社労士/国民年金法(補講)-7 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「国民年金法(補講)-7:厚生労働大臣の権限委任等」

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国民年金法(補講)-7

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テキスト本文の開始

 

 

3 厚生労働大臣の権限委任等 (法109条の4~9)   重要度 ● 

 

(1) 機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任 (法109条の4)

 

条文

 

前年新設

 


1) 次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務*1(法3条2項及び3項の規定により共済組合等及び市町村長が行うこととされたものを除く)は、日本年金機構(以下「機構」という)に行わせるものとする。

 

2) 機構は、滞納処分等その他一定の権限に係る事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に当該権限の行使に必要な情報を提供するとともに、厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めることができる。

 

3) 厚生労働大臣は、前項の求めがあった場合において必要があると認めるとき等は、権限の全部又は一部を自ら行うものとする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働大臣の権限に係る事務」は、機構」の名で機構が実施するものであり、次のような事務(権限の委任事務)がある。

 

-----------------(233ページ目ここから)------------------

 


a) 主として第2号被保険者の収入により生計を維持することの認定、任意加入被保険者の取得申出の受理、任意脱退の承認及び任意加入被保険者の喪失申出の受理

 

b) 第1号被保険者の資格の得喪等に関する届出に係る市町村長からの報告の受理及び第3号被保険者の資格の得喪等に関する届出の受理

 

c) 第3号被保険者の届出遅滞についてやむを得ない事由があると認められる旨の届出の受理

 

d) 国民年金手帳の作成及び交付 e) 裁定請求の受理、脱退一時金の支給の請求の受理

 

f) 併給調整の規定による支給停止解除の申請の受理

 

g) 年金受給権者からの支給停止に係る申出の受理

 

h) 老齢基礎年金の支給繰下げの申出の受理及び老齢基礎年金の全部又は一部の支給繰上げの請求の受理

 

i) 障害基礎年金の子の加算及び減額改定に係る生計を維持していたこと又は生計維持の状態がやんだことの認定及び遺族基礎年金を受けることができる遺族の範囲に係る生計維持の認定

 

j) 障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定及びその他障害による障害基礎年金の額の改定に係る請求の受理

 

k) 付加保険料を納付する者となる(又はなくなる)申出の受理、追納の承認

 

l) 申請全額免除、申請一部免除及び学生の保険料の納付特例による申請(学生納付特例の事務手続に関する特例の規定による被保険者の委託に係る申請を含む)の受理及び処分(これらの規定による指定を除く)並びに申請免除の処分取消の規定による申請の受理及び処分の取消し

 

m) 法95条(保険料その他の徴収金の徴収)の規定により国税徴収の例によるものとされる徴収に係る権限、その例によるものとされる国税徴収法の規定による質問及び検査並びに捜索

 

n) 滞納処分及び市町村に対する処分の請求

 

o) 被保険者、受給資格者に関する調査に係る命令及び質問並びに障害基礎年金の受給権者等に対する受診命令及び診断

 

p) 学生納付特例事務法人及び保険料納付確認団体の指定の申請の受理

 

q) 財務大臣からの滞納処分等の執行状況及びその結果の報告の受理 etc.

 

 

↓ なお…

 

□o)及びq)に掲げる権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない(法109条の4ただし書)。

 

↓ また…

 

□機構に対する権限委任事務に係る申請、届出等は、機構の定める年金事務所に対して行うものとする(則103条)。(*機構は、裁定請求の受理は行うが、裁定を行うわけではない)

 

advance

 

◆機構が行う滞納処分等に係る認可等 (法109条の6)

 


1) 機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ厚生労働大臣認可を受けるとともに、滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。(平22択)

 

2) 前項の徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、機構の理事長が任命する。

 

3) 機構は、滞納処分等をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、その結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

 

 

 ↓ なお…

 

□機構は、滞納処分等の実施に関する規程(「滞納処分等実施規程」という)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする(法109条の7第1項)。

 

□機構は、機構が行う立入検査、被保険者・受給権者に関する調査等の権限に係る事務を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(法109条の8第1項)。

 

-----------------(234ページ目ここから)------------------

 

(2) 財務大臣への権限の委任 (法109条の5)

 

条文

 

前年新設

 


1) 厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情*2があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。

 

2) 財務大臣(国税庁長官に権限委任)は、厚生労働大臣からの委任に基づき、滞納処分等の権限の全部又は一部を行ったときは、その執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとする。

 

 

advance

 

□*2 「政令で定める事情」とは、次のいずれにも該当するものであることとする(令11条の10、則105条、則106条)。

 


a) 納付義務者が24月分以上の保険料を滞納していること。

 

b) 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること。

 

c) 納付義務者の前年の所得が1,000万円以上であること。

 

d) 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料その他法の規定による徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められないこと。

 

 

(3) 地方厚生局長等への権限の委任 (法109条の9)

 

条文

 

前年改正

 


1) この法律に規定する厚生労働大臣権限(第109条の5第1項及び第2項(財務大臣への委任)並びに第7章(国民年金基金及び国民年金基金連合会) *1に規定する厚生労働大臣の権限を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

 

2) 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

 

 

advance

 

□「権限委任事務」に係る主な事項は、次のとおりである(則113条)。

 


a) 機構が行う滞納処分等に係る厚生労働大臣の認可

 

b) 機構が行う立入検査等に係る厚生労働大臣の認可

 

c) 学生納付特例事務法人の指定等 etc.

 

 

◆*1 権限の委任 (法142条の2)

 


1) 第7章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)に規定する厚生労働大臣の権限のうち基金に係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができる。
(平16択)

 

2) 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令の定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。