社労士/徴収法4-15 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「徴収法4-15:労働保険事務組合の責任等」

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徴収法(4)-15

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テキスト本文の開始

 

 

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第2節  労働保険事務組合の責任等

1  労働保険事務組合に対する通知等 (法34条)           重要度 ●● 

 

条文

 


政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付*1については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす。
(平2択)(平4択)(平8択)(平12択)(平13択)(平17択)(平18択)

 

 

advance

 

◆労働保険関係法令の規定による通知等 (平12.3.31発労徴31号)

 


a) 労働保険料及びこれに係る徴収金の納入の告知、納入告知以外の通知

 

b) メリット制の適用に伴う確定保険料額等についての通知

 

c) 労働保険料等についての督促状による督促

 

d) 還付金の還付

 

e) 雇用保険の被保険者資格の得喪を確認した場合における公共職業安定所長の通知

 

f) 労災保険の特別加入を承認した場合における都道府県労働局長の通知

 

 

 ↓ なお…

 

□通知等が労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知等の効果は、法律上当然に、委託事業主に及ぶ

 

 

2  労働保険事務組合の責任等 (法35条)                 重要度 ●●●

 

条文

 


1) 労働保険事務の委託に基づき、事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
(平2択)(平4択)(平6択)(平11択)(平16択)(平17択)

 

2) 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
(平2択)(平4択)(平5択)(平8択)(平15択)

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3) 政府は、前2項の規定により労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して法27条3項(滞納処分)の規定による処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り*1、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。(平8択)(平10択)(平13択)(平17択)

 

4) 労働保険事務組合は、労災保険法12条の3第2項(虚偽証明による保険給付の不正受給)の規定及び雇用保険法10条の4第2項(虚偽証明による失業等給付の不正受給)の規定の適用については、事業主とみなす*2。(平5択)(平13択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 「処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り」とは、労働保険事務組合に対して滞納処分を行った後でなければ、委託事業主からの徴収はできないということである。

 

□*2 「事業主とみなす」とは、労働保険事務組合が虚偽の届出、報告又は証明をしたため不当な給付が行われたものであるときは、政府は、その労働保険事務組合に対し、これらの給付を受けた者と連帯して、その徴収金の納付をすべきことを命ずることができるということである。

 

3  帳簿の備付け (法36条)                             重要度 ●● 

 

条文

 


労働保険事務組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿*1を事務所に備えておかなければならない。

 

 

ここをチェック

 

□*1 労働保険事務組合が備えておかなければならない帳簿は、次のとおりとする(則68条)。

 


a) 労働保険事務等処理委託事業主名簿

 

b) 労働保険料等徴収及び納付簿(平22択)

 

c) 雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿(平20択)(平22択)

 

 

(1) 書類の保存義務 (則72条)

 


事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、徴収法又はこの省令による書類を、その完結の日から3年間(上記c)にあっては、4年間)保存しなければならない。
(平7択)(平11択)(平12択)(平19択)(平22択)

 

 

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(2) 事業主の代理人 (則73条)

 


1) 事業主は、あらかじめ代理人を選任した場合には、この省令によって事業主が行なわなければならない事項を、その代理人に行なわせることができる。

 

2) 事業主は、前項の代理人を選任し、又は解任したときは、代理人選任・解任届により、その旨を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。代理人選任・解任届に記載された事項であって代理人の選任に係るものに変更を生じたときも、同様とする。(平2択)(平9択)(平19択)

 

 

 

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第3節  報奨金

1  交付の要件 (整備法23条)                           重要度 ●   

 

条文

 


政府は、当分の間、政令で定めるところにより*1、事業主からの委託に基づき労働保険事務組合が納付すべき労働保険料が督促することなく完納されたとき、その他その納付の状況が著しく良好であると認めるときは、当該労働保険事務組合に対して、予算の範囲内で*2、報奨金を交付することができる。

 

 

ここをチェック

 

□*1 労働保険事務組合に対する「報奨金」は、次のイ~ハのいずれにも該当する場合に交付される(報奨金政令1条)。

 


イ) 7月10日において、前年度の労働保険料等であって、次に掲げる事業の事業主の委託に係るものにつき、その確定保険料の額(追徴金又は延滞金を納付すべき場合にあっては、確定保険料の額と当該追徴金又は延滞金の額との合計額)の合計額の100分の95以上の額が納付されていること。(平6択)

 


a) 常時15人以下の労働者を使用する事業

 

b) 常時16人以上の労働者を使用する事業であって、当該前年度の直前の3年度のうちいずれかの年度において常時15人以下の労働者を使用する事業に該当したもの

 

 

↓ ただし…

 

当該常時15人以下の労働者を使用する事業に該当した年度(その該当した年度が2年度以上ある場合にあっては、その最後の年度)以降当該前年度まで引き続き当該事業の事業主が当該事業についての労働保険料の納付を当該労働保険事務組合に委託しているものに限る

 

 

ロ) 前年度の労働保険料等について、国税滞納処分の例による処分を受けたことがないこと。

 

 

ハ) 偽りその他不正の行為により、前年度の労働保険料等の徴収を免れ、又はその還付を受けたことがないこと。

 

 

ここで具体例!

 

(1)「事業規模」について

 


【上記イb)の事例】

 

 

↓ この場合…

 

□労働保険事務組合は、当該事業主について、平成19年度以降の労働保険事務の処理を受託していなければならない。

 

 

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(2)「納付率」について

 


【事例1】



80×95/100=76以上の納付で報奨金交付

 

【事例2】



120×95/100=114以上の納付で報奨金交付

 

 

□労働保険料は還付又は充当が行われるケースであるが、その超過分は報奨金の算定基礎とならない

 

↓ したがって…

 

報奨金の額は、76~80の範囲(実際に納付された額)で算定される。

 

 

□確定保険料の不足分を納付することにより納付率が満たせるケースであり、概算分と不足納付分の全額が報奨金の算定基礎となる

 

↓ したがって…

 

報奨金の額は、114~120の範囲(実際に納付された額)で算定される。

 

 

2  交付の申請と額 (報奨金政令2条ほか)                重要度 ●   

 

条文

 


労働保険料に係る報奨金の額は、労働保険事務組合ごとに、労働保険料の納付の委託を受けた事業に関し、報奨金政令1条(交付の要件)のイのa)又はb)の区分に応じて算定した額の合計額の範囲内とする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 報奨金の交付申請の手続 (報奨金省令2条)

 


労働保険事務組合は、労働保険料に係る報奨金の交付を受けようとするときは、労働保険事務組合報奨金交付申請書を9月15日までに、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。
(平9択)(平20択)

 

 

(2) 報奨金の額の計算方法の例

 

 

↓ なお…

 

督促を受けて納付した労働保険料は、報奨金の算定基礎から除かれる。

 

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ちょっとアドバイス

 

□事業主から委託を受けて一般拠出金事務の納付を行っている場合において、その納付の状況が良好であると認めるときは、当該労働保険事務組合に対して「一般拠出金に係る報奨金」が交付される。

 

↓ この場合…

 

報奨金の額は、労働保険事務組合が事業主から委託を受けて納付したその年度の一般拠出金の額に100分の3.5を乗じて得た額の範囲内となる。

 

advance

 

前年改正

 

□*1 平成22年度の労働保険事務組合に対する報奨金の額(1事業所当たりの加算額)は、次のとおりである。

 


委託事業の保険関係

 

 

法定額

 

平成22年度加算額

 

5人未満委託事業のうち二保険関係成立事業

 

 

8,400円

 

12,400円

 

 

5人未満委託事業のうち二保険関係成立事業以外の事業

 

 

4,200円

 

 6,200円

 

 

5人以上15人以下委託事業のうち二保険関係成立事業

 

 

4,200円

 

6,200円

 

 

5人以上15人以下委託事業のうち二保険関係成立事業以外の事業

 

 

2,100円

 

3,100円

 

 

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※テキスト184~188ページは、過去問のページになっております。