社労士/初級インプット講座/健康保険法6-2 ~山川靖樹の社労士予備校~

社労士試験対策の決定版!山川靖樹プロデュースの社労士初級レベルのインプット講座!「健康保険法6-2:他の法令の規定との調整」

テキスト本文の開始

 

 

(3) 他の法令の規定との調整 (3項)

 

条文

 


被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担*1で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において行わない

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「国又は地方公共団体の負担」による療養又は療養費の支給とは、具体的には、次のような場合である。

 


災害救助法の指定地区で健康保険の被保険者が被災し医療を必要とするときは、災害救助法による救助が「他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で行う療養」に該当するため、当該救助が優先して行われる(平12.3.31厚生省告示144号)。(平12択)(平17択)

 

 

生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付が併用される場合は、健康保険による保険給付が優先され、費用のうち健康保険による保険給付が及ばない部分(一部負担金等)について、医療扶助の対象となる(生活保護法4条1項ほか)。(平16択)

 

 

結核患者である健康保険の被保険者が公費負担による通院医療を受ける場合、原則として、その費用の5%を当該被保険者が負担することとされている。(平20択)
なお、都道府県は、結核の適正な医療を普及するため、その区域内に住所を有する結核患者又はその保護者からの申請があったときは、当該患者が結核指定医療機関において厚生労働省令で定める医療を受けるために必要な費用の100分の95に相当する額を負担することができるが、当該費用のうち健康保険により給付される部分(100分の70)については、公費で負担することを要しないものとすることとされる(平7.6.16健医発786号・庁保発24号)。

 

 

新型インフルエンザの予防接種を受けたことによって入院を必要とすると認められる程度の医療を受けた場合において、療養の給付を受けたときは、治療にかかった医療費のうち一部負担金に相当する額を限度として、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法に基づく給付が行われる。

 

 

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3  損害賠償請求権 (法57条)                              重要度 ●● 

 

条文

 


1) 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額、次条1項(不正利得の徴収等)において同じ)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む、次項において同じ)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。(平1択)(平6択)(平8択)(平12択)(平20択)

 

2) 前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。(平1択)(平12択)(平21択)

 

 

 

 

ここをチェック

 

□第三者行為災害による傷病の発生(自動車事故等)であっても、保険給付が行われないわけではない。(平3択)(平6択)(平11択)

 

□被扶養者が第三者に対して有する損害賠償請求権についても、代位取得する。(平3択)

 

□被保険者が、実際に損害賠償を受けなくても、第三者に対して有する損害賠償請求権の全部を放棄した場合は、保険者は、それ以後の当該事故に係る保険給付を行う義務が免除される。
(平3択)

 

ちょっとアドバイス

 

◆通達による判断基準

 


被保険者と第三者との間において示談が成立し、被保険者の有する損害賠償請求権を消滅させた場合であっても、その消滅の効力は、保険者が保険給付の価額の限度において既に取得している第三者に対する損害賠償請求権(示談成立の前に行われた療養の給付等に係る費用)には及ばない(昭31.12.24保文発11285号)。(平12択)

 

 

損害賠償請求権の権利を取得するのは、法律上当然の取得であって、取得の効力は法律に基づき第三者に対し直接なんらの手続を経ることなくして及ぶもので、保険者が保険給付を行ったときには、その給付の価額の限度において当該損害賠償請求権は当然に移転し、一般の債権譲渡のように、第三者に対する通知又は承諾を必要とするものではない(昭31.11.7保文発9218号)。