社労士/徴収法1-1 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「徴収法1-1:総則」

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徴収法(1)-1

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テキスト本文の開始

 

「労働保険徴収法」学習を始める前に

 

労働保険徴収法とは


労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下、本文においては「労働保険徴収法」という)は、労働保険(労災保険と雇用保険の総称)の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めた法律です。
労働保険徴収法は、失業保険(現在の雇用保険)と労災保険の小規模事業者への適用範囲拡大に伴い、保険料の納付事務負担の軽減と効率的な徴収を図るため、両保険の保険料の徴収を一元化することを目的として、昭和47年に施行(公布は昭和44年)されました。ただし、両制度で適用労働者の範囲が異なる等の理由により、必ずしも一元的に処理されているわけではありません(詳細は本書で学んでいきましょう)。
近年においては、事業主の手続き簡素化に伴う改正が行われています。昨年は、①一定の書類について所定の要件に該当する事業主等に年金事務所経由での提出を可能とする改正や、②延滞利率を軽減する改正等が行われました。本年は、雇用保険法において2年を超える遡及適用が認められた場合の特例納付保険料の徴収制度が新設される予定です。

 

 

本試験について

<択一式>
択一式の出題数は合計6問(30肢)です。出題は、労災保険法7問の後に3問、雇用保険法7問の後に3問となっており、各々10点満点中4点以上をとることが合格への最低ラインとなります。
出題傾向としては、過去問の再出題が顕著であるうえ、条文や通達等本書掲載の内容をストレートに問うものが目立ちます。これまで学習したものに比べ、面白みを感じにくい科目ですが、とっつきにくさとは裏腹に得点に結びつけるのは意外と容易で、得点源にしている受験生は多いです。
択一式対策としては、まずは本書掲載の過去問を押さえることがあげられます。そして徐々に、その周辺知識や改正点等の要件を潰していけば、出題形式が安定している分、確実な得点源となるはずです。最終的には、各々2点(合計4点)以上、できれば満点を狙いたいところです。

 

<選択式>
平成22年度の社労士試験受験案内には、「選択式の試験科目のうち、労災保険法及び雇用保険法の試験科目は労働保険徴収法からの出題はありません。」と表記されていました。今年度も昨年と同様であれば、選択式の出題はありません(ただし、実際のところは、受験案内が発表されるまでわかりません)。
したがって、万が一、受験案内に昨年と違った表記がされた場合に備え、択一式問題の正誤判断をする際に、「キーワード」は意識しておきましょう。


各章のポイント

 

本書に記載の重要度を基準に、メリハリをつけて学習して下さい。具体的には、以下の点に注意して学習に取り組んでみましょう。労働保険徴収法は、暗記的要素の強い科目であり、どれだけ覚えているかがそのまま得点にはね返るといっても過言ではありません。早い段階から知識を整理し、ケアレスミスを防ぎ、確実に得点できるようにしましょう。

 

第1章

総則

ほぼ毎年1~2肢の出題がある。賃金については他法との混乱が生じやすい項目であるため、一度は比較が必要であろう。

 

第2章

保険関係の成立及び消滅

頻出項目である。保険関係の成立・消滅等の各場面における手続き、提出期限、必要書類名など覚えることが多い。さらに、労災保険と雇用保険の違い、継続事業と有期事業の違い等の比較も必要である。ただし、問題を解きながら徐々に覚えていくことが可能な箇所なので焦る必要はない。

 

第3章

労働保険料の納付の手続等

最重要の頻出項目である。問題文は長文の場合が多いが、各制度のキーワードをしっかり意識し、どの保険料の説明なのか、要件に誤りがないかを的確に判断できるようにしよう。また、延納関連の問題は、図を書いて解く習慣をつけた方がよい。今年は、特例納付保険料の新設があるので、この点にも注意を要する。なお、保険料計算の出題もあるため、問題演習を取り入れて慣れておくこと。(保険料の問題演習は、各答練においても実施します)

 

第4章

メリット制

出題頻度は低めであるが、法制上は重要項目。継続事業の場合と有期事業の場合について、相違点を理解しておこう。本書の内容を図示しながら読むとよい(最初は本書の図をなぞるだけでも十分)。

 

第5章

印紙保険料

出題はほぼ隔年ごとであるが、重要度に従って、過去問をもとにキーワードを押さえておけばよい。

 

第6章

徴収金の徴収

ほぼ隔年ごとの出題。重要度に従って、各期限などの数字を記憶しておく必要がある。

 

第7章

労働保険事務組合

例年、数肢の出題がある(1点分の場合も多い)。本書の重要度からわかるとおり、優先的に学習しなければならない分野と言える。過去問の出題実績の多い部分から徐々に覚えるようにしよう。

 

第8章

不服申立て等

出題は少なめである。この項目については、本書の図解を中心に、理解しておけば十分である。


 

 

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第 1 章

総  則

第1節  趣旨及び定義    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第2節  適用事業の範囲    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

 

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第1節  趣旨及び定義

1  趣旨 (法1条)                                      重要度 ●   

 

条文

 


この法律は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする。

 

 

2  定義 (法2条)                                      重要度 ●●●

 

条文

 


1) この法律において「労働保険」とは、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という)による労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)及び雇用保険法による雇用保険(以下「雇用保険」という)を総称する。

 

2) この法律において「賃金」*1とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く)をいう。

 

3) 賃金のうち通貨以外のもので支払われるもの*2の評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。(平14択)

 

4) この法律において「保険年度」とは、4月1日から翌年3月31日までをいう。

 

 

outline

 

(1) 労働保険の全体構造

 


【労働保険】
政府(厚生労働省)

 

 


 

都道府県労働局

 

【労災保険法】

労働基準監督署

 

 

保険給付

 

 

社会復帰促進等事業

 

 

【雇用保険法】

公共職業安定所

 

失業等給付

 

 

雇用保険二事業

 

 

【労働保険徴収法】

 

保険適用・労働保険料の徴収

 

 

◆権限の委任(法45条)

 

この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。