法120条の3)

 


1) 理事は、自己又は当該基金以外の第三者の利益を図る目的をもって、年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用の適正を害するものとして厚生労働省令で定める行為をしてはならない。

 

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2) 基金は、前項の規定に違反した理事を、規約の定めるところにより、代議員会の議決を経て、交代させることができる。

 

 

(9) 理事長の代表権の制限 (法120条の4)

 


基金と理事長(理事長の職務を代理し、又はその職務を行う者を含む)との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が基金を代表する。
(平16択)

 

 

(10) 基金の役員及び職員の公務員たる性質 (法121条)

 


基金の役員及び基金に使用され、その事務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 

 

3  加入員 (法122条~法128条)                         重要度 ●●●

 

条文

 

(1) 加入員 (法122条)

 


基金の設立事業所に使用される被保険者は、当該基金の加入員とする。

 

 

 ↓ なお…

 


イ) 基金の設立事業所に使用される被保険者のうち、高齢任意加入被保険者であってその者に係る保険料の負担及び納付につき事業主の同意がないものは、当該基金の加入員としない(法附則4条の4第2項)。(平6択)(平13択)

 

ロ) 高齢任意加入被保険者(事業主の同意がある者に限る)である加入員は、当該事業主の同意があった日又はその使用される事業所が設立事業所となった日のいずれか遅い日に、加入員の資格を取得する(法附則4条の4第3項)。(平22択)

 

ハ) 第4種被保険者及び船員任意継続被保険者は、基金の加入員に関する規定の適用については、厚生年金保険の被保険者でないものとみなすことから、基金の加入員とはならず、また、基金の設立要件等に係る被保険者の数にも含まない(昭60法附則45条1項)。(平13択)

 

 

(2) 資格取得の時期 (法123条)

 


加入員は、次のいずれかに該当するに至った日に、加入員の資格を取得する。

 


a) 設立事業所に使用されるに至ったとき。(平15択)

 

b) その使用される事業所又は船舶が、設立事業所となったとき。

 

c) 設立事業所に使用される者
、適用除外に該当しなくなったとき。

 

 

(3) 資格喪失の時期 (法124条)

 


加入員は、次のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に資格取得のいずれかに該当するに至ったとき、若しくは共済組合の組合員若しくは私学教職員共済制度の加入者となったとき、又はホに該当するに至ったときは、その日)に、加入員の資格を喪失する。

 


a) 死亡したとき。

 

b) その設立事業所に使用されなくなったとき。

 

c) その使用される事業所又は船舶が、設立事業所でなくなったとき。

 

d) 適用除外に該当するに至ったとき。

 

e) 70歳に達したとき。

 

 

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(4) 同月得喪 (法125条)

 


加入員の資格の得喪に関する特例として、加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなす。
(平1択)(平6択)(平10択)(平15択)

 

*この場合であっても、厚生年金保険の被保険者期間は、あくまでも「1箇月」となる。

 

 

(5) 同時に2以上の基金の設立事業所に使用される者等の取扱い (法126条)

 


1) 同時に2以上の基金の設立事業所に使用される被保険者は、その者の選択する一の基金以外の基金の加入員としないものとする。(平20択)

 

2) 前項の選択は、その者が2以上の基金の設立事業所に使用されるに至った日から起算して10日以内にしなければならない。

 

3) 第1項に規定する者が選択をしたときは、その者が2以上の基金の設立事業所に使用されるに至った日にさかのぼって、その選択した一の基金以外の基金の加入員でなかったものとする。

 

4) 第1項に規定する者が選択をしなかったときは、その者は、政令の定めるところにより、当該2以上の基金のうちその一の基金を選択したものとみなす

 


具体的には、2以上の基金の設立事業所に使用されるに至った日における各基金についてその者の給与の月額を算定した場合において、それらの給与の月額が異なるときは、最も高い月額の給与に係る基金を選択したものとみなす(基金令15条1号)。(平11択)

 

 

5) 甲基金の加入員が同時に乙基金の設立事業所に使用されるに至った場合において、乙基金を選択したときは、その者は、乙基金の加入員となった日に、甲基金の加入員の資格を喪失する。

 

6) 第1項に規定する者が、選択した基金の加入員でなくなったときは、その者は、その日に、当該基金以外の基金の加入員の資格を取得する。

 

 

(6) 基金の設立事業所と設立事業所以外の事業所等に使用される者の取扱い (法127条)

 


1) 同時に設立事業所と設立事業所以外の事業所又は船舶(以下「未設立事業所等」とする)に使用される被保険者は、その者の申出により基金の加入員としないものとする。
(平10択)(平17択)(平19択)

 

2) 前項の申出は、その者が同時に設立事業所と未設立事業所等に使用されることとなった日から起算して10日以内に、当該設立事業所に係る基金にしなければならない。(平10択)

 

3) 未設立事業所等に使用される被保険者が同時に設立事業所に使用されることとなった場合において、第1項の申出をしたときは、同時に設立事業所と未設立事業所等に使用されることとなった日にさかのぼって、当該設立事業所に係る基金の加入員とならなかったものとする。

 

4) 基金の加入員が同時に未設立事業所等に使用されることとなった場合において、第1項の申出をしたときは、同時に当該基金の設立事業所と未設立事業所等とに使用されることとなった日に、当該基金の加入員の資格を喪失する。

 

(7) 設立事業所の事業主の届出 (法128条)

 


設立事業所の事業主は、加入員に関する確認又は標準報酬の決定若しくは改定につき通知があったときは、すみやかに、その通知があった事項を基金に届け出なければならない。