社労士/徴収法1-2 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「徴収法1-2:「賃金」の性質」

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徴収法(1)-2

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テキスト本文の開始

 

 

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(2)「賃金」の性質

 


徴収法上の「賃金」とは、簡単に言えば、保険料計算の基礎とするか否(保険料がかかる金銭か否か)ということである。

 

↓ 原則として…

 

福利厚生的な性質の金銭は、どんなに手厚くても「賃金」とはならない。
(例)社会保険料に係る事業主負担分は、法定福利費とされており「賃金」とはならない

 

↓ 反対に…

 

「賃金」と解される金銭は、どんなに少額でも保険料がかかる

 

 

ここをチェック

 

◆「賃金」*1の範囲のまとめ

 

(1) 賃金と解されるもの

 


□休業手当(労働基準法26条)(平1択)

 

□住宅手当、通勤手当(定期券、回数券も含む)、役職手当、扶養手当、物価手当

 

□単身赴任手当、勤務地手当、宿日直手当、超過勤務手当、休日手当、深夜手当

 

□年次有給休暇日の給与

 

□労働者が業務外の疾病又は負傷で休業中に労働協約等の定めにより事業主から支給されるもの(いわゆる私傷病手当)(平16択)

 

↓ なお…

 

私傷病による休業中、恩恵的な見舞金として支給される場合は、賃金とならない

 

□所得税、社会保険料等の労働者負担分を、労働協約等の定めにより事業主が負担したもの
(平1択)(平7択)

 

□臨時に支払われる賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与)
(平13択)(平17択)

 

□いわゆる前払い退職金(労働者の在職中に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなどして前払いされるもの)

 

□さかのぼって昇給したことによって受ける給与(昇給差額)etc.

 

 

↓ また…

 

□*2 賃金に算入すべき「通貨以外のもので支払われる賃金(現物給与)」の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる(則3条)。(平1択)(平19択)

 

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(2) 賃金と解されないもの

 


□休業補償(労働基準法76条)(平3択)(平16択)

 

↓ この場合…

 

当該額が平均賃金の60%を超えた場合であっても、その超えた額を含めて賃金とはならない(昭25.12.27基収3432号)。(平1択)(平5択)

 

□解雇予告手当(労働基準法20条)

 

□傷病手当金(健康保険法99条)

 

□事業主が全額負担する生命保険の掛金

 

□任意的なもの、恩恵的なもの、実費弁償的なもの(昭22.9.13発基17号)
(労働の対償として支払われるものではないから)

 

↓ 具体的には…

 


a) 結婚祝金、私傷病見舞金、死亡弔慰金等

 

b) 出張旅費、宿泊費、制服・作業着の貸与、住宅の貸与等

 

c) 財産形成貯蓄のため事業主が負担する奨励金等(平1択)

 

↓ なお…

 

a)については、労働基準法上の取扱いと異なり、労働協約等によって事業主にその支払が義務づけられるものであっても賃金とならない(昭25.2.16基発127号)。

 

 

□チップ

 

↓ ただし…

 

事業主が定めた奉仕料が一旦客から徴収し、集計された後に再分配されるものは賃金となる(昭39.5.21基収3343号)。(平10択)

 

□退職金(退職を事由として支払われるものであって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により労働者の退職前に一時金として支払われるもの) etc.

 

 

(3) 現物給与の判断

 


a) 被服の利益 (平7択)
労働者が業務に従事するため支給される作業衣又は業務上着用することを条件として支給し若しくは貸与(レンタル)する被服の利益は、賃金にあたらな(昭23.2.20基発297号)。

 

 

b) 住居の利益(住宅貸与の利益)
原則としては、福利厚生施設とみなされるため、一部の者にのみ住宅が貸与されていても、他の者に何ら均衡手当(現物の利益を受けられない者に対する調整手当金的な金銭のことで、名称を問わず、その金銭の性質により判断する)が支給されていない場合には、当該住宅貸与の利益は、賃金にあたらない(昭28.10.16基収2386号)。